お金に困らない同族社長の資産形成法
同族会社の社長にとっての資産形成は、一般的なサラリーマンの資産形成以上に、重要な課題です。
なぜなら、同族会社の場合、退職金制度が充実していないことが多く、年金も厚生年金だけでは十分とは言えません。
また、相続税対策や事業承継を考えると、社長個人としての資産形成は避けて通れない課題だと言えるでしょう。
しかし、ここで大きな間違いを犯してしまう社長がいます。それは「会社経営で成功できたのだから、資産形成もうまくいくだろう」と考えることです。
事業への投資であれば、「集中して勝ちにいく」という姿勢が求められます。一点突破・大胆な決断・スピード勝負など、どれも経営には重要な武器です。
このような姿勢があるからこそ、社長として事業を成長させられることは、間違いありません。
しかし、個人の投資では、「負けないこと」が最も大切です。事業への投資とは全く逆の、分散・継続・時間を味方につけることこそが王道なのです。
つまり、社長として会社を成長させてきた行動力が、個人の投資ではアダとなってしまう可能性がある、と知ることが、同族社長が個人で資産形成をする上で、大切な第一歩となります。
同族社長がよくやりがちな失敗としては、持ち前の行動力と大胆な決断で投資した結果、資産が減ってしまった、というものです。
例えば、「ビットコインなら数ヶ月で倍になる」と聞き、会社口座から1,500万円を仮想通貨にレバレッジをかけて一括投資したものの、結果は相場が急落し、資産はほぼ半減…。
知り合いに「この会社の株は大化けする」と言われて、出資した未公開株式が、実は詐欺だった…。
信頼できると思っていた人から海外不動産を買ったら、突然連絡が取れなくなった…。
これらは全て、会社経営で培った「チャンスに賭ける感覚」が、資産を減らすという結果を生んでしまったのです。
それから、同族社長が陥りがちな失敗としては、「金融機関の提案は信用できる」と思い込んでしまうことです。
例えば、銀行・証券会社・保険会社などは、一見すると「お金の専門家」に見えます。確かに人一倍詳しく、勉強している営業パーソンもいるとは思いますが、実際のところ、彼らの収益源は「あなたに商品を売ること」なのです。
例えば、銀行は、仕組債や仕組預金などの商品、保険会社は、手数料の高い外貨建て保険商品、証券会社は毎月分配型投資信託や、外貨建て社債を勧めてくるでしょう。
彼らにとって「売りたい商品」が、あなたにとって「良い商品」とは限りません。
大切なことは、商品を選ぶことではなく、自分自身の中での「判断軸」と安定的な資産の「仕組み」を持つことなのです。
また、多くの社長が見落としているのが、老後に本当に必要な資金額です。
「老後資金は2000万円必要」と聞いたことがある方も多いと思います。これは一般の人の最低限のモデルケースです。
経営者としてのあなたが、これまで築いてきた生活水準を一気に下げて老後の生活を送ることに納得できるでしょうか?
子どもや孫と一緒に旅行に行きたい、夫婦でゆっくり海外旅行を楽しみたい、孫の入学祝いや住宅援助など一時的な出費にも備えたい。
そう思ったとき、社長のあなたにとっては月100万円以上のキャッシュが必要になることも珍しくありません。
資産形成を始めるのに、遅いということはありません。年齢ではなく、今ここで資産形成の設計を変えるかどうかが、すべてです。
経営者であれば、資産形成のやり方次第で、時間を十分カバーできる方法はあります。大切なことは、会社経営とは全く別のルールで資産形成に取り組むことなのです。
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