先入観:イメージを壊し新たに得るか、偏見で機会を失うか

  海外商談 尾身浩 SPECIAL
尾身浩 SPECIAL

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル 代表取締役 尾身浩

海外商談に必要な専門スキルとノウハウを伝授する実践派コンサルタント。商社などに頼らずに、独立独歩で海外企業と取引したいと考える中小メーカー企業や個人事業主から高い評価。語学がほとんどダメでもOK 。商談の押さえどころと外国語のココだけ! を押さえることで、 小さな企業でも世界に売り、世界から買い付けられるようになる…と、注目のコンサルタント。


“あの国の人達は○○な感じだよね” 

 このようにその国や人々のイメージを語ることがよく有ります。例えば、ドイツ人は真面目、イタリア人は明るく大雑把、中国人はマナーが悪く、謝らない、等々。

 海外ビジネスにおいては、こうした一般的なイメージに惑わされるべきではない、というのが今日のお話です。

 その国の人達の基本的な性格や見られがちな言動は確かに存在しますが、こうした先入観を持って人を推し量る“眼鏡”にしていると、見誤る部分や機会の損失にさえなりかねないということです。

 私自身、これまで様々な国の方々とビジネスを通じてお付き合いをさせて頂きましたが、現実には血液型性格判断と同様、その言動において世間一般信じられているような傾向があるかもしれない、位のものです。

 個人的にはこれまで、イタリア人との付き合いが最も多かったのですが、最初の頃は彼らについてごく一般的なイメージを持っていたものです。

 皆陽気な性格で、大雑把。もっと言うと、時間にルーズで人生において仕事は二の次、休んでばかりのような。しかしこうなると偏見もいいところです。

 もちろん中には30分位平気で遅刻して来る人や、車の運転中でも前を見ずにマシンガンのように口が止まらず助手席の私に喋りかけ続ける人もいます。

 街を一緒に歩いているだけで女性に何気なく挨拶するように声掛けできる人、私を見るなり両手を広げて走り寄ってきてハグする女性担当者もいました。

 さすがに日本人にはちょっと真似のできないような、いわゆる“典型的なイタリア人”です。

 しかしこの“典型的なイタリア人”という定義が偏った思い込みそのものであり、単に我々が“イタリア人”を十羽一絡げにして無意識に彼らに期待しているイメージなのかもしれません。

 実際に、滅多に笑顔を見せない朴とつなイタリア人経営者、物静かな恥ずかしがり屋の性格をした人々も思ったよりいたりして、当初のイメージが揺らいだものです。

 私の顧客は北部の水の都として有名なヴェニス周辺に固まっていましたが、印象に残る言葉を取引先の担当者から聞いたことが有ります。

 「北と南は違うんだよ。働かない南の連中が俺達イタリア人の印象を作ってる。俺達、北の人間は本当によく働くんだから。」 

 一部の人たちはこうしたプライドに似たものを持って偏見に抵抗しているのだな、と意外に思ったものです。そして確かに彼らと仕事をすると、非常に細かく、厳しく、当初のイメージがここでも崩れて行ったのを覚えています。

 全体がのんびりと休んでばかりと思っていたイタリア人、実はよく働く層だっているわけです。

 翻って、外から見ると皆真面目で清潔、オモテナシ精神にあふれ、財布を落としても必ず帰ってくる、というような良いイメージを外国から持たれているのが日本です。

 しかし個々に人を見て行けば、必ずしもそうではないことは当の私達もすぐに理解できることです。

 「日本人は皆綺麗好き、だから街にゴミが落ちていなくて、本当に驚いた」と中国の友人から評価されたことがあります。しかし素直に喜べません。

 よく見れば道路わきには投げ捨てられたコンビニ袋に入ったゴミやペットボトル、川岸には家電製品や自転車の不法投棄。

 花火大会などの公共イベントに至っては宴のあとの空き缶やら食べ残し、さらには宴会セットをそっくりそのまま置いて帰るような輩もいます。

 だからこうした先入観をもって本当に日本と深く付き合い始めたら、やはり彼らのイメージも早々に異なってくるでしょう。日本人も一言で定義することなど出来ないのです。

 そもそも”国”というフレームで国民を一括りにて語るべきでなく、十人十色、さまざまな人間がいるということです。

 自分の持つ先入観だけで、〇〇人とは商売はしない、○○国は嫌いで肌が合わないから行かない、というものの言い方をしてビジネス上の決断までする人が実際にいますが、あまりにもったいない残念なものの捉え方です。

 真実を見誤る可能性が高く、貴重なビジネスチャンスすら失うことにも繋がりかねません。

 そうならないためにも、そしてこれは私自身にも常に語り掛けていることでもあるのですが、自分の持つイメージ=眼鏡をまずは壊してみること。

 その上で、どこの国の人や地域の人という括り方ではなく、一人の人間をよく見極め、付き合ってみる、という意識をもつことが重要です。これがグローバルビジネスをするための基本であると言えるでしょう。

 


世界に売る、世界から買う! 小さな会社の商談術
尾身浩

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル代表取締役

尾身浩

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