目先の利益を追い求めるあまり、未来の打ち手が盲目になる。

  移動空間 中野智行 SPECIAL
中野智行 SPECIAL

移動空間コンサルティング

株式会社 移動空間研究所 代表取締役 中野智行

金融業界で10年以上活躍、お金に関する知識や富裕層の思考回路に精通。縁があってタクシー業界に携わる中で、この異業種に対する違和感と、一方で組み合わせの大きなチャンスを発見。移動や運搬のビジネスモデルに、金融的発想と富裕層をつかむビジネス展開をすることで、タクシー業界にあっても年収3千万円を突破させることができる独自方式を開発。周囲のタクシー関係者から「売り上げる方法が一変した」「働き方が180度変わった」「利益が大きくでるようになった」など、評価が高く、日本のタクシー業界を一新するべく、専門コンサルタントになることを決意。鋭意活動中。


この時期になると各会社も来年春の新卒採用の獲得に精を出している。

今年も売り手市場の状況です。

少子高齢化と言われる中で、年々子供の数は減少しておりますが、大学への進学率は上がっております。

その中で、今は、「親確」という言葉があり、就活に親の影響も大きいようです。

タクシー業界においても大手は新卒採用に力を入れています。

当然、これから先行きの業界の発展を考えていくには、若い人材の獲得が必須となる。

国土交通省の調べによれば、タクシー業界での平均年齢は58.3歳、全産業平均が42歳と比較しても異常に高い。

このままでは、若い人材不足により、業界の発展は非常に厳しいと言わざるを得ない。

タクシー業界では、実際に新卒よりも事業に失敗したり、それぞれの深い理由があり勤めている方が多い。

お客からも「若いのに何でタクシー運転手なの?」と言われることもある位、世間のイメージも最後の就職場というイメージが強い。

これは私が勤めていた会社での飲み会の席での会話だが、「いや~タクシー業界に6年も勤めたけれどそんな事で先輩ずらして偉そうになんてとても出来ない。むしろこんな業界で永く勤めている方が恥ずかしいことだ。」

そんなことを言っていた。

それを聞いて私もやはりこの業界は、勤めている人間でさえも自分の仕事にプライドを持てないのかと悲しくなった。

しかしこれが業界の体質なのだ。

これからウーバーや自家用車でのライドシェア問題と将来は、前途多難である。

それに対してどのような戦略をもって取り組んでいくのか?

そこが明確でない限り、若い人材の獲得などは出来ない。

付け焼刃で人材を確保しても長くは続かない。

私が以前の金融業界で課長職の頃、新卒は沢山入ってきました。

それも当然の事、あまりこういう所で大々的に話したくはないですが、大卒の初任給にしては、他社と比較して、圧倒的に高いからです。

しかも土日も休みの完全週休2日制。

これは非常に魅力である。

当然、新卒は集まる。

しかしここからが、大変である、実際仕事が始まると、新卒者にとっては、晴天の霹靂だからです。

仕事は朝から晩までテレアポで、お客からは、毎日の様に激しい断りを受けて、期待していた週休2日制などはあり得ず、朝は、7時半には出社、帰りは9時過ぎまで仕事。

心身共にボロボロで辞めたいという社員が続出するのです。

それで、大変なのは、全てが管理職の責任として丸投げされるのです。

私も中間管理職時代は、上層部と部下との板挟みで、煩悶とする日々を送りました。

会社は、人材獲得には莫大な費用もかかっているのだから辞めさせるな!!という強い命令が管理職に言い渡されます。

そして当然の様に数字も上げろ!!という事になります。

社員を辞めさせずに数字を上げろというのが、会社の至上命令なのです。

もう毎年こうなるのが、わかっているので、私は初めから新卒社員には、初任給で両親に必ずプレゼントをすること、その際に手紙を添えることを徹底しました。

そして、私個人の歩合給は、ほとんど部下との飲み食いで消えます。

この頃、年収は1,000万を超えていましたが、貯金はほとんどありませんでした。

普段、いけないような高級なお店に部下を連れて行きました。

そうすることで、自分も頑張ればこのように稼げるんだというのを意識させることと両親にも心配りをすることで、実際に両親から会社に感謝の手紙が届くなど、親も味方につける事ができました。

そうやって、外堀を固めて社員を辞めさせないようにあらゆる手を尽くしていきました。

お陰で社員の定着率は他の部と比べても良く、数字も何とか上げていく事が出来ました。

会社にとっては、非常に良いことですが、私自身は納得がいきませんでした。

会社は、利益を上げなければ存続は出来ないという理屈はわかります。

しかし目先の利益を追い求めるがゆえに、社員を生かさず殺さず単なる駒としてしか考えていないのが、ハッキリとわかるからです。

会社のトップが将来の明確なビジョンを示さずに社員を駒としてしか扱えないようでは、その会社の未来はありません。

経営者は私腹を肥やすことに頭を使うのではなくて、どうしたら社員が夢を持ちこの会社で働くことが自分の誇りだといえるような会社を築き上げられるかを日夜考えなければならない。

その為には、これから押し寄せる荒波にわが社はこのような戦略で乗り越えるという10年、20年を見据えたビジョンを明確に語る事が大事ではないでしょうか。

現実にこういった事はこの会社に限った事だけではありません。

これもこの業界の体質で、どこも似たり寄ったりです。

この業界の末路は今では、無残にも生き残っている会社の数は10年以上前と比較して5分の1になっております。

タクシー業界はこれから先、どれだけの会社が生き残っていけるのでしょうか?

本当に自分の会社は問題ないと胸を張れるでしょうか?

今一度、よく考えていくべきでしょう。

 


移動空間ビジネスの視点
中野智行

移動空間コンサルティング

株式会社 移動空間研究所代表取締役

中野智行

執筆者のWebサイトはこちら https://www.movslab.jp/

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