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「チェーンで好事例を波及させることが出来ない理由」

  個店力最大化 伊藤稔 SPECIAL

「先生 人時を分かるようにして、表示するように指示しています。しかし、人時を抑えようとすると、レジを開けるのが遅くなり、お客様を並ばせてしまい気味で、そこは早くするように言っているんですが…」

とある チェーンの経営者からのご相談です。

お聴きすると、競合は朝から全台レジ開局しているのに、うちは 人がいなくて開けられていない。しかし、人時売上は決して高くなく利益もでていない。とのこと。

レジはスケジュールも頭数も見えるので、人を動かしやすい部門の一つとなります。そのため、セルフレジ化、無人化といったものが、よく話題になります。

これにかかる手数が減れば確かに人時生産性はあがりますが、お客様に対する顧客満足度が下がってしまうようなことになれば意味がありません。

また、フルセルフレジ化にするのにも、相当な投資額がかるので、投資効果と顧客満足度の指標をしっかり持ったうえでの、対応が必要である事には変わりありません。

冷静に考えてみればわかることですが、レジの人時は多くてもトータルに3分の1程度にすぎません。3分の2以上を占める、見えにくい売場の人時こそしっかり見なおしていくべきと考えます。

理由は簡単で、仮に人件費率10%の店であれば、売場人時の非効率な業務量を1割減らすことで、0.7%もの営業利益率改善ができることになるからです。

売場業務とは、荷受、品出し、発注、加工、価格変更といったものがありますが、お客様とは関係のない裏方の業務ですから、ここで少ない人数で早く出来る方法であれば顧客満足度にも影響がでることはありません。

そういう意味では、やるべきは 売場業務のあり方から取り組まれた方が、圧倒的に改善の成果は上がると言えます。

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「実際にどうやって 売場の業務を見ればいいのか?」という声が聞こえてきそうですが

片っ端から全て調べるのではなく、人時の実態を見えるようにして、一貫性をもってポイント部分に絞りやっていくことになります。

大事なことは、そこで得られた成果や結果を、一店舗で終わりにさせてしまってはならないということです。

チェーン経営が抱える問題の一つに、「横展開ができない」とか「店舗間のバラつき是正ができない」や「好事例の波及ができない」といった問題をどこでも抱えています。

批判を恐れず申し上げれば、そもそも、一店しかできないのは、チェーン力の発揮できてない同じ看板の、効率の悪い店の集まりです。言い方を変えれば、良いところを波及させることのできない弱いお店の集まり。ともいえます。

つまり、業務改革のポイントとは、二店 三店と成功の再現ができる強い店を作っていくことが最重要課題であり、そのためには、その骨子、やり方手順があって体系化されたものが必要になります。

あるお店で、「とても速い品出しのやり方手順」があって、それを他の店に波及させなさいと社長から言われています。しかし、それは 誰が何をつかい、どう広めていけばいいのか?が決まっていなければ、実行されることはありません。

「そんなの気の利いた店長に説明させればいいだけ」と簡単に言う方もおられますが、

――――やってみたらいいのではないでしょうか?と申し上げると、

「うっ!」と言葉に詰ります。

そもそも、店長は 店の責任者であって、他店への波及は店長の職務を超えた業務となります。

また、その店長は、店として直面する問題があって、必要に迫られたことからできたわけで、同じ問題に悩みをつことのない他店の店長が、その必要性に気づくことはないという事です。

仮に、やりたいと思っても、そのやり方手順を書いたマニュアルがなければ、やりようもありません。

そういった一連の流れを、取りまとめ、指導する組織があって、初めて波及させることができると言えます。

一方で、業務改革の取り組みをすすめているチェーンでは、こういった下地ができていることから、業務改革部が好事例を聞き出し、それをマニュアル化し店舗から簡単に見れるようにしています。各店はその手順に従ってやることで、自店の人時売上を変えることができるというわけです。

運営部長曰く、これまで人時売上が上がることが無かったのですが、ここ1年は着実に伸びています。

残業になっていた売場を、このマニュアルを見てやるように示すことで、ほとんどに人が早く帰れるようになりました。

これによって、変わったのは現場の声で、「早く帰ってもいいんだ」ということがお互いに言えるようになったという事です。

今では、年次有給取得も6割以上取得できてますし、売場間の支援体制もとれるようになり、導入した店舗は次々と人時売上を改善し続けています。

結果的に、店舗の人時は減って人時売上が上がったわけですが、それは、本部でこういった取り組みを推進する人材を強化したからにほかならないのです。

最初は、こちらのチェーンの経営者もさすがに本部を増やすのに、悩まれていました。これを機に、社内の風通しがとてもよくなり、今では、「店舗の人時生産性を上げる為に、本部を今年はどう強化していくか?」ということに、積極的に取り組まれています。

さあ、貴社では、まだ、従来型の店舗の欠員補充をつづけますか?それとも、人時生産性の高い仕組み作りにむけ、本部人材投入をしますか?

 

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