経営管理には「貢献利益」を考えてみる

  業務・会計システム 中川充 SPECIAL
中川充 SPECIAL

業務・会計システムコンサルティング

公認会計士中川充事務所 代表 中川充

システム・業務・会計の三位一体を連携させ、企業経営のしくみを改革するシステムコンサルタント。上場会社、中堅企業、ベンチャー企業…へのシステム開発や、業務改革のコンサルティング実績は全国50社以上。


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利益が出ないビジネスは、たとえ売上高が何億円・何十億円あろうとも、いずれ破綻します。企業経営にとって利益はとても大切です。

ゆえに、経営管理でも「利益」は一番の経営指標です。その中でも特に重宝されているのが、営業活動の成果を表す「営業利益」で、売上総利益(粗利)から販売費及び一般管理費を引いて計算します。全社ベースの営業利益のほか、事業部門別や営業所別のセグメント単位の営業利益を算出し、拠点ごとの収益性を見ます。

しかし、「営業利益」や「経常利益」はもともと制度会計の概念です。株主や債権者への会計報告のために、損益計算書で開示が義務づけられた利益の一つです。

もちろん「営業利益」は経営管理にも十分役立ちますが、純粋に経営管理だけを考えて作られた利益ではありません。会社独自の仕様とかではなく、どちらかと言えば、他社と比較ができるよう共通性・公共性を重視している面があります。

だとすると、管理会計上は、もっと自社に適したオリジナルの“利益”概念があっても良いはずです。

たとえば、

  • 卸売業ならば売上総利益から物流費だけを引いた利益
  • 販売業ならば売上総利益から営業人件費や販売奨励金・広告宣伝費を引いた利益
  • 不動産開発業ならば売上総利益から租税公課・修繕費と支払利息を引いた利益です。

これらは、会社が費用を好きにチョイスして算出した、あくまで自社の管理会計だけで存在する利益です。「営業利益」や「経常利益」とは異なります。特に名前もないので、ここでは仮に“貢献利益”と呼びます。

貢献利益を考えるメリットは2つあります。

1つは、経営管理に必要な情報がよく見えることです。事業部門別や商品グループ別に営業利益を算出しようとすると、得てしてセグメントに分けられなかったその他費用を、売上高比や人数比で按分します。そうすると、かえって実態がつかめなくなるのです。

また、固定費は管理の良し悪しに関わらず発生します。固定費まで差し引いた利益で見ると、どうしても利益変化の振幅が小さくなり、管理指標としてメリハリにかけます。

もう1つは、事務負担の軽減です。管理会計でセグメント分析する際は、費用の明細をセグメントコードで分類しないとなりません。たとえば、卸売業なら倉庫別(営業所別、得意先別)、販売業なら営業担当者別(得意先別、商品別)、不動産開発行なら物件別(エリア別、プロジェクトチーム別)です。

これを営業利益まで算出しようとすると、販売費及び一般管理費のすべての費目にセグメントコードを紐付けなければなりませんが、貢献利益ならば特定の科目だけで済みます。その他の費用の紐づけがいらないので、事務負担を軽減できるのです。

管理会計では、「営業利益」や「経常利益」等の利益だけが、すべてではありません。経営に本当に役立つ利益情報とは何なのか。異なる経営指標として、自社独自の「貢献利益」を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

 


【システム・業務・会計】三位一体を連携させる経営視点
中川充

業務・会計システムコンサルティング

公認会計士中川充事務所代表

中川充

執筆者のWebサイトはこちら http://nakagawa-cpa.jp/

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