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儲かるガソリンスタンドが当月の売上よりも大事にしていること

  ロードサイド店の繁盛経営 三上康一 SPECIAL
三上康一 SPECIAL

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所 代表取締役 三上康一

長年ガソリンスタンドの現場で辣腕を振るって業績を向上させ、その経験を活かして60のロードサイド店舗の戦略を立案したコンサルタントが繁盛するロードサイド店舗に共通する戦略をお伝えする特別コラム。

■業界が抱える課題

ガソリンスタンドは、現在、ガソリンや軽油といった燃料油だけで利益を出すことは困難であり、オイルやタイヤ、洗車など燃料油以外の商品を販売していかないと利益が出しにくくなっています。

これは、昨日今日に始まったことではありません。長年の課題であるにもかかわらず、長年、この課題を解決できない事業者が多く、閉鎖に踏み切る店舗も数多くあります。今後は、燃料油も油外商品も販売しにくい電気自動車が普及することも踏まえれば、この課題は今後もガソリンスタンド事業者へ今以上に重くのしかかってくるでしょう。

■中長期的視点と具体策がない経営陣

そのような状況の中、複数の店舗を展開する、あるガソリンスタンド運営会社は、経営陣が会議の席上で、居並ぶ店長に向かって以下の発言をしました。なお、この会社は、経費を徹底管理するべく、店舗の販促費は全て本社の決済がなければ使えないこととしています。

「油外収益は月初の5日間で決まる。月初5日間の油外収益を6倍すれば1か月分の油外収益が予想できる。それが月間の販売予算に未達であれば、6日目以降で何か手を打たなければいけないことなど、当たり前のことである。」

例えば、この発言を受けた店長が翌月の5日を過ぎ、その時点での油外収益を6倍したところ、販売予算に届かなかったとします。そこで、エンジンオイルのチラシを作成して、オイル交換の重要性を訴求する手を打とうとしたとします。

まず、店長は、チラシ作成の費用を本社からもらえるように決裁書を書かなければなりません。その決済が降りたら、チラシ作成業者と打合せをしてチラシの内容を決めます。業者によるチラシの印刷が終わり、ガソリンスタンドに納品され、店頭で配り始めます。ここで月の半分は終わっているでしょう。場合によっては、月末近くになっている可能性もあります。これでは、当月の油外販売が強化できる可能性は高くありません。

それは店長もわかっているので、結局、油外収益の販売予算を達成するために、自分が店頭に立ち、あの手この手で油外商品を売ろうとします。店長は部下に対しても、具体策を示さないまま檄を飛ばします。本社がそうですから、店長もそうなります。このようなプロセスを経て、現場では、油外商品の押し売りが始まっていきます。

それに疲れた店長や店舗スタッフは、退職をするようになり、人材不足に拍車がかかります。経営陣に、中長期的視点と具体性がないと、このような問題が起こり始めます。

■マーケティングを考える

マーケティングを考える際に、よくセリングという概念との対比が取り沙汰されます。マーケティングは、売れる仕組みづくりと明日の糧に焦点を当てます。セリングは、売り込み方と今日の糧に焦点を当てます。よって、前述の会社は、セリング志向であることが分かります。

そこで、マーケティング志向に転換する必要があります。少なくとも今月の油外収益は半年前の取組みの結果である、という認識が必要です。年間の販売・経費予算を組む以上、年間の販売促進策を予め構築し、具体的な行動計画を立案しておくことは当然と言えるでしょう。

販促策には、チラシ、ダイレクトメール、看板、POPなど様々なものがあるはずです。これらを駆使して、いつ、誰が、何を、なぜ、どこで、どのように作り、活用するのか、具体的に定めておかないと行き当たりばったり、出たとこ勝負の事業展開にしかなりません。

儲かるガソリンスタンドが当月の売上よりも大事にしていることは、数か月以上先の売上であり、具体的な行動を予め策定しておくことである、と言えるのではないでしょうか。

ロードサイド店の繁盛視点
三上康一

ロードサイド店の繁盛経営コンサルタント

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

三上康一

執筆者のWebサイトはこちら https://roadside.co.jp/

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