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現状を把握している店舗、把握していない店舗

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

■ローカルベンチマークの活用

事業者にはその規模にかかわらず、従業員に対して最低年1回の健康診断を受診させることが義務づけられています。

しかし、「事業」の健康診断は義務づけられていません。事業自体を定期的に健康診断し、病気にかかっていないか、かかっていたとしたら早期に対策をとる必要があります。

税理士に作成を丸投げして出来上がった決算書を見て、利益を把握する程度では、健康診断とは言えず、単に身長と体重を測定するレベルにしかありません。

経済産業省では、事業の健康診断ができるツールとしてローカルベンチマークを紹介しています。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

これは、サイト内のエクセルシートをダウンロードし、「財務情報」「非財務情報」に必要項目を入力しますが、非常に参考になるのが「財務情報」です。3期分の決算書の数値を入力すると6つの指標が計算され、業界平均値との差を自動的に示してくれます。

■ローカルベンチマークにおける6つの財務指標

この6つの指標は、3年以内破綻率と関係が深く、この指標が良好であればあるほど、事業の継続可能性が高まることになります。その指標とは、①売上高増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率、の6つとなります。

①の売上高増加率は、成長性を示すもので、単位は%です。前期と今期の売上高の差を前期の売上高で除して求め、もちろん、この値は高ければ高いほど好ましいです。

②の営業利益率は、収益性を示すもので、こちらも単位は%です。今期の営業利益率を今期の売上高で除して求め、値は高ければ高いほど好ましいです。

③の労働生産性は、文字通り生産性を示すもので、単位は円です。今期の営業利益を今期末の従業員数で除して求めます。つまり従業員一人あたりの営業利益を示しますが、ローカルベンチマークではパートタイマーは従業員数に含めないこととしています。こちらも値は高ければ高いほど好ましいです。

④のEBITDA有利子負債倍率は、イービットディーエーまたは、イービットダーと呼ばれ、財務の健全性を示すもので、単位は倍で、値は低ければ低いほど望ましいです。営業活動で得た現金に対して何倍の借入があるか、つまり借入の返済力が分かります。計算式は(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)です。

⑤の営業運転資本回転期間は、効率性を示すもので、単位は月、値は低ければ低いほど好ましいです。計算式は(売上債権+棚卸資産―買入債務)/月間売上高、となり、資金繰りに余裕があるかどうかが分かります。

事業は、現金販売でない限り、棚卸資産が販売され、売上債権になり、その代金を回収する、という流れをとりますが、棚卸資産、売上債権は現金の状態ではないので資金繰りには使えません。そこで、棚卸資産と売上債権が月間売上高の何倍あるかを計算するのですが、棚卸資産を買入債務で仕入れた場合は、現金の流出がないため、売上債権と棚卸資産の合計から買掛金を除き、月間売上高で除して求めます。

⑥の自己資本比率は、安全性を示します。純資産を総資産で除して求め、単位は%、値は高ければ高いほど望ましいです。これは、会社の全ての財産(総資産)のうち、返済する必要のない資産(純資産)がどれだけ占めているかを見ます。

■財務指標把握の重要性

人間の健康診断では、コレステロールや血圧など結果が数値で示される項目が多数あります。これは標準値に対してどの程度乖離があるかが分かり、今後の食生活や運動量などの改善判断に役立ちます。

事業の健康診断でも、上記指標を数値として把握することにより、業界平均値と比べることができ、自社の強みや弱みが把握できます。

これにより、強化する強み、克服する弱みを把握し、今後の事業を円滑に展開する可能性が高まります。

これに対して、自店の現状を数値として把握できていない場合は、比較するものがないわけですから、強みも弱みも分かりませんので、今後の有効な打ち手を見出す可能性は低くなってしまいます。

事業は継続することが前提です。3年以内破綻率と関係の深い6つの財務指標を把握している店舗と、把握していない店舗では、事業の継続可能性は当然のことながら違ってくるのです。

 

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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