トップ > 成果を最大化する「ストーリーのある戦略」と「箇条的な戦略」の違い

成果を最大化する「ストーリーのある戦略」と「箇条的な戦略」の違い

  ホスピタリティビジネス 船坂光弘 SPECIAL

 

厳しいマーケット環境の中、どのようにすれば、限られた経営資源の中で最大限の成果を生み出すことができるのでしょうか?

私のコンサルタントとしての経験の中で、

実はこの戦略に「ストーリーがあるか」

戦略が「箇条的」でストーリーがないかによって、

あらゆる成果に大きな影響を与えることが分かっています。

それは、どういうことでしょうか?

例えば、私はウェディング施設の支援をさせていただくことがあるのですが、ウェディング業界も、少子高齢化に加え、生涯独身率の増加、結婚式を挙げない「なし婚化」など、厳しい環境下にあります。

その上で集客は結婚情報誌とWEBを中心とした媒体を駆使して、新規顧客を集客し、ブライダルフェア等のイベントでウェディングプランナーが自式場の商品紹介、セールスをします。

そして、その接客により、カップルが式場に選んでもらえるかという受注活動をしています。

当然、このようなマーケット環境下であるので競合との受注合戦、価格競争も白熱しております。

当コンサルタントの関連商品を販売しています。

その中で苦戦している式場にお邪魔して現状を見ると、まさに、戦略のストーリー性や一貫性が無いことに驚きます。

例えば、結婚情報誌やWEB広告では「料理の組み合わせが自由自在」と掲載しているのに、プランナーの接客では、殆どその事に触れずに接客をしていたり、

広告では「オーダーメイド」を売りにしているのに、商品は「お得な30名様100万円」といった、パッケージ商品を中心とした商品展開をしていたりと、

折角多額の広告経費を掛けて集客しても、それに伴った接客サービスや商品造成ができていないというのが現状として非常に多く見られます。

これはウェディング業界に限ったことではなく、以前も競合他社とのサービスで差別化を図りたいと、ある介護施設の社長が相談に来ました。

話しを聞くと、周りにも施設が沢山出来て苦戦しているとのこと・・・、

私がヒアリングを続けていると、その施設名に「ひばり」という文字が入っていたのが気に掛かり、

「施設名の由来は何ですか?」と聞くと、

「私たちの施設は、入居者の皆さんが合唱を通じて、楽しさや生きがいを感じて欲しいと付けた名前とのこと」。

その「合唱」に関しては、ホームページに掲載されていますか?と聞くと、

「掲載していません・・・。」

といった感じです。

自分たちの戦略にストーリーがあるかどうかをチェックするには以下の3つが必要です。

  1. 本来自分たちが伝えなければいけないこと、核となる強みをしっかりと伝えられているか?
  2. 自分たちの伝えている価値と整合性のある商品造成ができているか?
  3. ホームページや広告で伝えていることを接客サービスにまで落とし込まれているか?

これらができていないと、例えば前述のウェディング施設の例で言うと、今月の結婚情報誌にどんなことを自社が掲載しているかも知らないでウェディングプランナーが接客しているということも珍しくないということになります。

それでは、ストーリーのある戦略を策定する為には何が必要なのでしょうか?
それには、以下の4つプロセスが必要になります。

プロセス1.企業理念や企業ミッションといった、自社が顧客や社会に提供する価値を明確にする。
全従業員が目指す指針が見えないと、各部署の理解で広告展開したり、商品を作ってしまい、箇条化してしまいます。
まずは、核となる「提供する価値」を明確することが必要です。

プロセス2.企業理念に基づいて、サービスコンセプトを策定する。
企業理念に基づいて、自分達が提供するサービスのコンセプトを策定します。
「自社の強み」「ターゲット」「ポジション」を明確にして、自分達が提供するサービスを定義します。

プロセス3.各戦略を策定する。
このコンセプトに基づいた「集客戦略」「商品戦略」「接客サービス戦略」「価格戦略」を策定します。
例えばレストランで「わが家のおもてなし」というコンセプトにするのであれば、集客においては、「わが家をイメージさせる写真や色遣い」をホームページに反映させる。
商品戦略では、「家庭を感じさせる手作りにこだわった料理」「地元の人しか扱わない食材」「自家製の漬物が最初に提供される」などが考えられます。
接客サービス戦略では、「いらっしゃいませ」ではなく、わが家なので「おかえりなさい」と入店時に声掛けする、
料理をサービススタッフがお客様の目の前でひと手間加えて完成させる、和室の個室には冬はこたつの部屋をつくる。

プロセス4.しっかり現場に落とし込む
このプロセス1から3をしっかりと現場に落とし込むことが重要です。
実は、顧客に最終的に提供されるこのプロセスが不十分な為に、物足りなくなるケースが多いのも事実です。
企業理念から、コンセプト、接客サービス戦略をアルバイトまで含めて、全スタッフに理解させて、トレーニング、体現させてはじめて、お客様にストーリーとして提供されるからです。

例えば、お迎えの際に「おかえりなさいませ」と言っているスタッフと「いらっしゃいませ」と言っているスタッフが居れば、何ともチグハグなものになってしまいストーリーにはなりませんし、提供している価値がブレているということになります。

一般的に私が見る限りでは、プロセス1のこのストーリーの源である、企業理念、ミッションの理解、浸透が従業員に不十分なことと、プロセス4の現場にしっかりと落とし込まれていない為に、プロセス2と3は幾らしっかりと練られたとしても、
最終的な顧客接点である現場が他の店と何ら変わらない接客になってしまっているという現状が散見されます。

これらが、ストーリーにならずに箇条的になってしまう大きな要因になっています。

スターバックスコーヒーのミッションは、
「人々の心を豊かで活力あるものにするために ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」です。

そして、コンセプトは、家庭でも、会社でもない「3rd PLACE」です。
提供する価値は「誰もが自分の居場所を感じられる場所」であり「人間らしさ」さを大切にしています。

これらが、接客サービスでは「いらっしゃいませ」ではなく、親しみを込めた「こんにちわ」であったり、注文から商品提供される間に、その時々の声掛けであったり、商品のカップに、イラストやメッセージが書かれていたりと、自分の存在を認めてくれる居場所をサービスで体現しています。

このようなストーリーが、ブランドを創り、お客様の支持を集めて、今も1500店を超え、まだ伸ばし続けています。

モノは溢れ、飽和した成熟した社会では差別化は益々困難になってきます。

この中で、自社のミッションに基づき、それを戦略に生かし、現場で体現する。
この事こそ、企業のあるべき差別化であり、これからの最強の戦略です。

そして、この効果は対顧客だけではなく、従業員にとっても、自分の仕事における価値を見い出すことができ、自社に自信を持ち、自分の仕事にも誇りを持つことができます。

確かに、少し時間を要するかもしれませんが、一度創り上げられたものは、企業文化、風土となり、他者が追随不可能な、普遍な独自性が確立されます。

あなたの会社は、箇条的戦略で戦いますか?

それともストーリー的戦略で戦いますか?

 

月刊誌(無料)登録フォーム

×