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なぜそのガソリンスタンドの店舗オペレーションは効率が悪いのか

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

■複数台の掛け持ち給油作業

人材不足に悩む業界はガソリンスタンドに限りませんが、そのガソリンスタンドも人材不足の状況が続いていました。同店は給油から窓拭きといった接客作業を行うフルサービスのガソリンスタンドですが、その運営会社は、複数の店舗を展開していたことから、比較的余裕のある他の店舗から期間限定で店舗スタッフを派遣することにしました。

派遣された店舗スタッフが驚いたのは、1名のスタッフが2台、3台の車両を受け持って給油作業をすることが常態化していたことです。「この状況はあり得ない」と話したところ、現地のスタッフは、「人が足りないのでこれが普通です」と疲れた顔で言いました。

実は、このやり取りには本質的な食い違いがあります。

■1人2台対応

スタッフが派遣された、そのガソリンスタンドでは「1人2台対応」をしていました。仮に、2人のスタッフがそれぞれ1台ずつ給油・窓拭きといった接客作業をしていたとします。

そこにもう1台入店した場合、どちらかのスタッフが、現在作業中の車両から離れ、新規入店車両の接客作業に移り、2台を掛け持ちすることになります。さらにもう1台入店した場合、今度は別のスタッフが対応し、2台を掛け持ちすることになります。これが1人2台対応です。

■2人4台対応

これに対して、派遣されたスタッフの言う対応は「2人4台対応」でした。仮に、上記のように、2人のスタッフがそれぞれ1台ずつ給油・窓拭きといった接客作業をしていたとします。

そこにもう1台が入店した場合、どちらかのスタッフが、現在作業中の車両から離れ、新規入店車両の接客作業に移ります。そして、作業中の車両から離れる際に、どこまで接客作業が進んでいるかをもう一方のスタッフに分かるようにしておきます。

これにより、もう一方のスタッフが接客作業を終えた時に、自分が担当していなかった車両の接客作業をスムーズに引き継ぐことができます。

そのためには、接客作業の順番を決めておかなければいけません。フルサービスのガソリンスタンドにおいて接客作業中に車両を離れることができるのは、

①給油を開始した直後

②窓拭き中

③給油を完了させる時、の3パターンです。

よって、どのタイミングで離れたのかを分かるようにしておくこと、特に②の窓拭き中の場合は、どこまで拭いたのかが分かるように、拭く窓の順番を決めておき、拭いたところに窓拭き用タオルを置いておくなどの工夫が必要です。

なお、①③で担当車両を離れる場合は、他のスタッフに口頭で引き継いでも良いでしょう。

■繋ぐ意識の重要性

1人2台対応は、個人のスキルに依存した対応ですが、2人4台対応は、チームワークでの対応です。4番バッターを9人揃える野球チームより、試合展開によってバントをしたり、盗塁をしたりという繋ぐことのできる野球チームの方が勝利の可能性が高い理由がここにあります。

冒頭の派遣されたスタッフが所属していた店舗もチームワークでの対応により、店舗運営に余裕があり、スタッフを派遣できています。決して人材が余っていたわけではありません。

そのガソリンスタンドにおける店舗オペレーションの効率が悪い理由は、仕事を「個」で完結させようという店舗側の意識だと言えるでしょう。

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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