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サブスクリプションモデルが失敗する理由

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「やっぱりモノを所有する時代は終わりつつありますね…」— あるクライアントの経営者との会話の中で出てきた言葉です。

当社でもセミナーやコンサルティングにおいて、単に商品を製造したり調達したりして、それを顧客に提供するだけでは、これからの時代は厳しくなるということをつねづねお伝えしています。

過去においては日本の製造業のものづくりの品質の高さ、あるいは商社や問屋の品ぞろえの豊富さが価値として認められた時代が続きましたが、グローバル化、自動化、情報化が進んだ今の時代においては、そういった「モノ」を提供することの価値は相対的に低くなってしまいました。

いいものが不足していたのは過去の話、いまの時代はどこの会社が出す商品も「十分にいい」のであり、もはや商品自体の価値で差別化することは非常に難しいですし、商品開発や商品リニューアルに時間とお金をかけたところで、なかなか業績を伸ばすことは難しいというのが実態です。

そんな「モノ」があふれ、いい「モノ」を調達するハードル(コスト)が限りなく下がってしまったこの時代においては、どんな「モノ」を提供するかよりも、どのようにそれを提供するかというサービス面を考えることが差別化を実現する上で非常に重要です。

現に、日本のものづくり企業の第一人者であるトヨタ自動車も「モビリティ・サービス・カンパニー」への移行を掲げていますし、アップルにおいてもサービス部門の売上拡大を至上命題にあげています。

そして、このような時代の変化から「所有から利用」への移行の流れも自然と高まってきています。つまり顧客は商品を買ってそれを所有するのではなく、月額課金のように一定の料金を支払うことで、その商品を利用する権利を得るというわけです。

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これはいわゆる「サブスクリプションモデル」として、昨今さまざまな業界で導入されています。

たとえば、音楽や映画はネット配信サービスが主流になっていますし、AdobeはPhotoshopなどのソフトウェアをパッケージ販売からサブスクリプションに全面移行しています。マイクロソフトのオフィスもOffice365というサブスクリプション型が主流となっています。

こういったデジタル製品だけではなく、リアルな製品でもサブスクリプションモデルは急速に広がりつつあります。いまやカーシェアリングは都市部の至るところにありますし、前述のトヨタも月額課金の乗り放題サービスを導入しました。ほかにも腕時計や宝石、スーツ、靴といった身につけるものから、カフェやラーメン屋などの飲食店にいたるまで、さまざまな商品やサービスでサブスクモデルの浸透が見られます。

ここで、「そうか、時代はサブスクか。月額課金にすればいいんだな。」と安易に考えると失敗します。

大事なことは、なぜ所有から利用にシフトしてきているのか、その背景を理解することです。

基本的には人には所有欲がありますから、本当ならばただ利用するよりも所有することを選びたくなるはずです。それでも所有ではなく利用する権利を買うことを選択するのか。

それは、所有する喜びよりも、所有しないことによる便利さが上回るからです。

たとえばカーシェアリングであれば、保険の加入や車検の手間はありませんし、ちょっと使うだけならガソリンを入れる必要すらなく、またその都度目的や状況に応じて車種を選ぶこともできます。

ソフトウェアであれば、常に最新バージョンにアップデートされていたり、複数のパソコンで使用できたり…。スーツであれば体形が変わってもお直しに出す必要がなく、夏服/冬服の保管場所にも困りません。

つまり、所有してしまうと自己責任でやらなければいけないことを代わりにやってもらえて、なおかつ常に自分にとって最適なものが使えるようになる。そういった利便性の提供がなされてはじめて「所有よりも利用」が成り立つということになります。

このような、顧客にとって「ドンピシャ」なサービスを提供し続けるためには、言わずもがなですが「顧客をよく知る」ということが不可欠になります。

それも、ただ単に顧客のニーズや困りごとを理解するだけでは不十分です。そのようなすでに顕在化したニーズや困りごとに対処するだけではインパクトは弱く、競合にもすぐに真似されてしまいます。

そうではなく、顧客もまだ気づいていない隠れたニーズや困りごとを見出すことが、このサブスクリプションモデルに限らず、「モノ」ではなく「サービス」で儲けるためのカギとなります。

たとえば、高級腕時計の貸し出しで利用者を伸ばしているKARITOKE(カリトケ)というサービスの一番人気は月額約2万円で200万円以上の高級時計を月単位で借りれるプレミアムプランとのことですが、もともと多くの人が高級時計を毎月付け替えたいと思っていたかというとそうではないでしょう。

お金を貯めて「いつかはロレックス」と思っていた人、あるいは複数の時計を持ちたいがゆえに高級時計は視野に入れていなかった人に対して、思ってもみなかった新しい選択肢を提供したということになります。

当社でご支援している「特注キラーサービスの構築」も、この「隠れたニーズや困りごとに手を打つ」という点が最大のポイントとなります。そして、それを発掘するためには顧客にそのままヒアリングしても出てくるはずはなく、その業界で当たり前と思われている前提を疑い(横に置き)、普通では考えないような思考回路をたどっていくことが絶対に必要です。

単に課金方法を月額制に変えたり、よくあるサービスをパッケージ化して提供しただけではサブスクリプションモデルを成功させることはできません。

一方で、いまだ見落とされている手つかずの潜在ニーズや困りごとはまだまだ山のようにありますし、それを解決するキラーサービスを競合に先んじて提供することができれば、自社の事業をこれまでにない形で大きく伸ばすことができます。

「所有から利用」の流れを他人事と捉えず、自社の事業に取り入れる可能性を見出していきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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