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ベンチャービジネスがベンチャービジネスでなくなる時

  知見発掘の経営 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング 代表取締役 西田純

経営コンサルタント。社員の見たものをお金に換えるしくみづくりの専門家。企業が社内各所に埋もれさせている「有用な知見」を発掘し、共有知・組織知として業績向上につなげる。国内外のさまざまな経営事例を通じ、30年以上にわたり一貫して小集団活動やプロジェクト現場における共有知の価値を研究してきた、知見活用のスペシャリスト。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

インターネットの辞書によると、ベンチャービジネスとは「独創的な技術やサービス、経営システムを開発・導入し、未知の要因が多い新しい事業に果敢に取り組み、急成長している企業。リスクを恐れず、新領域に挑戦する若い企業が主であり、経営を拡大していこうとする成長意欲が高い。日本では特にネット・ベンチャービジネスが大きな注目を集めている。(後段略、知恵蔵、https://kotobank.jp/word/ベンチャービジネス-8697)」というものだそうです。

引用させていただいた部分は言葉の定義として普遍性のある説明になっていると思います。つまり①独創的に、②未知の事業で、③急成長している会社、ということだと思います。その意味で確かにインターネットを使った事例が多いという点は頷けますが、必ずしもそればかりだとは言えず、ネットを使わずにそれまで世の中になかったサービスを売り出した会社も十分ベンチャービジネスの範疇に入ると思います。始まったころのコミケや「終活ビジネス」なども、独創的な未知のビジネスと言う意味ではベンチャービジネスの端くれだったのではないでしょうか(急成長したかどうかは会社によると思いますが)。

さて、スタートアップから急成長期を経てそのまま成長が続くと、どんな企業でもそのスピードに鈍化の傾向が出て来ます。これは考えてみれば当たり前で、はじめは10人の会社が5人増やせば人数で見た成長率は50%ですが、100人になってしまえば同じ5人の増加はわずか5%にしかすぎないわけです。

そうなると、最初のうちは独創的なやり方で未知の事業を手掛けていたとしても、時間が経ったことで気が付いてみれば、いつの間にか大企業の仲間入りを果たそうとしている段階に到達していたりするのかもしれません。その頃には事業そのものについての経験値も増え、もはや未知の事業とは言えなくなっているかもしれませんし、類似のビジネスモデルによる競合他社が参入していれば独創的ともいえなくなります。

最近は頭文字を取ってFAGAともいわれるFacebook, Amazon, Google そしてAppleも皆、似たような道をたどって業界の覇者にまで上り詰めました。ライドシェアの「ウーバー」は、最初市場にデビューしたころは鮮烈なベンチャービジネスでしたが、今や市場によっては後発との競争に敗れ、必ずしも一強時代を築くまでには至らなかった事例だと思います。

ベンチャービジネスからはじめて、世界を制するまでに上り詰めるのか、それともどこか途上で留まるのか、その違いは何だろうかと考えると、「次のステージに上がるビジョンをどのように構築し、どのように共有できているか」ではないかとの発想が心をよぎります。

今でこそAppleはFAGAの一角を占め、更には一企業としての株式時価総額で世界最大の企業となりましたが、かつて創業者のスティーブ・ジョブスを追放した時は、パソコンの開発競争でマイクロソフトに敗れ、次のビジョンを社内で共有できない状態に陥っていました。その後、紆余曲折を経てジョブスが経営に復帰し、iPhoneに代表される新しい価値を市場に提供することを通じて再び成長軌道に乗ることができたわけです。

次のステージに上がるビジョンをいかに構築し、さらにはどのように社内で共有するのかと言う課題は、本来企業経営者にとっては普遍的なものだと思いますが、ベンチャービジネスのように力強い成長を続けてゆくことを志向するならば、間違いなく必須の経営課題だと言えるでしょう。

ビジョンの構築と社内での共有のために誰が何を担うのか、はっきりと決まっている企業は強いです。経営者としてあなたは、ビジョンの構築と社内での共有をしっかりと進めていますか?

 

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西田純

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング代表取締役

西田純

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