空気を翻訳し共感を生む──「透明資産情報局」の力〜企業の“らしさ”を届ける社外発信の新戦略〜

こんにちは。企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
企業を語るとき、つい財務や制度、商品やサービスなど“見える資産”に目が行きがちですが、実はその根底にあるのが「空気」です。業績に影響を与える空気感、職場に流れる前向きな空気感、チームの連携から生まれる空気感、社員の姿勢や顧客対応の空気感──これらは全て意図的に設計し運用することができる空気感であり、この仕組を「透明資産」といいます。
そしてこの透明資産は、5つの構造から設計されており、その1つに、社内・社外にどう伝えるかという『情報局』の運営があります。これにより、“透明”だったはずの資産が、共感や信頼という形で“可視化”され、ブランドや採用、顧客ロイヤルティといった経営指標に転換されていきます。
ただしここでいう情報局は、従来の広報・PRとはまったく異なる存在です。この情報局のミッションは、「空気を翻訳すること」。つまり、企業の日常に宿る“らしさ”や文化の体温を、社外に伝わる“言葉とストーリー”に変える専門機関なのです。今日はこの情報局の運営の中で、社外にどう発信するか?についてお伝えしていきましょう。
情報局の真の役割とは──広報ではなく、“空気のデザイナー”であれ
企業にとっての情報発信とは何か──。それは「事実を届けること」では終わりません。今や、消費者や求職者、地域社会は「その企業がどんな価値観を持っているか」「そこで働く人たちの姿勢や関係性はどうか」といった“内側の空気”に敏感になっています。
この空気を社外に届ける役割が、透明資産経営における“情報局”です。
その本質的な機能は3つあります。
- 空気の観察者であること
社内に漂う“良い空気”を敏感に察知し、原石として拾い上げる感性が求められます。
- 空気の編集者であること
現場の温度感やストーリーを「伝わる」構成に整理・加工する技術が必要です。
- 空気の伝道者であること
どのチャネルで、どんな言葉で、誰に届けるべきかを戦略的に設計し、継続的に発信する責任があります。
この3機能は、単なるマーケティングやSNS運用とは一線を画すものです。商品やサービスではなく、企業そのものの存在感を発信していく──それが、透明資産情報局の使命です。
「ネタ探し」は、空気の微粒子を拾うこと
SNS映えやトレンドに乗るような情報発信も時に有効ですが、透明資産情報局が探すべきネタは別次元にあります。それは、企業の文化や信頼を形成する“空気の微粒子”を拾い上げること。
たとえば──
・取引先に手書きの手紙を添えた営業担当の姿
・新入社員のアイデアを真剣に受け止めた上司のリアクション
・廃棄ロスを減らすために現場スタッフが考案したちょっとした工夫
・顧客からのクレームに、1日かけて直接謝りに行ったチームのエピソード
どれも「ニュース」ではありません。けれど、それこそが「この会社は信じられる」「応援したくなる」という“空気”を生む種子なのです。
透明資産経営では、このような日常の美点を“見つけて、見せる”ことこそが、最大のネタ探しなのです。
情報を“体験”に変えるネタつくりの技術
拾い上げた空気の種子(ネタ)は、磨かれてこそ“資産”になります。情報局の腕の見せどころは、ここからです。
①「物語性」を加える
ただの事実紹介では伝わりません。誰が、どんな思いで、どんな葛藤を経て、どんな結果につながったのか──感情の起伏を物語に編み込むことで、読み手は共感します。
「社員Aさんが、クレームを受けて対応した」ではなく
「雨の日に、ずぶ濡れになりながらも『どうしても顔を見て謝りたかった』と訪ねた」という描写が、信頼を創るのです。
②「五感に訴える」演出
写真・動画・音声──できる限り感覚的に伝える工夫を。
働く人の表情、声のトーン、製造現場の音、店内の光──すべてが空気感の“伝達手段”になります。
例えば「こだわりの餃子」と言われるよりも、「皮の厚さ0.8mm、1日熟成した餡を包む音」を動画で伝える方が、感じ取れる空気は何倍にもなります。
③ 「言葉選び」への細心の注意
誇張せず、飾らず、等身大のトーンで。
透明資産を損なう最大のリスクは、“嘘っぽさ”です。
言い回し一つひとつに、誠実さと温度が宿っているかを何度も確認しましょう。
情報局が企業に与える5つの好循環
透明資産情報局が機能し始めると、企業には以下の好循環が生まれます。
- 社内に誇りが生まれる
「自分の会社って、こんなに素敵だったんだ」と再認識する社員が増えます。
- 採用力が強まる
企業の“らしさ”に惹かれた応募者が集まり、マッチング精度も上がります。
- 顧客のロイヤルティが上がる
単なるサービス提供者ではなく、「この会社から買いたい」と感じてもらえるようになります。
- エンゲージメントが高まる
自社のストーリーが社内に共有され、「あれは自分も体験した」と感情の共有が進みます。
- 地域や社会からの共感が生まれる
CSRではなく、“日常の小さな誠実さ”の発信が地域との信頼構築に直結します。
最後に──空気は、伝えた瞬間に“資産”になる
透明資産情報局とは、企業の“らしさ”という無形の価値を、他者と共有可能な“資産”に変換する装置です。
たとえば、社内で自然に起きたちょっとした声かけ──
「困ってるなら一緒にやろうか」
この言葉は、その場では消えていく音声にすぎません。
でも、その出来事を情報局が見つけ、拾い、磨いて伝えたとき、それは会社の空気感として他者の心に残る透明資産の源泉になります。だからこそ、情報局は企業の未来を左右する“空気の翻訳者”であり、空気のデザイナーであるのです。
見えないものにこそ、価値は宿る。
そして、見えないものを“見えるようにする”のが、情報局の仕事なのです。
──勝田耕司
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