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高齢化のリスクを回避できる店舗、できない店舗

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

■高齢化の進展が今後もたらすこと

高齢化が進む中、厚生労働省によると、2025年には認知症の患者が700万人を突破し、65歳以上の5人に1人が認知症を患うと試算しています。

私が、ガソリンスタンドで雇われ店長をしていた頃の話です。ある日、自転車に乗ったご高齢の方が私の働く店舗に入店されました。

徒歩や自転車で来られる顧客は、道を尋ねに来たか、石油ストーブ用の灯油を買いに来たか、トイレを借りに来たか、のどれかであるケースが多いのですが、その方は、そのどれでもなく、自転車を私の前に停めるやいなや「満タン」と言いました。

「この自転車にガソリンを満タンにするのですか?」と聞くと「そうだ」と。唖然とする私。そうこうしているうちに、その高齢者はタバコに火をつけようとしました。

ガソリンスタンドは危険物を扱っているため、待合室以外での火気は厳禁です。半ば強引に待合室に連れて行き、椅子に腰掛けていただきました。

スタッフにお茶を持ってこさせ、タバコを吸いながらお茶でもどうぞ、と勧めながら、この高齢者の様子を伺います。まず、話がかみ合いません。話しかけてもその話に対する答えが返ってきません。ふと、その方の帽子を見ると、帽子の脇に、住所・名前・電話番号が外から見えるように書いてありました。

スタッフにその高齢者の応対を代わっていただき、帽子の脇に記載された番号へ電話をすると、家族と思しき方が、その高齢者は自身の祖父であること、祖父は認知症であること、祖父の唯一の楽しみは自転車に乗ること、今日は一緒に自転車に乗っていたが目を離した隙にいなくなってしまったこと、を説明してくれました。

その後、ご家族に迎えに来ていただき、事なきを得ましたが、高齢化が進む中、ロードサイド店舗では、このようなケース、つまり、認知症を患ったご高齢の方の来店が増えることを想定しておく必要があります。

■認知症を患った顧客への対応

この対応を誤ると、スタッフの対応時間が長くなり、その時間の販売ロスが発生したり、ご高齢の方が大声を出したり、暴れたりして、営業の妨げになることも考えられます。

例えば、食品スーパーで、高齢者がレジで精算をしていないパンを売場で袋から出して食べていたとします。常軌を逸した行為に、スタッフが「何やってんですか!」と怒気をはらんだ口調で、パンを取り上げようとするとどうなるでしょう。

認知症を患った方は、そのパンを必死で守ろうとし、大声で「私のパンなのよ!」と泣き叫ぶかもしれません。結果として、他の顧客に迷惑が及ぶかもしれません。

この場合、望ましい対応は「おばあちゃん、そのパン美味しいでしょう?」「そこで立ったまま食べないで、椅子に座ってゆっくり食べませんか?」といって、優しく事務室へ誘うことです。そして、事務室で様子を伺い、しかるべき場所へ連絡をします。

購買力の高いご高齢の方が増加し、プラチナ世代などと呼ばれる時代です。しかし、機会だけでなく、認知症の増加という脅威も認識し、その対応を準備することでリスク回避をするロードサイド店舗が、結果的に儲かると言えるでしょう。

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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