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「考える社員」をもつために社長がやるべきこと

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

創業以来増収増益、残業や報連相の禁止などユニークな社内制度で注目される未来工業株式会社。以下、同社創業者の言葉です。


経常利益4000万円以上を出しているのは日本の企業のうち3%だけ。その3%の企業の真似をするのではなく、儲かっていない97%の企業がやっていないことを考えてやることにした。
だから、他社と同じものは作らない。他社がやらないからこそ自社がやる。そのために社是を「常に考える」とした。
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その言葉が「言っていること」よりも、その言葉が「まだ言っていないこと」を見よ。」―――当コラムでも何度かお伝えしている現代哲学の命題ですが、企業が差別化するためにはこの視点が不可欠です。

ここでは、「その言葉が言っていること=儲かっている会社がやっている手法」であり、「その言葉が言っていないこと=儲からない会社がやっていないこと」というわけです。

勉強熱心な経営者の中には成功企業の事例研究に精を出す人もおおいですが、その手法の上っ面だけをすくって自社に取り入れてもうまく行くはずがありません。

わかりやすい具体例ばかりが注目される時代ではありますが、成功企業の具体事例を知れば成功するというほど経営は簡単な話しではないわけです。もしそんな簡単なことならカンブリア宮殿とかがっちりマンデーなんかを毎週観ていれば経営者は大儲けできるはずです。

安易に具体に飛びつくのではなく、この創業者も言っているように、何をやるべきか、そして何をやらざるべきかをしっかり「考える」ことが滅茶苦茶に大事であり、それを幹部から社員まで全社を挙げてやってくれたらこれほどいい話はないということです。

それにしても、当たり障りないふわっとした言葉をならべた理念や社是を掲げる会社が多い中で、「常に考える」というシンプルかつ本質をついた指針を経営の軸として落とし込んだこの創業者の慧眼には感服するばかりです。

しかしです。社員に対して「もっと考えろ」と檄を飛ばすことは多くの経営者にも経験があることだと思いますが、実際それで社員がちゃんと考えるかというと、まあまったくそんなことにはならないのではないでしょうか。

そもそも「考える」とはどういうことを言うのでしょうか。そのことについて哲学者ウィトゲンシュタインはこのように述べました。


 「考える」という言葉は何を意味しているのか?

ある人にとっては自分の損得をすばやく計算することを意味する。

ある人にとっては相手の望む言葉や正解を自分の記憶の中に探すことを意味する。

ある人にとってはとりあえず黙りこくる姿勢を保つことを意味する。
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結論から言えば上記の例のどれも「考える」ということにはならないのですが、社員に対して「考えろ!」と言っても実際はこういうことをやるだけではないでしょうか。

自分の損得ばかり計算して動く社員…

上司の耳障りのいいことばかり言うYESマンの社員…

会議で神妙な顔つきで終始黙りこくる社員…

こうやってあらためて言葉で表現してみると、社員が「考えている」といいながらこうしたことに終始しているというのは何とも恐ろしいことです。

そして、こういう社員にいくら「考えろ」と言っても、それは何も言っていないのと同じです。彼ら自身は考えているつもりでも、会社にとっては何も有益なことはありません。

だからと言って、常に彼らにこうしろああしろと行動内容を指示したのではますます彼らは考えないし成長しない。自発的に動けない指示待ち人間をつくるだけのことになってしまいます。

ではどうすれば彼らがしっかり考えるようになるのか。

それは、彼らに考える枠組み、思考のフレームワークを授けることです。

あることを考えるためにはどんな情報を集め、それをどのように整理し、そしてどういった考え方をして結論を導き出すか。そのような、いわば考え方の手順や道筋を示すことで、社員は本当の意味で思考と向き合うことができるようになります。

当社が行っているコンサルティングもこれと同じことと言えます。クライアント企業が市場でしっかり独自性を発揮できるキラーサービスの構築をご支援していますが、このサービスの内容を「答え」としてクライアント企業にお渡ししたのでは意味がありません。そんなものは当たるも八卦当たらぬも八卦、当てもののようなことでは再現性がありませんし、クライアント企業に仕組みが残りません。

そうではなく、コンサルティングが終わったあとでもクライアント企業がキラーサービスを自ら生み出していき、そしてそれを進化させていけるよう、仕組みとして残る「考え方」をお伝えしています。

社員が確固とした「考え方」をもち、チームとして思考し会社の強みを見いだす。そしてその強みが陳腐化しないように継続的に磨き続ける。それが組織力です。

そしてその組織力を持つための方法は、社長が社員に常に「答え」としての具体的な指示を与えることでもなく、逆に「もっと考えて動け!」と発破をかけることでもありません。

こと思考に関していえば、彼らを「枠」にはめることでクリエイティビティを発揮できるのです。社員が組織としてしっかり考え動くための指針となる「考え方の枠組み」を示していきましょう。

 

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