社員の習慣はあなたが作っている

先日訪問した会社で、こんな相談を受けた。
そこでは、通常、管理職と呼ばれる立場の人材が、顧客クレームが起きると「部下のあいつが悪い」「機械の調子が悪い」というところから始まり、 「会社の管理体制がなってない」「設備投資しない経営が悪い」と言い出す始末。
経営者も手を焼いている。
クレーム以外でも、社内で起きる様々な問題に対して、何でも自分以外の責任・・・いわゆる「他責」にしているそうだ。つまり「自分はやっている」「頑張っている」と。
・・・問題が起きたら、そこには、様々な要因があると思うが、それを自責にするか、他責にするかで、その後のアクションは大きく変わると思う。
客観的には、他責の人を見ると、
「結果的に、自分の選択肢を狭めているな〜」
「結果的に、自分の信頼をなくしているな〜」
「成長のチャンスを自ら逃して、もったいないな〜」と思う。
しかし、それよりも懸念されることは、その「他責」が部下にも伝播し、「社風」になっていないだろうかということ。
習慣は、行動の習慣だけでなく、思考の習慣もある。
思考の習慣が、いつも他責だったとしたら・・・
しかも、その人材が部下に影響力を持つ上司だった、となると、組織はその影響を受けやすい。
問題が起きたら、それを他責にして、他者批判をする上司の背中をいつも見ていると、
「社会人って、こんなものなんだ」
「職場って、こんなものなんだ」
「仕事って、こんなものなんだ」
・・・といった間違った認識を持ってしまうこともある。
概ね、社会人経験の少ない若手ほど影響を受けやすい。
その状態がずっと続くと、他責の思考習慣は「当たり前」になり、
組織全体、上司の部下、そのまた部下にも伝播していく。
・・・これが、社風が形成されていく一つのパターンです。
10年以上、企業の組織成長に関わっている中で、感じることがある。
・・・それは、目に見えないものの力。
その最たるものが、「社風」と呼ばれるものだ。
社風は、目に見えない。
つかみどころがないもの。
社内に流れる雰囲気、というイメージ。
しかし、それは、社内にいると会社の社風が「当たり前」になっていくというある意味で「習慣の集合体」とも表現できる。
一つ例をあげましょう。
会社訪問をした際に、 ある会社では、笑顔で「いらっしゃいませ」と挨拶される。
別の会社では、挨拶もなく、社員は怪訝そうに訪問者を伺い見るだけ。その後、近くの席の人が促され対応する・・・
・・・実際にこんな会社は存在します。
ここでも社風が形成されているのです。
「個人の礼節・マナーがなっていない」という一般論では片付けられない。
それ以前に、そういう姿勢・態度に「無関心」な社風が形成されているのです。
例えば、何か問題が起きたら「他責」にして自己正当化するか、 改善し、よりよくするための「チャンスだ!」と身を乗り出し、自ら改善に乗り出すか。
・・・実はこれは、意識して、思考の習慣を変える努力によってなされること。
思考の習慣は、意識して、変えていくことができる。
一方で、人間は、どうしても無意識でいると、周囲から自分を守ろうとしてしまうし、リスクを避ける自己保身の姿勢になりやすい。
だから、無意識な人材が集まると、社風は必ず「悪くなる」。
そして、そのような職場の仲間に対して、 お互いに「そんなものだ」と諦め、「仲間も、上司も、やっているなら自分だけが悪くない」と依存してしまう、そんな社員一人ひとりが実は社風を形成している張本人なのです。
一方で、
「リスクをとって経験を積もう」
「他責ではなく、自責にしよう」
「問題は、チャンスと受け止めよう」
・・・と、全員が前向きに意識して、それをお互いが承認し合い、支援し合い、継続することができれば、社風は変わるのだと思います。
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「良い社風は、思考の習慣を意識する、
その努力の集合体で作られる。」
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良い社風は誰かが作ってくれるものではない。
各自が、意識して前向きに考える努力の結果。
つまり、前向きに考える努力を多くの社員が意識し、実行すればそれだけ社風は良くなっていくのだと思います。
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