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組織に邪魔をされる?|プロジェクトマネージメントのあるべき姿

SPECIAL

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

 「カトウさん、部門横断型のプロジェクトで各部門長がみんなプロマネより年上でやりづらいそうなのですが、うまく対応する方法はありますか?」コンサルタント仲間との懇親の席で出てきた質問です。

 まず、顧客からプロジェクトを受託して進めるベンダー企業における話ではなく、自社内でプロジェクトを立ち上げた事業会社いわゆるユーザ企業において、機能別組織からメンバを集めるケースにおける悩み事と推測できます。一人一人の責任と権限が曖昧なまま仕事が進められる日本の組織にありがちな問題でしょう。

 その場では「社長とか部門長の上司に当たる人から、各部門長にプロジェクトへの協力を明確に指示してもらうことですね」と当たり前の様な答えを返しました。プロジェクトを進めるにあたり、プロジェクトマネージャ(PM)に責任と共に明確な権限を与えることは必須であり、それを妨げる様な組織の部分最適化の論理は排除しておくべきだからです。

 しかしながら現実には、プロジェクトの現場も含めステークホルダ間における人間関係は泥臭いものであり、ケース・バイ・ケースで手を打っていかなければなりません。プロジェクトのオーナーたる社長または役員の各部門長に対するグリップが効いているかということにも依存しますし、組織内においてプロジェクトオーナー以外に実質的なキーマンがいればその声に左右される等、組織によって事情が異なるものです。

 部門長間にも過去の上司と部下の関係等により、誰か一人を味方に付ければ他はそれに従うということがある一方、過去に諸々の経緯があって部門長が反目し合っており、合意形成が難しい困った状況もあり得ます。特に表面的には全体最適化に沿っているように見せて、裏では自部門または自分の利益を優先させる様な人が存在してしまうのが組織の実態です。

 プロジェクトがトラブルに見舞われる原因にはいくつかありますが、それを支えるべき組織が意図的せずともプロジェクトの足を引っ張ってしまうということはその一つになります。

 その様な状況に対する処方箋は、組織内の人間関係に対する最低限の配慮は必要なものの、PMとしては正攻法で臨むしかないと考えます。それは、プロジェクトの計画、進捗状況、問題をそういった関係者にすべてオープンにして進めるということです。

 各部門からプロジェクトに参画してもらう人材を提供してもらったが、当初合意した従事率でプロジェクトに関与できていないという様な状況があれば、それをデータとしてオープンにすることです。ある要件に対する反応を部門が約束した期限内に返してこない場合は、その状況を忖度なしにオープンにすることです。

 こういったことを部門長と個別にやりとりしていては権力に負けて効果的に対策できない可能性があります。それを、プロジェクトオーナーから全部門長まで含めて状況を見える化して進めることにより、部門長が対面を重んじ言い訳なしに進めざるを得ない状況を作り上げるのです。

 これはPMにとってはオーバーヘッドの要する仕事ですが、部門横断型のプロジェクト、全社プロジェクトの場合は残念ながら避けて通れないことなので、覚悟しなければなりません。組織に邪魔をされそうなプロジェクトは、邪魔をされにくい環境を作った上で進めるということです。

 皆さんの目の前にあるプロジェクトは、組織が邪魔をしている状況になってしまっていないでしょうか。組織が邪魔をしない様な仕組みができていますか。

 

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