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決められない上司の共通点

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

「これじゃー、役職をつけた意味がない!」
そう憤って話をされる金属加工工場のA社長。
生産現場に新たに生産管理システムを導入し、生産性向上を目指しているときでした。
前期から生産現場全体を取り仕切る課長に昇格したB課長について、A社長は冒頭のようにお怒りです。

「決められない上司」が現場を混乱させる

B課長は、システム導入プロジェクト立ち上げメンバーで、先頭に立ってプロジェクトをどんどん進めてくれていました。
元々ITに関することに関して詳しかったというわけではありません。PCはオンラインゲームなどでは使いこなしているくらいでしたが、システムを触ることに抵抗なく、システムの構成やアウトプットされるデータの意味もよくわかっていて、さらに、だれよりも納期管理に厳しく率先して動き回り、問題点があれば指摘し、生産現場でのその働きぶりは、生産現場の長にしても活躍してくれるだろうと思い、生産管理システム導入のプロジェクト立ち上げを機に、社長が指名し課長に昇格したのでした。

その評価もあり、運用フェーズに入ってもこのまま現場を任せても問題ないだろうと考えていました。
しかし、運用に入った途端、トーンダウンしたのだとか。
そして、なぜ社長がお怒りだったのかと言えば、ある会議での出来事がきっかけだったようです。

ある生産ラインで、顧客からの依頼により緊急対応しなければならない事案が発生しました。さらにそれに対応している間に生産ラインに設備的な問題が発見され、数時間稼働が停止したとのこと。これを挽回するべく作業者は時間外出勤、休日出勤を計画し申請をしたそうです。この動き自体には問題はなく、あの状況ではそれしか対応できなかっただろうと社長も容認しています。

しかしこの会議で、この件についての振り返りを行ったところ、B 課長が原因で作業者が時間外出勤、休日出勤をしなければならなくなったことがわかりました。

設備的な問題が発見されたとき、B課長は、その時点で対応している作業者だけでは間に合わないのではないかと判断。ここまでは良かったのですが、作業者に人員配置の変更を指示するのではなく、作業者に提案し答えを求めたようです。

一見特に問題ない対応とは思えなくもないですが、状況は緊急事態です。時間に余裕はありません。一刻も早く次の手を打たなければ納期は迫ってきます。
そういうときこそ課長という権限を使い、強引でも進めなければならないところです。

さらにこの課長は会議の場で「作業者に提案したけど理解してもらえず、実行してもらえなかった」と言ってしまいました。
このように、問題を部下のせいにする発言が大嫌いなA社長。頭にきてしまったのも無理はありません。

現場のエースと管理職は別の役割

このように「決められない上司」は残念ながら多く存在します。
やはり、作業者として現場で活躍することと、役職者として現場を動かすことは仕事内容が大きくことなるということの表れではないでしょうか。
さらにB課長は、つい1年前までは作業者と「同レベルで」意見を交わしながら仕事を進めていたのですから、急にそのスタイルがガラッと変わることも難しいでしょう。

とはいえ、決められない上司であるがために、組織やチームにおいてはしばしば問題が発生してしまうことも事実です。

決められない上司の共通点として、
・責任回避型
・過度な協調性
・自信の欠如
・上司としての役割の誤解
などがありますが、「責任回避型」の上司はやはり一番問題があると言わざるを得ません。これは上司でなくとも言えることです。

役職者の責任としてやり切った場合、それが正解ではなかったとしても次につながる経験となるでしょう。
しかし、うまくいったとしても責任を部下に押し付けた状態であれば上司がいなくてもよかった、むしろ責任を押し付けるその行動が後々組織を崩壊させていくことにつながりかねません。押し付けられた部下との関係性は直後に崩れていくでしょう。

責任を持たせるのは「任せ方」と「支え方」

生産性向上のため、また社長が現場を社員に任せるため、システム導入は必須の取り組みです。
しかし導入したシステムは生産をしてくれるわけではありません。誰かが何かを判断するときの情報提供をしてくれるだけです。
したがって、その情報を元にどのように判断を下すのか、その判断を実行まで移すことができるのか、情報を提供された側の人間がやらなければいけません。そしてこの人間の判断と行動に人間性が現れます。

社長が部下に責任を持たせることができるかどうか、その基準は社長の数だけあることでしょう。
責任を持たない課長に頭を悩ませる経営者は少なくありません。
しかし、責任感は「任せた瞬間に自然と芽生える」ものではなく、「任せ方」と「支え方」によって育まれるものです。


まずは、課長に与えた「決める権限」は明確になっていますか?
そして、決断した結果に対して振り返り、次に活かすことができていますか?

そのようなことの積み重ねが、決断できる上司を育て、社長がいなくても回る現場、「工場の自動稼ぎ装置化」につながっていくのです。

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