トップ > コラム > マズローの欲求五段階説はこう使え!

マズローの欲求五段階説はこう使え!

  知見発掘の経営 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング 代表取締役 西田純

経営コンサルタント。社員の見たものをお金に換えるしくみづくりの専門家。企業が社内各所に埋もれさせている「有用な知見」を発掘し、共有知・組織知として業績向上につなげる。国内外のさまざまな経営事例を通じ、30年以上にわたり一貫して小集団活動やプロジェクト現場における共有知の価値を研究してきた、知見活用のスペシャリスト。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

欲求とモチベーション管理の世界ではあまりに有名なマズローの欲求五段階説ですが、それだけ説明すると「だから何だと言うんだ?」的な消化不良感にかられることはありませんか?

そもそも、人間の欲求について理解するのにどうして「所属の欲求」だの「自己実現の欲求」だのが出てくるのか?食欲や睡眠欲、性欲のほうが大切だろう、と思った方もいるのではないでしょうか。ヒントは、どのような背景でこの説が世に出たかにあります。

アブラハム・マズローは心理学者だそうですが、1970年に亡くなるまで、彼を有名にしたのは経営管理に関する著作でした。特に「完全なる経営」が有名ですが、一連の著作は心理学に特化したものというよりは、経営管理、特に労務管理に関する学説として重宝されたのです。

それでもやっぱり、どうして社会的欲求は自己実現の欲求より下なのか?といまいち割り切れないことへの明快な回答にはなっていませんよね。

私はこの学説を「下層に行くほど欲求は強いが、上層に上がるほど満たされた時のモチベーションが高くなる」と説明しています。そうすることで、現場におけるこの学説の使い勝手が一気に良くなるからです。

実際に見てみましょう。最下層にあるのが「生理的欲求(生存の欲求ともいう)」ですが、これはトイレに行きたい欲求を想像いただければ判ると思うのですが、あらゆる欲求の中で最も強い(トイレに行く渡り廊下に手すりがないなど、たとえ十分な安全が担保されなくても、トイレには行きたい)ものだという説明には納得感が高いのではないでしょうか。

一つ上の層に「安全の欲求」が来ます。これもとても強い欲求です。治安の悪いところには居たくない、常に安全でいたいと願う心ですが、生理的欲求とともに、満たされたからと言って必ずしもモチベーションが高くなるというものでもないと言えます。

その一つ上が「所属と愛の欲求」です。このあたりになると、満たされるとやる気が出そうなのは何となく想像がつきますね。そして「承認欲求(社会的欲求、ともいわれる)」がその上に来るのですが、平たく言うとどこか組織に所属していて、そこで慕われている状況があれば大丈夫、そこで手柄を立てればさらに良い、みたいな感じです。つまり、しっかりしたところに勤めていて、同僚からも愛されていて、そこで手柄を立てればそりゃあモチベーションは上がるでしょうって、そんな感じです。でも、特に手柄を立てるなんていうことは「できたらいいね」的な願望に終わることも多い、つまり欲求としてあまり表には出てこない、ということです。

いわんや「自己実現の欲求」は、もしも叶えばそれは盛り上がると思いますが、そもそも夢の話ですから常に叶うとは限らない。そうなると人間は自制的になるもので、顕在化した欲求としてこの層が表に出てくるということはめったに無い訳です。

ではどうすればよいか?という問いの答えは意外と簡単で、つまるところ周りがお膳立てしてあげればよいのです。新人を、ほめて伸ばすというやり方も、そう考えると実はとても理にかなったものであることがわかります。

職場のみんなでお膳立てして手柄をたてさせて、褒めてあげればそれはもう、所属と愛と承認がワンパッケージで与えられるわけですから、舞い上がらない方がどうかしている、と言う具合です(某テーマパークのアルバイト教育はこのあたりにヒントがあります)。ついでに自己実現の場でも与えられようものなら、「一生社長についていきます!」というくらいの話になっても、あながちおかしくないのです。

ポイントは、めったに表に出ない自己実現の欲求がいったい何なのか、慎重に探り当てることだろうと思われます。そのために必要なのが人間観察とコミュニケーション、ということになりますね。なるほど、社内コミュニケーションにはそういうメリットもあったのか、とご納得いただけた方、自社の若手に対する動機づけの参考にしてみてください。

あなたの会社では、若手社員を上手く動機づけられていますか?

 

当コンサルタント開催セミナーがあります。

社員が見たことを明日の利益に変える経営視点
西田純

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング代表取締役

西田純

執筆者のWebサイトはこちら https://fs-consultant.net/

当社の関連商品を販売しています。
月刊誌(無料)登録フォーム

×