「楽しさ」は人を動かす原動力
私事で恐縮ですが、先日「○○鑑定団」に出演しました。軽い気持ちで応募したのですが、運よく出演が決まりまして、インタビュー、現地ロケ、スタジオ収録、放送という運びになりました。鑑定結果もよく、自身も応援団の人たちも楽しく過ごすことができました。
一つのお遊びと考えれば、鑑定結果にかかわらず「面白かった」で済んでしまうのですが、そこは商売柄、ビジネスのヒントになる話をしたいと思います。
まずは、なぜあのテレビ番組が長寿なのか、です。今年で33年目を迎えます。こんなに長寿なのは、何らかの理由があります。当然、人気番組だからです。人気がなければ、すぐに打ち切りになるはずです。
それでは、なぜ人気があるのか、です。「観ていて面白いから」というのが普通でしょう。しかし、ただ単に面白いだけでしょうか? 確かに出演前までは、そう思っていました。ところが、それだけではないということに気が付きました。今回はそこのところをお話しします。
このテレビ番組は、出演者(お宝を持っている人)がいなければ成立しません。もちろんゲストとして芸人や役者など有名人も出演しますが、基本的には素人の出演者が主役です。
出演者が価値ある?モノを持ってきて、それにプロの鑑定士が値段を付けます。とても価値が高いと思っていたものが実は偽物だったり、どう見てもガラクタにしか思えないようなものが実は新発見の重要文化財級だったりと、そのギャップが面白いのです。
出演者が大喜びする様や、がっかりする様を観るのも面白いのでしょう。「他人の不幸は蜜の味」などと言いますが、そういった心理を利用しています。出演者は、ある程度は覚悟ができているはずですので、評価が低かったとしても、単純に「面白い」ですむ話だと思います。
テレビで観ている分には「面白い」だけですが、現地ロケとスタジオ収録を経験すると、また違った感情が沸いてきます。それは「楽しい」です。
なぜ楽しいのか? それは出演者に対する、スタッフの「おもてなし」があるからです。
初めてのロケやスタジオ収録で多少は緊張します。その緊張を解きほぐそうとスタッフの担当者は寄り添ってくれます。スタジオの観覧席で応援する人たちにも、いろいろな場面で声をかけてくれます。本番収録前には、前座の芸人が場の雰囲気を盛り上げてくれます。
番組制作の上では当然のことかもしれませんが、非日常を味わえた上にスタッフの心遣いがうれしいのです。もちろん、鑑定結果が想像以上、想像通り、想像以下、それによって満足度も変わってきますが…。
おもてなしの定義は様々あるかと思いますが、ここでのおもてなしは、大げさな接待をするわけでもなく、豪華な食事を用意するわけでもなく、上へ上へと持ち上げるわけでもありません。
そうではなく、多少緊張している出演者に対して、緊張を解きほぐすための「寄り添い」だと感じました。
「私がいるから大丈夫ですよ。安心してくださいね」
こんな感じです。
出演者が楽しいのであれば、当然、応援団も一般観覧者も楽しくなります。出演者、応援団、一般観覧者が楽しければ、番組製作スタッフやMCの人たちも楽しくなるでしょう。そして、みんなが満足感に浸れます。
これは「インタラクティブマーケティング」に通じます。従業員が仕事に対して満足していれば、様々な接客場面を通じて、それが顧客に伝わり、顧客もそのお店に対する満足感が高まります。そして、またその逆もありという経営理論です。
実際にロケやスタジオ収録場面に立ち会うと、テレビの画面からでは伝わらない「汗」が見えてきます。出演者に満足してもらうための「おもてなしの汗」です。
スタッフの方々は、それが当然の仕事ですので、特に意識していることはないでしょう。また、それを表に出そうとして仕事をしているわけではありません。
したがって、ただ面白いだけだと見過ごしがちですが、そこには組織としての「しくみ」があることを見逃してはいけません。
大切なのは、しくみを作ること以上に、社員がそのしくみを意識せず回し続けることです。
人は元来「苦しい」「悲しい」「寂しい」は嫌いです。その反対で「楽」「楽しい」「面白い」は大好きです。これを利用しない手はありません。社員もお客様も、それらを感じられる営業戦術が求められます。
あなたの会社の社員は、楽しく仕事をしていますか?
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