余裕の価値に気づくか、効率至上で失うか

  海外商談 尾身浩 SPECIAL
尾身浩 SPECIAL

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル 代表取締役 尾身浩

海外商談に必要な専門スキルとノウハウを伝授する実践派コンサルタント。商社などに頼らずに、独立独歩で海外企業と取引したいと考える中小メーカー企業や個人事業主から高い評価。語学がほとんどダメでもOK 。商談の押さえどころと外国語のココだけ! を押さえることで、 小さな企業でも世界に売り、世界から買い付けられるようになる…と、注目のコンサルタント。


何事も余裕をもって対処すべき、とはよく言われることです。多忙な現代人にとって、これは口で言うほど容易な事ではありません。しかし海外出張での商談に集中、そして成功させるためには、商談準備はもとより、余裕をもって備える価値に気づくことも重要です。

国内であれば事欠ない移動手段の数々。しかし海外への移動となれば、現実的には飛行機がメインに。さらには1日の便数も限られます。従って、これに乗り遅れたり、或いは何等かの理由で欠航になると予定が一気に狂います。

ヨーロッパを10日間ほど周り、ロンドン近郊から帰国の朝。解放された気分の私は緊張感ゼロ状態でした。帰国便が夕刻だったこともあり、少しでも空港で待つ時間を減らしたかった私は、ギリギリまで出発せずホテルでのんびり。

時間がきてタクシーを呼び、ヒースロー空港へ向け出発。しかし途中、高速道路上で大渋滞に巻き込まれます。空港に到着したのは出発時間の20分前でゲートもクローズ状態。こうしてその日は帰国できなくなりました。

翌日便の手配やホテル探しに時間を取られ、お金はかかるし、更には帰国直後の予定にも影響してしまったのは言うまでもありません。

緊張感を欠き、時間を惜しみ、持つべき余裕を持たなかったことで、起こるべくして起こった失態の好例と言えます。

次に飛行機のトラブル。これを予測することはできませんが、こちらも海外移動にはつきもの。私自身、思いもよらぬ欠航や出国中止、あるいは天候等の影響による遅延を幾度となく経験しています。しかし避けられそうにないこうした事態も、余裕の持ち方によっては備えることができるはずです。

私は出張スケジュールを組む際、可能な限り”余裕“を設けるようにしています。

先般も上海行きの飛行機が機体のトラブルで飛べず、成田近隣のホテルに一泊、翌日の昼の便へ振替に。同じころにヨーロッパから上海に到着した顧客の出迎えこそ出来なくなりましたが、メインの商談への影響はありませんでした。

結果的に最初からその飛行機で予定すればよかった、という話ではなく、トラブルの確率に対し、自分の組んだ元々の予定に選択肢があることに意味があります。

また乗り継ぎがある場合、あまりタイトな乗り継ぎ時間は避けることです。アメリカやヨーロッパ等でハブ空港から他国、または地方へ乗り継ぐ場合には、出来れば3時間位あると安心です。

極端に短い乗り継ぎ時間だと、預けたスーツケースが置き去りになることも。空港によって荷役〔荷さばき〕の能力・システムに差があるのも一因です。

私自身、ミラノに来ているのに、”お荷物は現在パリですね、明日のお届けです”などと平然と職員に告げられたことも一度や二度ではありません。

商談を前にして着替えすら出来ない、となれば気分が一気に沈むことになります。機内に持ち込む手荷物に最低限の備えをするのも対策のひとつです。

長距離移動による体への負担や、時差ボケによる影響も無視できません。ベストな対策としては、搭乗するクラスを上げることです。それ相当のコストがかかりますが、最近はプレミアムエコノミーもあるし、ビジネスクラスも割安なものが結構あります。

目的はワンクラス上の食事やワインではなく、休める環境です。寝ることが体調維持には最も効果的だからです。また、私自身も幾度となく気絶しかけましたが、機上での急激なアルコール摂取には注意が必要です。

つまらない機内アナウンスや食事、更には免税品といった余計なサービスに順番通り付き合っていると、あっという間に最初の3~4時間を奪われますから、こちらも頭に入れておきます。

時間的余裕を持つことはどこかで自分の時間を犠牲にすることです。従って多少のやりくり、努力が必要になります。ワンランク上の機内サービスはそれなりに存在理由があります。こうした“余裕”の恩恵を受けようと思ったら、対価の支払いが必要になります。

つまり余裕はタダではなく、それゆえ価値のあることと解釈することが出来ます。

つい頑張り過ぎて強硬スケジュールになりがちな海外出張。効率も大事ですが、余裕を持つことで商談そのもののパフォーマンスを上げることができます。どんなに商談の準備をしても、到着が遅れたり、たどり着けなかった、では意味を成しません。なにより相手にも迷惑がかかりますし、また疲れ切った状態で臨んでも、”戦わずして負ける”ことになります。

あえて“余裕”について意識し、その価値に気づくべき理由がここにあります。


世界に売る、世界から買う! 小さな会社の商談術
尾身浩

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル代表取締役

尾身浩

執筆者のWebサイトはこちら http://gglcg.com/

当社の関連商品を販売しています。
月刊誌(無料)登録フォーム

×