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第36話 社長の仕事は、”社員の心根に触れる”こと。

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「ソノダさん、会社方針について、社員を説得することに嫌気がさしてきました。会社に協力的な人だけにお願いしてもいいでしょうか・・・?」

顧問先の社長の言葉です。会社の窮状を訴えても、なかなか”うん”と言ってくれない社員に対して、辟易している様子です。どうすれば、会社方針に納得し、合意してくれるのか・・・という悩みを抱えていらっしゃるようでした。

ところで、中小企業の社長は、こうした”社員の合意を取り付けられない”といった組織マネジメントの問題に直面したとき、社員との面識や親近感もあることから、その社員に対する社長自身の印象や関係性にとらわれやすく、問題の本質には切り込まず、表面的かつ傍観者的対応を取りがちです。

例えば、「協力したい人だけが協力すればいい・・・」と発言する社員がいた場合、社長は、「ここまで手塩にかけて育ててきたのに、チームワークを乱すようなことを言って、もう勝手にすればいい!」と憤慨し、一方的に”わがまま社員”というレッテルを貼り、その社員にどう対応するか・・・ということばかりに意識が向いてしまうのです。

社長は、知らず知らず、”発言の背景は何か”という視座を見失い、「私たち経営層には不足はないのか?」と自問自答できなくなってしまうのです。

かくいう私も、前職において、同様の経験をしてきました。ある社員が経営方針に反対すると、”あいつは労働組合員だから反対する”というレッテルを貼り、”反対する労働組合がおかしい。会社が常に正しい”という固定的な関係性に固執し、たとえ正論であっても、そうした社員の発言に取り合わない、発言の背景に思いを巡らさないという風潮があったのです。

自分自身の課題には目を向けず、社員の意見を聞かない。そういう経営者の無関心な態度が、社員に対して、経営者から疎外されているという感情を植え付け、労使関係が硬直化していったことは言うまでもありません。

顧問先の社長も、社員に会社の窮状は説明しているけれど、個別の社員への対応ばかりに追われて、現場社員を集めて意見を具体的に集約してみたり、会社方針を実現するための解決策を論議したりする場は、ただの1度も設けてこなかったとのこと。

社長は、そうした社員の”心根に寄り添う場”を持つことについて、時間的にも、金銭的にも、無駄なコストだと感じていることが多いのでは無いでしょうか。そこは”社員が自分でわかってくれ!”と。本当は、無駄なコストどころか、将来の会社発展に一番寄与する投資なのですが・・・。

私からは、社長が諦めて傍観者になってはなりません。社員の思わぬ言動に触れたことを契機として、それらの背景を洞察し、問題が見えればそこに主体的に関わり、社長が理想とする組織マネジメント像を、頑迷なまでに追い求めることではじめて、組織は成長していくのですとお伝えしました。

「協力したい人だけ協力すればいい・・・」と発言する社員は、「協力する私をもっと評価して!」という潜在意識があるのかもしれません。「協力したくない」と発言する社員は、「問題が発生したら、自分の技量では対応できないかも・・・」という、恥ずかしくて周囲には相談できない不安があるのかもしれません。

こうした社員の心根に触れて、得た情報(感情、事実、または知恵など)を踏まえた上で、改めて社長として、会社として何ができて、何ができないのか伝えるというプロセスを繰り返して、ようやく、社員の説得(合意形成)ができるのです。