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SWOT分析がもたらす発想の力とは

  知見発掘の経営 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング 代表取締役 西田純

経営コンサルタント。社員の見たものをお金に換えるしくみづくりの専門家。企業が社内各所に埋もれさせている「有用な知見」を発掘し、共有知・組織知として業績向上につなげる。国内外のさまざまな経営事例を通じ、30年以上にわたり一貫して小集団活動やプロジェクト現場における共有知の価値を研究してきた、知見活用のスペシャリスト。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

ビジネスコンサルティングの世界では、ややもすると手垢にまみれた感のあるSWOT分析ですが、正しく使えば依然として実にパワフルなツールであることに疑問の余地はありません。ただ残念なことに、用語解説などの簡単な説明資料にはよく「企業の内部環境における強み(S)・弱み(W)および外部環境における機会(O)・脅威(T)を抽出する」という説明とともに4象限の図だけが示されていたりするのですが、これでは全く分析の用に足りないのです。では何をどうすれば良いのか、あなたはこの使い方をご存知でしょうか?

いくつかの異なるアプローチがあるようですが、最も一般的なものの一つはクロス分析と言って、「強みを機会に投入すると何ができるか」「弱みで機会を逃がさないためには何をしなくてはいけないか」「強みで脅威を回避するためにできることはなにか」「弱みで脅威を増幅させないためには何をしなくてはいけないか」という4つの視点に基づいて戦略案を策定する、という使い方です。

これだけでも十分に強力なツールなのですが、あまり言われない話ながら、SWOT分析(のクロス分析)を行う上でその結果をさらに強力なものにするためのコツがあります。それは経営理念・経営目標を再確認したうえで分析に臨むという段取りを踏むことなのです。

こうすると、導き出すべき戦略案が何のためのものなのか、について参加者の理解にブレが少なくなります。そもそも、企業は何のために存在しているのか?そして戦略は何のために必要なのか?このあたり、本来は自明であるべき命題でありまして、それは全く経営理念の実現と経営目標の達成のため、以外の何物でもないはずなのです。いや、自分の会社は違う、という方がいたら、実はむしろそちらの方が大変かもしれません(この件は別の回にじっくり論じたいと思います)。

いま、明快な経営理念・経営目標を確認できたと仮定します。そのうえで経営環境から強み(S)・弱み(W)および機会(O)・脅威(T)4要素を抽出できたとすると、組み合わせによってさまざまな戦略案を想定することが可能です。これを社内のグループ討議で実施したとしましょう。

特に強み(S)については、普通の中小企業であっても1つや2つだけという例は極端に少なく、5つや6つはあたりまえ、どうかすると10以上も出てくる場合が多いのです。そこに今、仮に3つの機会があったとしましょうか。もしも強みが10あると、そこで吟味されるべき戦略案は10×330通りにもなってしまい、中身の確認だけでかなりの時間を費やすことになってしまいます。

ここで思い出していただきたいのがパレートの法則と言う考え方で、全体の2割を占める要素が全体の8割に支配的な影響を及ぼすというものです。10種類の商品を扱っている店なら、そのうち2種類の商品だけで売り上げの8割を満たしている、というようなイメージです。

それをSWOT分析にも当てはめると、たとえば10件ある強みでも、最も強い2つをチェックすれば全体の8割をカバーしたことになる、というふうに整理できるのです。それなら2×36通りの戦略案を比較検討することで足りるのですから、しっかりと時間を使って十分な検討をしていただけます。

この分析が力強いのは、まず「強み(S)を機会(O)に投入する」仮説を吟味することによって、参加者と成功のイメージを共有することができる点です。しかも要素の数は通常だと強み(S)が最も多くなりますので、たとえパレートの法則を当てはめてもこのプロセスに掛ける時間が一番長くなります。

議論はなんでもそうだと思うのですが、成功のイメージについて話す時間が長くなると、ポジティブな発想がさらに新しい発想を呼び、全体的な高揚感をさらに強めるということになる場合が多いのです。集団催眠、というと間違ったイメージにつながりかねませんが、みんなで一緒にやる気になる、というような雰囲気が醸成されるのは間違いありません。むしろそれこそが、社内でSWOT分析を実施することの重要なメリットなのです。

あなたの会社では、グループでSWOT分析を実施してみたことがありますか?

 

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西田純

知見発掘の経営コンサルタント

株式会社FSコンサルティング代表取締役

西田純

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