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余計な気遣いをさせない力

SPECIAL

ブランディング営業体制コンサルタント

H&Cブランディングマネジメント株式会社

代表取締役 

中小企業のための、「ブランディング営業体制」を構築するコンサルタント。営業スタッフのみならず、全社をあげて、企業価値をしっかり守り、価格競争をせずに確実に売れていく体制づくりを指導する。

「取引先の担当者が変わると、これまでのやり方が通用しなくなって苦労するんですよね~」

先日お会いした、ある会社の営業部長様とのお話です。長くお付き合いのある取引先でも、担当者が変わると、これまで聞かれたことの無い質問を投げかけられたり、他社と金額や内容を比較される…いわゆる“アイミツ”を取られたりすることはよくあることです。長年通い慣れた会社で、こちらは十分信用をしてもらっている(こちらにとっては優良顧客だ)と思っていたのに、実は先方はそうでも無かったと知った時、やはりそのショックは隠せないものです。

ただ前任者から引き継いでここまで来た…

たまたま今までタイミングが良かった…

忙しくて他を探したり検討したりするヒマが無かった…

など、こちらの営業努力と言うよりも「ラッキーな偶然」の連続で取引が継続していただけ…なんて言うこともあるかもしれませんが、理由はさて置き、一度他社に持って行かれてしまった顧客を再度こちらに振り向かせることはなかなか難しいもので、できればそうなる前に早めに手を打っておきたいものです。

私自身も経験がありますが、一つの会社と長くお付き合いが続くと、お互いのことを段々と深く知ることができ(たつもりになり)、仕事以外にも人間的な信頼関係が生まれて来るものです。個人的な友人同士であればそれはそれで結構なことなのですが、企業対企業ではそうとばかりも言っていられません。

会社にとって本当にメリットのある取引なのか?魅力ある会社なのか?逆にリスクは無いか?…こう言ったことを常に見られているワケです。普段、何事も無くうまく行っている時は表に出にくいものですが、何かのきっかけ(ちょっとした食い違いやトラブルなど小さなものから、業界の環境変化やトップの方針変更など大きなものまでありますが…)が引き金になり、仕事の内容やそもそも会社の在り方まで問われるようなことに発展するケースもあります。それらに遭遇した時、担当者の決定理由は大きく変わってくるのです。当然そこでは「長年お付き合いがあるから…」という理由は通用しないのです。

 それに気付かないまま、これまで同じように…さしたる進化や努力も無く…むしろ当然のように…顔を出しているだけでは、“その時”はある日突然やって来るのです。これら全てを未然に防ぐことはできませんが、少しでも早めに相手の変化に気づく(その予兆を感じる)ためにできることとは何でしょうか?

飛び込み営業など、初対面で全く馴染みが無い時には平気で断って来た相手も、一度取引がスタートし、何年も同じ顔を見ている間に自然と心を許すものですが、反面、言いにくいことを言わなくなる(言えなくなる)と感じる人もいます。こちら側が良かれと思って一生懸命であればあるほど先方に言い出しにくい雰囲気をつくってしまいます。営業マンとして、相手にモノを言わせない独特の空気感ももちろん大切ですが、一番重要なのはお客様のニーズです。その変化には常に敏感でなければならないのです。

そのために最も気をつけなければならないこと…それは、「距離感を保つこと」です。

断ったら悪い、金額のことを言ったら申し訳ない、忙しそうだから面倒なことを言うのはよそう、など…向こうに遠慮をさせてしまう普段の雰囲気や、お互いに馴れ合いになってしまって緊張感に欠けるちょっとした言動の積み重ねは、やがて大きな壁となって私たちの前に立ちはだかります。

そうならないために、日頃から相手の言動を冷静に見つめ、少しの変化も見逃さず(例えば電話やメールの一言一句にいつもと変化は無いか?社内の組織や役割に変更は無いか?周辺の同業他社の動向はどうか?)などにこちらは精一杯気を遣いながら、一方で、「最近はどこもそうですから」「他社でも同じようなご心配があるようで」…と投げ掛け、先方には気を遣わせない努力を密かに続けることが重要です。

どんなに近しくなっても常に心に一定の距離感を持つ…分かっていてもなかなかできないものです。相手に気を遣わせない存在であることは、その存在をアピールすることよりも力を要するからです。

経営者の皆さま。御社の顧客は気遣いなくモノを言ってくれますか?言いにくい情報が入ってきていますか?こちらのメリットや情報ばかりを一方的に押し付けていませんか?長い付き合いだからと安心していませんか?親しき中にも礼儀あり…あまり近しくなりすぎると本当に大切な「お客様の声」が入りにくくなりますよ。

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