無理難題:感情で軟着陸か、論破でメンツを潰すか

  海外商談 尾身浩 SPECIAL
尾身浩 SPECIAL

海外商談コンサルティング

株式会社源盛グローバル 代表取締役 尾身浩

海外商談に必要な専門スキルとノウハウを伝授する実践派コンサルタント。商社などに頼らずに、独立独歩で海外企業と取引したいと考える中小メーカー企業や個人事業主から高い評価。語学がほとんどダメでもOK 。商談の押さえどころと外国語のココだけ! を押さえることで、 小さな企業でも世界に売り、世界から買い付けられるようになる…と、注目のコンサルタント。


海外に限らず商談の現場では参加者の様々な意見、考え方、感情が時に激しく行き交います。必ずしも計算通りに1+1=2とならないことも多々あります。今日は論理的な部分と感情的な部分をうまく使い分けて相手の過剰な要求に対処するためのヒントです。

ビジネスの商談においては当然ですが、お互い少しでも自分に有利な条件で利益を確保したいと考えます。そもそも売り手と買い手2者の思惑が完全に一致することなどありませんが、そんな中で商談は時に妥協点を探す場にもなります。

商談相手が無理難題を押し付けてくることもあるでしょう。あなたにとって付き合う価値のある会社、人物であれば、そうした要求に対し、一つずつ“論理性”をもって丁寧に対処していくことになります。

相手の今の立場を研究し、順序、落とし処を用意してその場に臨むのは当然ですが、その時の商談の焦点というのは事前に分かっているはずです。まずはその点をしっかり論理で武装しておくことが大切です。

相手の主張に対し、自分が異を唱える点についてはそのことをしっかり伝えます。その際、話を丁寧な外国語に置き換えていくことを忘れてはなりません。

外国人に対し反論する時に、ストレートに「NO!」 と言うべきだ、と思い込んでいるケースがあります。しかしこれは勘違いです。明確に主張する中にもオブラートに包むものの言い方が欠かせません。物は言い方次第ですが、まずは「YESかNOだ」、では強すぎてしまいます。

英語を母国語としない我々にとっては微妙なニュアンスの表現は難しいものです。しかし英語にも丁寧な表現はあります。それを研究し、表情を交えて使って行きます。ダイレクトなNOではなく、婉曲的な表現も必要なのです。

さて、あなたが反対する理由を伝えて行くことになりますが、ここで最も大事なのはなぜ“違う”のかということについて、相手が納得できる話をすることです。よく言われるA=B,B=C、なのでAとCは同じですよね、というようにここは論理的に話す、ということになります。

問題は例えば3つの無理難題があれば3つを崩していって構わないのですが、たとえこちらが正しくても全てストレートに崩されっぱなし、反論しようがないのでは文字通り商談相手のメンツを潰しかねません。

ビジネス上の論点に対して理論上正しくとも、完全論破によってその人をまるごと否定したように感じられてはどうしてもシコリが残るものです。

まともなビジネスなら売っても買っても相手に感謝、尊敬する気持ちがあるはず。だからその気持ちを常に持って、それと同時に隠し土産を用意しておき、良いタイミングでそれらを話しの中に散りばめる工夫が必要です。 

ビジネスは人と人。論理を振りかざし、ただ完全にやり込めるだけではたとえ正しくともうまく行かないものです。

相手の自尊心を自然な流れでくすぐるような話し方、順序も必要です。その上で妥協して良い点、土産として持たせても良いものも準備しておき、必要なら使っていきます。

こうしたことを交えて事前にシュミレーションをしっかりやっておくことが最重要。それでなくとも海外での商談は外国語です。外国語に落とし込んでの準備、これがすべてです。

私の海外の顧客にも一代でヨーロッパに名だたるブランドを築いた、百戦錬磨の中小企業の社長がいます。

つい先日は先送りになっていた膨大な経費について若干の無理難題を寄せてきました。無理難題は文字通りもともと“無理”がありますから、たいがいは反論を許す微妙な隙があるものです。

今回も例外ではなく、若干感情に任せた要求はむしろ隙だらけといった感じです。

そこを丁寧に聞き、オブラートに包んで意見を伝え、ゆっくり一つずつ考えてもらいます。同時に相手の不満な部分もよく理解している、という共感を混ぜ示しながら、最後にちょっとした土産をつけると、大枠での交渉成立となりました。

相手がどのような人か、によって話の仕方が異なってくることでしょう。だから相手がどんなことに気持ちを動かすか、どのようなことを好み、嫌うかを知っていることも必要です。それは付き合いを通じて色々な角度からその人を“勉強”していくしかありません。

商談は生き物ですから、すべてがセオリー通り簡単に行くわけではない。しかし基本としてこうしたステップを踏むということで、無理難題を回避し、壊さなくてもいい雰囲気を壊さずに切り抜けることができるでしょう。

外国語表現を用いてシュミレーションし、論理や感情をコントロールしながら共感を得られると、それは時に相手の尊敬を得ることにも繋がります。そうなればそこで人間関係がまた一歩進むことにもなります。

主張の仕方が異なる外国人と言えども相手は同じ人間。まずは小手先のテクニックよりも論理性と上手な表現を考え、相手が「それは、そうだ」と納得できる主張を丁寧にする。そして人間的、非論理的な面で感情を上手に刺激し、関係維持をしながら無理難題を乗り越える工夫をしてみてください。

 


世界に売る、世界から買う! 小さな会社の商談術
尾身浩

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株式会社源盛グローバル代表取締役

尾身浩

執筆者のWebサイトはこちら http://gglcg.com/

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