クリニックのエリア戦略を考える

  クリニック会員制 笹島隆博 SPECIAL
笹島隆博 SPECIAL

クリニック会員制コンサルティング

株式会社 ビジネスプランテーション 代表取締役 笹島隆博

クリニック専門のコンサルタント。これまでの、「病気の治療にだけ焦点を当てたクリニック運営」だけでは疲弊してしまう。院長の想いを実現し、患者さんに喜ばれる豊かなクリニック経営を実現する、独自の会員制の築き方を指導する。


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先日、関東の都市部隣接の住宅地で開業されているI先生からご相談をいただきました。I先生は、今から15年前に内科クリニックとして開業され、途中で医療機器メーカー指導の下、当時、最新鋭とされた検査機械をいくつも導入されたそうです。

しかしながら、最近になって、同じようなクリニックの500メートル圏内に立て続けに開業し、患者数が急に減って来た現状から、
「笹島さん、どうすれば、この状況に歯止めを掛けられますか」というご相談をいただきました。

I先生に起きたこの現状を分析した結果、「ピザパイの分割現象」が起きていることがわかりました。

ピザパイの分割現象とは、クリニックの患者対象となる地域人口を、一枚のピザパイで考え、そのピザを何名の医師でシェアしているかを分析するという考え方です。

例えば、1万人の人口地域に、歯科、内科、小児科、耳鼻咽喉科、整形外科などの診療所が、バランス良く配置されていればいいのですが、現実的には、複数のクリニックが存在し、風邪薬の処方となれば、内科・小児科・耳鼻咽喉科が同じ患者を取り合っていることになります。

このような状況の中で、同じ内科クリニックがこの地域に2軒しかなければ、医師一人あたりの地域人口数は5,000人になります。しかしながら、これが5軒の内科で割ると、医師一人当たりの地域人口数は2,000人に減ってしまいます。

高度経済成長時代の都心部隣接の住宅地では、ピザパイを分割するライバル医院の開業スピードよりも、地方からの爆発的人口流入数とベビーブームの影響で、売上・患者数は常に上昇していました。

しかしながら昨今の少子高齢化の影響により、40年以上前に建てられた京王線の多摩センターのマンション群や都営公団の高島平団地(板橋区)では、住民の高齢化が進み、過去のような人口流入は期待できないご時世になりました。

もちろん、人口増が期待できず、同業医院が拮抗しているエリア内であっても、優位性となる専門性を持てば、唯一無二のクリニックとしてポジショニングはとれますが、I先生の場合には、専門性が低かったため、2つのエリア戦略を考えました。

 その際、まずは都心部隣接の住宅地の一般的クリニックの患者さん来院エリアを分析しました。こうした住宅地の患者さんは、私鉄ないし地下鉄の駅から、徒歩で3分・5分・10分、あるいは自転車で3分・5分・10分の距離から来院します。

その中でも、患者さんが来院する北限を考えると、信号の待ち時間を入れて、徒歩10分圏、あるいは自転車3分圏のクリニックから500メートル圏内になります。

まずは、この500メートル圏内での認知率を上げるために、『オセロ戦略』を取りました。オセロ戦略とは、路上アンケートを講じて、自クリニックの認知率がゼロの地域を割り出し、認知率が低く、真っ白な地域に対し、その色を反転させるがごとく、様々な媒体を使い、クリニックの認知度を徐々に上げていく戦略をいいます。

オセロ戦略では、クリニックが地域で一番信頼できるクリニックであることを住民の脳裏に記憶していただくための刷り込み戦術を多用します。その中心となる戦術が、広報媒体の見直しと、ニュースレターやハガキ等を使った患者紹介の誘因戦術です。

 もう1つの戦略は、『飛車戦略』を使いました。この戦略は自クリニックと同じ標榜科目がない、あるいは少ない地域を探して、思い切ってそこに移転して、その地域の患者さんに対して自医院が唯一で一番のクリニックであることを刷り込む広報認知を行い、地域での知名度を再構築します。引っ越しという、かなりの費用負担のかかる戦法ですが、ライバルのいない地域に進出することが出来れば、その先生は引っ越し先で一人勝ちすることができます。

しかしながら、多くのクリニックでは、患者数が減っている状況であるにもかかわらず、移転を視野に入れた飛車戦略はコストがかかるため、思い切って動けない現実になります。

それでも、打つ手は無限にあります。
患者数の再獲得に成功するための秘策がなくとも、日頃から院内でチームを組んで、少しでも良くしようと創意工夫を繰り返す事で、その答えは必ず見つかります。

日頃から、何かを変える努力をしていますか。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。


【クリニック専門コラム】これからの会員制手法の視点
笹島隆博

クリニック会員制コンサルティング

株式会社 ビジネスプランテーション代表取締役

笹島隆博

執筆者のWebサイトはこちら http://biz-plan.co.jp/index.html

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