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中小企業は居心地の悪さを活かして、現状を改革する

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

中小企業は居心地の悪さを活かして、現状を改革する

「ウチの会社は居心地がいいんで、社員がなかなか辞めないんですよ」

某大手企業にお勤めの人と話をしている時のこと。それ自体は素晴らしいことだと思いますが、ご本人は少し不満があるご様子です。

会社の居心地が良いということは、逆から言えば、ぬるま湯的な雰囲気があることにもつながります。そして、実際その方が上司に提案すると、「まぁまぁ、ちょっと待って」と言われて、最終的にうやむやにされてしまうこともよくあるそうです。

人手不足が深刻化する中、社員の定着率をどうやって上げていくかは、大きな経営課題の一つです。定着率を上げるために、職場環境を改善したり、福利厚生を充実したり、と各社とも様々な努力をされています。けれども、大手企業と比べた場合、中小企業では、待遇面での格差を完全に埋めることはできません。

私も最初の勤務先は大手企業。勤めていた時はあまり気づきませんでしたが、転職した後で、「やはり大手企業は恵まれていたなぁ」というのをつくづく実感しました。

けれども、今振り返ってみると、「あのタイミングで辞めて正解だったかも」と感じています。その理由の一つが、自分の価値を客観的に知ることができたということです。大手企業という看板を背負っていると、本人の実力は別にして、社会的にはいきなり変な対応をされるケースは少ないです。

例えば、転職する間際に社宅を出て、今のマンションを借りる時。不動産管理会社の人から「あそこにお勤めなら安心ですね!」と言われ、即入居OKの返事をもらいました。その時は、「『あそこ』はもうすぐ辞めるんだけど」と思いつつ、「世間は本人がどうかより、勤め先がどこかで判断するんだ」というのを実感しました(苦笑)。

このような波及効果も入れると、大手企業に勤めるメリットは、かなり大きなものがあります。けれども、これからの時代。もはや大手企業に勤めることが安泰とは言えなくなりました。その時、問われるのは、個人、一人ひとりの実力です。この点において、中小企業は大きなチャンスを生み出す場です。

大手企業では仕事全体を見通して、最初から最後までやるというのは意外に少ないものです。一方で、中小企業の場合、人数にも限りがあるので、一つの事業を一人で立ち上げ、一人で回していくケースも少なくありません。その時、必要とされるのは、事業のビジョンであり、事業全体を見通して、形にしていくマネジメント能力です。

自分が責任者となって、仕事を回していくことは、それなりのプレッシャーがあります。このため、人によっては「居心地が悪い」と感じるかもしれません。しかし、この「居心地の悪さ」は、これからの日本がより長く成長していくためには欠かせない要素です。

中小企業が大企業と勝負するのは、社員の待遇面の充実ではなく、社員が真の実力をつけるための実務面の充実です。会社のためを思っての社員の提案を「まぁまぁ、ちょっと待って」と握りつぶしてしまう会社は、そのうち変化のスピードについていけなくなります。

 

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