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遅刻する者がいない店舗、いる店舗

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

【遅刻は約束違反】

ロードサイド店舗で働くスタッフは、若いアルバイトの方が多いです。

若い方々ですから、羽目を外して遊びすぎたり、本業が大変だったりして、ついつい朝寝坊をし、遅刻してくる方もいると思います。また、車で出社時に予想外の渋滞に巻き込まれて遅刻するケースもあります。

遅刻は約束違反です。れっきとしたトラブルです。これを見過ごすことで、遅刻の連鎖が始まり、店舗のモラルが低下し始めます。よって、経営者・店長は迅速に対応することが必要です。

そのポイントは2つです。

①遅刻をしたという事実を把握する。

②遅刻をさせない策を講じる。

【自己開示とフィードバック】

まず、①の遅刻をしたという事実を把握することですが、経営者・店長の目の前で遅刻がなされるときもあれば、経営者・店長が不在時に遅刻をなされることもあります。問題は、後者のケース。遅刻したということを報告してくれれば良いのですが、遅刻を隠匿しようとする者もいます。よって隠匿しにくい風土を醸成する必要があります。

下図はコミュニケーションを円滑にする考え方として提唱された「ジョハリの窓」という考え方です。

私たちには、「自分に分かっている自分」と「自分に分かっていない自分」、「他人に分かっている自分」と「他人に分かっていない自分」があります。

「自分に分かっており、他人にも分かっている自分」を「開放の窓」と呼びます。例えば、短気であることを自覚しており、周囲から瞬間沸騰湯沸かし器とあだ名をつけられているなどのケースがこれに当てはまります。

「自分に分かっておらず、他人が分かっている自分」を「盲点の窓」と呼びます。例えば、自分の体が曲がっていることを自覚しておらず、その姿勢のまま人前でプレゼンをするなどのケースがこれにあたります。 

「自分に分かっており、他人が分かっていない自分」を「秘密の窓」と呼びます。例えば、過去の出来事で大きなトラウマを抱えており、他人に言えない秘密を抱えているなどのケースがこれにあたります。

「自分に分かっておらず、他人に分かっていない自分」を「未知の窓」と呼びます。これは、自分も自覚していないし、他人も分からないケースです。 

そして、上記4つの窓のうち、秘密の窓と盲点の窓を狭め、開放の窓を拡げていくことが、コミュニケーションの円滑化につながるのです。 

よって、経営者・店長は、秘密の窓を狭めるべく自己開示を行い、盲点の窓を狭めるべくフィードバックを求めることが重要になります。

自己開示とは、自身の弱点や失敗をおおっぴらに話す、ということです。これを継続することによりスタッフが「経営者・店長であっても失敗するんだ」という認識を植え付け、何でも話せる組織風土を醸成させます。

その上で、どうしたら弱点をつぶすことができるのか、失敗を防ぐことができるのか、といったフィードバックを周囲に求めます。このようにして風通しの良い組織を作っていきます。 

これにより、遅刻など情報の隠蔽はなくなる可能性が高まります。

【主導権を相手に渡さない】

そして、遅刻を把握したら、ポイント②の遅刻をさせない策を講じなければなりません。

多くの店舗でとられているその策は、罰金、叱責、評価を下げるといったものですが、ほとんど効果はありません。

そこで、多くの場合、経営者・店長は遅刻をしたスタッフに次の言葉を投げかけます。

「なぜ、遅刻をしたんですか?」

経営者・店長からの「なぜ」は非難の響きを帯びています。そのため、スタッフには防衛本能が働き、言い訳に終始します。

また、次の言葉も多いパターンです。

「2度と遅刻しないために、君は今後何をしますか?」

この問いかけに対して、目覚まし時計を1個増やす、前日は早く寝る、などありきたりな回答が返されます。そして、目覚まし時計が増えたかどうか、早く寝たかどうかは、経営者・店長が確認することができません。

そこで、このように投げかけてみてはいかがでしょうか。

「君が2度と遅刻しないために、私ができることは何ですか?」

この投げかけは、「君は一人じゃないんだよ」という響きを帯びています。そして、おそらくこの問いに即答できるスタッフは多くなく、深く考えるはずです。考えた結果、「残業を減らして欲しい」「出社時刻を遅くして欲しい」という答えが出たとします。行動の主体は、経営者・店長ですから、残業を減らしたか、出社時刻を遅くしたか、やったかやっていないかは経営者・店長自身が確認できます。

組織の風通しを良くし、経営者・店長とスタッフがともに考え実行する。遅刻対策以外にも活用できる考え方といえるでしょう。

 

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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