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「改革を先延ばしにする経営体質の末路とは」

SPECIAL

個店力最大化コンサルタント

株式会社 レイブンコンサルティング

代表取締役 

儲かるチェーン店をつくっていくには、時代はいま、「画一化」から「個店力最大化」へと変わっている! 多店舗展開するスケールメリットと、一店一店の魅力を強くして収益力を圧倒的に強くしていく実務とは…。

「伊藤先生、業務改革をはじめるのを3カ月遅らせて欲しいのですが…」とあるスーパーマーケットチェーンの経営者からのご相談です。

――――スタート時期を遅らせることで、状況は良くなるのでしょうか?

「どうも繁忙期に、プロジェクトをスタートさせるのには不安があるものでして…」

――――厳しいことを申し上げますが、3カ月先の状況が、今より良くなる可能性はありません。
むしろ繁忙期だからこそ、状態を把握し、手を打たなければ、取り返しのつかないことになります。とハッキリ申し上げました。

社長にご案内いただき、現場を拝見すると、売上右肩下がりの店齢25年以上の未改装店内に、所せましと積まれた商品在庫を、陳列に時間をかけ忙しそうに処理するパートナーさんの姿が見えます。

人に作業がついており、各自が自分の担当しかやらない業務構造のため、常に多めに人を確保しておかなければならない様子が伝わってきます。

商品在庫と、属人的で非効率な業務構造にかけている、利益に結びついていない業務だけでかなりの作業量あるのがわかります。これが日々人件費として使われ、収益を上げる成長戦略の原資が確保できない。これに誰も気づいていない、硬直した組織体制を目の当たりにし、強い危機感を憶えました。

今のままで 経営を続ければ、無駄にお金が使われ続け、3カ月後はさらに 悪化するのは、火を見るよりも明らかなことから、話し合いの結果1カ月後にスタートは決まりました。

ところがその数日後「一度は、すぐにやろうと決めたが、あの時は勇み足で…どうしようか迷っている」という社長からの驚きの電話が…

一カ月でも遅いのくらいと思っていたのですが、それを3カ月先延ばししたいとは何事?とわが耳を疑いました。

――――今、貴社がどういう状況なのかわかっていますか?と申し上げると

「う~ん」と言葉に詰ったご様子。

こういう状態になるまで、なぜ、業務改革をズルズルと先送りにし、放置してきたのか?ある意味、経営が決断を避け続けた 衰退するチェーンに共通する悲しい現実です。

私自身、危機という局面に何度も対峙し、ボロボロの店舗をマイナスから再建に関わってきたわけですが、正直申し上げて、このチャンスを逃したら、会社を復活させることは二度とできないと、この店舗を拝見したときに直感的に感じたほどです。

業務改革プロジェクトを進めていくということは、経営として決断すべき課題と対峙し、白黒つける習慣を取り入れることで、物事の是非、正しいか正しくないか、先送りせず、その場ではっきりさせていくことです。

言い方を変えれば、この改革の最大目的は、これまでやってきた「先送りをする悪い習慣」から脱皮し、白黒をつけ「すぐ行動する良い習慣」に変え弱点克服をしていくものです。

これを理解せずズルズルと先延ばしにしていると、時間切れとなり、チェーン企業にありがちな「上手くいってるドル箱店のまね」をしたり「手間ひまかけ、売場を作れば売れるようになる」といった根拠のないやり方を繰り返し、ズルズルと売れない店へと落ち込んでいくコトになります。

自社の立ち位置を、儲からないゾーンから、儲かるゾーンでビジネスを展開していくには、ズルズル先延ばしによる時間切れを防止することが唯一の方法であり、それには人時割レイバースケジュールを活用した仕組みが必要となります。

そのためには、現状の実態を調べ、「人に仕事」から「仕事に人」をつけることになるのですが、この導入・移行方法を間違えてしまうと、社内離反がおき、ベテランから辞めていく。といった事態が起きます。この導入が、想像以上に難しく、デリカシーが必要な部分があるからです。手順に基づき、必ず社長にも一緒に入ってやっていただかなくては出来ないということです。

なぜ、社員だけではこれが難しいのかといいますと、仕事に人をつけて効率的に作業をやる。ということは、社員の目からみれば「自分が自由にやることを否定される」ことを意味するからです。

社員ひとりひとりは感情をもった人間です。個人を尊重しつつ、人時生産性をあげるといった、この相反する2つのことを、同時進行させていかなくてはなりません。それゆえ人時生産性を上げる仕組みと、社員を熱狂的に躍らせるための仕組み導入は、社長にしかできないのです。

このタイミングが遅れることで、改革に抵抗する勢力が増殖します。時間をかけてやろうとすればするほど、抵抗勢力は社内に蔓延し、改革スピードは低下することになります。

会社の改革に期待していた優秀なベテラン社員が辞め、働きが悪くて、人時生産性の低い社員ばかりが残ってしまい、メチャクチャとなり、取り返しのつかないことになり、業革は暗礁にのりあげ大変なことになるのです。

実際にこういった、社員心情を、分かっていない経営者は、業務改革プロジェクトをいとも簡単に先送りしたり、業務遅延による日程変更をして、その多くが失敗に終わっています。

特に、スタートは極めて重要で、プロジェクトメンバー選定や、キックオフの日程、そのプログラムの骨子が明らかにされる時です、これが、繁忙期だからといって、先送りされるとなれば、業務改革など出来るわけがありません。

繁忙期だから… 休日だから… 年末だから… 売り出し初日だから… といった、基準はズルズルと先延ばしをしてきた過去のものです。その感覚でつくられた古いシフト表にもとづいて、今日も、昨日と同じ作業を繰り返しているのです。

業務改革とは、最も企業が儲かることに、人時を集中させ、それ以外の儲からないことは、手をかけない。これが 人時割レイバースケジュールとなって、いることから、そこから割り出される生産性の高い、作業指示書がはじめて出来上がるのです。これを 丁寧に社員やパートナーさんに説明し、浸透させていくには、時間が必要となります。

もっとも慎重にやるべきことは、人時に対し、経営が正しく学び、認識することであり、現場への間違った情報を流さないようにすることです。一旦間違った情報がながれてしまえば「リストラが始まる」「部門統合がおきる」「残業カット」…といったマイナス情報が独り歩きします。

業務改革に対する抵抗勢力の風当りが強くなり、本来簡単に進むものも、進めにくくなります。火消しに追われ、まともなプロジェクト活動にもどすのに長期かかることもあるので、スタート時期を遅らせるということは、致命的なことになりかねませんので、その場合は、やむおえず不可と判断することもあります。

3カ月延ばす社長の共通点は、ズルズル赤字が増え、やがて倒産することであり、そこにはある一点を過ぎると絶対に取り返しが効かない臨界点的なものがあります。それは多くの場合、ダメ経営者に限って見逃します。ダラダラしているからです。見逃すか、未来の繁栄を築くか、社長の英断が決定するのです。

さあ、貴社では まだ繁忙期を理由に、先延ばしをますか?それとも、速攻で動き、起死回生のチャンスを飛躍の足掛かりにしますか?

 

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