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返報性の原則とコミュニケーション

  知見発掘の経営 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング 代表取締役 西田純

経営コンサルタント。社員の見たものをお金に換えるしくみづくりの専門家。企業が社内各所に埋もれさせている「有用な知見」を発掘し、共有知・組織知として業績向上につなげる。国内外のさまざまな経営事例を通じ、30年以上にわたり一貫して小集団活動やプロジェクト現場における共有知の価値を研究してきた、知見活用のスペシャリスト。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

正月にもらった年賀状を見るとき、自分は出していたかどうかを気にしながら見るという人は少なくないと思います。また、結婚式の招待者を決めるときに自分が呼ばれたかどうかを一つの基準にするという人もごく普通にいますね。このように、「されたらお返し」をするというのは人付き合いの上でごく一般的な規範として存在しています。

ロバート・チャルディーニという心理学者が、このような人間の行動様式を「返報性の原則」と名付けたこともあり、今では広く知られるようになりました。社内のコミュニケーションを活性化するための方策を考える上で、実はこの返報性の原則が大変役に立つことをご存知ですか?

末端の社員にとって、会社側とのコミュニケーションチャネルは意外と限られています。同僚や先輩・後輩との日常的な会話を別にすると、社内他部署との折衝を担当する場合を除き、仕事上何らかのやりとりをする相手はほとんど中間管理職である上司のみ、という場合も珍しくありません。そうなると、末端の社員にとっては中間管理職のコミュニケーションが支障なく成立しているかどうかで会社とのコミュニケーションが成り立つかどうかが決まるということになってきます。

 

この部分を大切にするための手法にはさまざまなものがありますが、共通している要素は「コミュニケーションを見える化する」という考え方です。スマイルにはスマイルで、挨拶には挨拶で返すのが「されたらお返し」のやり方ですが、その延長線上に「見える化されたコミュニケーションをもらったら、見える化されたコミュニケーションで返す」という等式が成り立ちます。 

具体的にはメッセージカードのやりとりだったり、小手紙やポストイットでも構いません。LINEやメール、というやり方もあるのですが、ここでは「敢えて」ペンを取って手書きすることをお勧めします。というのも返報性は、そこまでしてくれた手間を含め、相手のために使った時間のキャッチボールでもあるからです。LINEやメールのお手軽さは捨てがたいですが、同時に「お手軽」なメッセージとしてしか伝わらないという限界があるのです。 

さらに、単に一対一のコミュニケーションであれば、やりとりするだけで十分なのですが、一つ知恵をくわえるとすると「見える化」されていることの強みを生かすため、自分が送ったメッセージを写メしておくことがあげられます。 

そうすると蓄積したコミュニケーションを後から振り返ったり、必要な場合に第三者に見せることもできるというメリットが生じます。これは、中間管理職だけでなく末端の社員にも言えることで、円滑なコミュニケーションが安定的に取られていることがわかると、人事考課の面で当然プラスに働きます。 

メッセージカードを写メする、というとなんだか大げさに聞こえますが、やってみるとごく簡単ですし、余計な時間はほとんどつかいません。しかしながら聞こえが大げさなため、制度として会社が始めないと定着しない場合が多いのです。なのでぜひ、ここは経営者から社内に対して「社内コミュニケーションの活性化のため、全員がメッセージカードを活用すること」を宣言してください。 

実際にメッセージカードを発行するのは、どんなに小さくても良いので、何か気づいたことがあったときに限定します(返す方はお礼の挨拶だけでも構いません)。そうしないと、単に中身のない挨拶だけのカードが頻繁に飛び交うことになり、それはそれで気疲れの素になります。 

メッセージカードに書かれた直筆のコトバは、受け取った人の心に直接響きます。受け取ったら返す、ことを通じてコミュニケーションは双方向になり、確実に社内の風通しが良くなります。 

あなたの会社では、社内で双方向のコミュニケーションを促進する手立てを講じていますか?

 

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西田純

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング代表取締役

西田純

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