人口知能:夢のテクノロジーに託すか、自立して今を生きるか

  海外商談 尾身浩 SPECIAL
尾身浩 SPECIAL

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル 代表取締役 尾身浩

海外商談に必要な専門スキルとノウハウを伝授する実践派コンサルタント。商社などに頼らずに、独立独歩で海外企業と取引したいと考える中小メーカー企業や個人事業主から高い評価。語学がほとんどダメでもOK 。商談の押さえどころと外国語のココだけ! を押さえることで、 小さな企業でも世界に売り、世界から買い付けられるようになる…と、注目のコンサルタント。


AI(人口知能)の話題を新聞紙上で目にしない日はありません。特に最近はAIにより今後10年で消滅する仕事、などといった記事や書籍をよく目にするようになりました。

弁護士や税理士などの士業をはじめ、教師、ファンドマネージャー、中間管理職、そして経営者すら吞み込まれる可能性が指摘されていたりします。

AIが優れた知能ゆえに、頭を使う仕事から奪われていく印象です。驚くべきは、”これからは創造性を発揮してコンピューターに取って代わられないように”と思っていたら、ゲームクリエイターや芸術家の領域までAIが入り込むことはすでに可能になっているようです。

過去の膨大なデータやパターンを一瞬で読み込み、学習し、その上でベストの決断や行動を起こすことを考えると、上記のようなものの他、これに動作が伴うようになればAIによる警察官、F1ドライバー、プロゴルファーも登場しそうです。

もう自分の仕事が10年で消滅する分野に入っているとかいないとかで一喜一憂しても仕方がないような気がします。

それにしても人類は一体どこへ向かっているのでしょうか。

人間が人間を超える、“優れた生き物”を創り出そうとしているようなものです。これは映画「ターミネーター」の世界。すでに人間では解を出せていない方法論を”自ら”出すAIも出来てきていると言います。優れた人口知能を、劣った人間の知能で制御して行けるはずもありません。

事故が起きた原発のように手が付けられない状態にならないことを祈りたくなります。

さて、前置きが長くなりましたが、こうしたAIを使い、GoogleのようなIT企業が通訳や翻訳の精度を上げ、まずは増え続ける訪日外国人観光客への対応に役立てようという動きが活発です。

四半世紀前はこれがどう世の中を変えてくれるのかと思っていたインターネット。それが今は無くてはならないものになったように、きっと近い将来、AIの力で言葉の壁が取り払われる日が来ることでしょう。

しかしこうした時代の変化の真只中に生きる我々は、残念ながらまだこのテクノロジーの恩恵を完全に受けることは出来そうにありません。従ってしっかり“今”を生きるしかないわけです。

“きっと近い将来~”を待っていたら、現在目の前にある海外ビジネスは全部通り過ぎて行き、何も成し得ません。だからやはり夢に頼らず、自力でやっていく覚悟が必要なのです。

英語に限らずネット上にはオンライン辞書が充実していて、意味はもちろんのこと、スマホで発音まで瞬時に教えてくれる今の時代。一方、試してみると分かりますが、自動翻訳は残念ながらまだまだ頼りないレベルです。 

恐らくは自動翻訳を使っただろう、日本人からのメールの中に”危ない“単語に置き換わったものがあり、腹を抱えて笑ったと以前に米国人から聞いたことが有ります。

自分にある程度外国語をコントロールできる知識が無い限り、やはり仕事レベルでは使わないほうが無難です。笑われて終わりならまだいいですが、誤解に発展するようではビジネスでは痛手を負うことになりかねません。

道案内ならなんとかなりそうな機械による“通訳”に至っては、仕事に使えるレベルには程遠いものです。

たとえこれらテクノロジーの精度が上がり、ある程度の使い勝手になったとしても、自分自身がそれを使える状態になければ、腹を抱えて笑われていることにさえ気付きません。

笑われても通じれば良いではないか、という話でもないのです。

時にまったく意味をなさない文章になっていることがあり、一番の問題はそのこと自体に気づくことなくメッセージを送り続けること、です。

しばらくして返事がこないと、「あの件はどう思いますか?」などとやるわけですから、先方からも早々にサジを投げられるのがオチです。先方も対処のしようがないからです。

もともと大会社の重役や大勢に向けた講演などでもない限り、1対1での海外での商談に通訳を伴ってやってくるビジネスマンは基本的におらず、英語が下手でも自分の言葉で渡り合うのが基本です。

裏を返せば、軽蔑されずとも尊敬されるような状態にはならず、これは真の人間関係を作れないことを意味します。

想像してみてください。

初対面の大事な海外商談において、「本日はこちらで意思疎通を図らせて頂きたく存じます」と言ってテーブルに置いた滑稽な人型の通訳ロボットが次々に的外れなことを喋り出したどうなるか、と。

ひとしきり嘲笑されながらお人形遊びに付き合ってもらえる時間を過ぎると、最後は腕時計に目をやり、“そろそろタクシーを呼んで差し上げましょう”、と暗に退出を促されるのが関の山です。

幸か不幸か、我々は新たな技術革新の過渡期に生きています。1年先か、10年かかるのかわからない、不完全テクノロジーに頼ることは出来ません。

海外ビジネスをやるなら、今をしっかり認識することです。やるべきことを絞り込んでスタートを早め、小さな組織でも走りながら成長できる仕組みを持つことが重要です。

夢に頼って待つのではなく、自立を成し遂げていく行動が大切なのです。

 


世界に売る、世界から買う! 小さな会社の商談術
尾身浩

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル代表取締役

尾身浩

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