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後継社長は覚悟を決めて、関心の向きを変える

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

父親が創業した会社で取締役として活躍されているAさんのお話をお聞きする機会がありました。

後継者候補として入社されたものの、最終的に会社を継いでいくには、社長との葛藤、社員との確執、実績を生み出すなど、いろいろと越えるべき壁が・・・。

ワンマン経営者である父親との間では経営方針を巡って、考え方の違いが浮き彫りになります。社内では社長に意見を言う人が少ない中、正論を吐いても、なかなか自分の意見は通りません。また、入社以前から会社にいる社員からは、「業界素人の息子さんに、何が分かるのか?」という視線が注がれます。

一方で、総務や経理など主に管理部門を任されているAさんからすると、「稼ぎ頭である営業部長が経費精算などで社内ルールを守らないのをどう対応するか」は、頭の痛い問題です。そして、入社する際にも、社長から言われたことの一つである「新しい事業を立ち上げて、社内で実績を示せ」というミッションは、口で言うほど簡単なことではありません。

一緒に話を聞いていた別の二代目社長も、「事業承継で社長になるより、自分で起業した方がずっと楽だ」と言っておられたのですが、事業承継で社長になるのは、0から1を生み出すのとは違った苦労があるのを再認識させられました。

けれども、社員の前で社長と大喧嘩して、「あまり社長に反論しない方がいいのでは」とアドバイスした社員に対して、「親のイエスマンになった瞬間に自分は終わる」と、あくまで自分の信念に沿って行動したAさん。

最終的にいつ社長になるかはまだ正式には決まっていないとのことですが、徐々に社員との間でも信頼関係を築きつつあり、いつか素晴らしい社長になるのではと感じた次第です。

今のご時世、社長の息子だからといって実力もないのに、後継社長に据えるのは、本人にとっても、社員にとっても不幸なことです。一方で、仮に本人が実力も資質も備えていたとしても、それがそのまま、今の会社の中で発揮できるとは限りません。

これに関連して、私が最近着目しているのは、経営者の関心の矢印が自分に向いているか、自分以外の人に向いているかということです。

特に後継社長の場合は、その会社の事業に関する経験値で言えば、創業社長にはかなわないので、カリスマ性で社内をまとめるという訳にはいきません。このため、後継社長が社員の感情や受取り方を無視して、「俺の実力を認めろ」ということに重きを置き始めると、どこかで足をすくわれます。

Aさんの場合は、同席されていた社員の言動から推察すると、「A取締役は自分のためでなく、 会社のために身体を張って頑張っている」ということが伝わっている様子でした。

最近私が気に入っているのは、ある先生から教えていただいた「人は信念と誠実さの量だけ、他人に対して非情になれる」という言葉。

関心の矢印が自分に向いている限り、どうしても「変なふうに思われたらどうしよう」という意識が働くので、他人には非情になれません。たとえ、他人に嫌がられても、煙たがられても、自分が正しいと思う信念を誠実に貫けるかどうか

自分の中に「覚悟」がないと、絶対に続けていけない姿勢です。

 

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