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想いが伝わる店舗、伝わらない店舗

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

■辛い経験を事業に活かした2人の経営者

ある焼き鳥店の経営者は、我が子を病気で失った経験から、人が誕生日を迎えることの重要性を痛感しました。そこで、無料の会員登録をした顧客が誕生月に来店した際には、歳の数だけ焼き鳥を無料で振舞います。ワンドリンクはオーダーしていただくルールですが、残った焼き鳥は持ち帰りも可能です。

また、あるカフェの経営者は、障害を抱える我が子を苦労して育て上げた経験から、障害を持った子どもと接する家族の辛さ・寂しさを痛感しました。そこで、同じ環境にいる人たちに癒しを提供したいと考えたのが、カフェ開業のきっかけでした。自らパン作りの学校に通い、素材を吟味した手作りのパンを広大な庭のある店舗で提供しており、パンは非常に美味しく、庭の雰囲気も好評です。

なお、前述の焼き鳥店の経営者は2店舗目を出店するようになり、施設への寄付もできるレベルにまで事業が拡大しました。今は、店頭に出ることはなく、マネジメントに注力出来ています。

これに対して、カフェの経営者は、なかなか利益を出すことができず、日々、パン作りや庭の草むしりに追われています。この差が表れたのは何故なのでしょう。

■想いと行動の整合性

前述の焼き鳥店の場合、広く顧客の誕生日を祝ってあげたいという想いがあります。そのために焼き鳥を歳の数だけ無料で提供するという行動をとっています。想いと行動が一致していると言っていいでしょう。

これに対し、前述のカフェの場合、障害を持った子どもと接する家族を癒したいという想いがあります。そのために美味しいパンを広い庭のあるカフェで提供するという行動をとっていますが、果たしてこの行動は、経営者の想いを叶える行動なのでしょうか。

美味しいパンや広大な庭で癒される方もいますが、それは「障害を持った子どもと接する家族」でなくても癒されるわけです。顧客ターゲットである「障害を持った子どもと接する家族」だからこそ、癒される何かが必要なのです。

経営者の想いを叶えるなら、顧客ターゲットがどんなこと、どんなものを欲しているかを検討する必要がありますが、その際に、自身の経験が邪魔をする場合があります。前述のカフェの場合、経営者は「自分が子育て中に美味しいパンと広大な庭があれば癒されたのに」という想いがあったのかもしれません。しかし、「障害を持った子どもと接する家族」全員がそのように思っているとは限らない、ということです。

経営者自身の経験は、差別的優位性の源です。しかし、その経験が事業の邪魔をしていないか、客観的な視点で検証する必要があることを常に意識しておきたいところです。

 

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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