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第512号 お客様に言ってもらいたい事が全店で徹底できるようになった会社は何をしたのか

SPECIAL

多店舗型ビジネス企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

第512号 お客様に言ってもらいたい事が全店で徹底できるようになった会社は何をしたのか

 「伊東さん、あれ凄いことですよね」

ある社長がおっしゃいました。

 

某うどんチェーンを閉店間際によく利用されるとのことですが、その際店員さんから言われる言葉

 「(食べたい揚げ物商品がそこに無かったら)今すぐ揚げますから言って下さい」

 

素晴らしいのは、その一言が一過性のものではなく、どのスタッフであっても、何日経っても言い続けられていることです。

 

ここで

 「それの何が凄いのか」

 「ただ『そう言いなさい』と会社から指示を出せば、そうなるだけの話ではないか」

と思われた方もいらっしゃるでしょうか。

 

これは店舗型のビジネスにとっては簡単なことではありません。

 

指示を出したとしても、ありがちな結果は

 ・特定のスタッフだけしか言わない

 ・しばらくすると誰も言わなくなる

となってしまうからです。

 

ちなみにその社長が感動されていた背景は、今までは会社の指示を全店舗スタッフに徹底してもらうことができていなかったものの、今では社内に工夫が施され徹底できるように変わったからで、その大変さを実感された上でのことです。

 

では、そんな会社の指示を全店舗スタッフに徹底できている会社は何が違うのか。

 

 

推測されるのは

 ・優秀な人ばかりが働いているから

 ・社員、スタッフ教育がしっかりしているから

 ・実行しないと恐ろしい罰があるから

などでしょうか。

 

しかし、どれも違います。

 

その理由は

 仕組みがあるから

です。

 

 

例えば、店舗型のビジネスのお会計について。

 

どの企業も1日に何人ものお客様がいらっしゃっても、スムーズにお会計ができるようになっているのは何故なのか。

 

それは「お客様をお待たせしてはならない!」と社長が号令を出したことによって、店員さん達に1つ1つの商品の値段を暗記させようとしたり、日々数字の計算力を磨きなさいと算数の勉強を強制しているから実現ができている・・・というわけではありません。

 

マンパワーに依存しなくてもいいような「仕組み」をつくったからです。

 

店員さん達が1つ1つの商品の値段を覚える必要が無いのは、事前に1つ1つの商品、またはサービスの値段の登録が必要だからであり、そのおかげでどの商品がセール対象なのか、どれとどれを買うとキャンペーン対象になるのか、まで覚える必要がありません。

 

また、後で分析したいからと、何がいつどのくらい売れたのかメモを取っておくことも不要です。

 

どの商品の在庫が今いくつあって、あとどのくらい残っているのかを把握しておく必要もありませんし、

レジが盗難にあってはいけないからと、常に誰かが番をしていなければならない必要もありません。

 

会社として全店舗スタッフに何かを徹底してもらいたい事があるのであれば、全員に理解してもらう、覚えてもらうというマンパワーに依存するのではなく、仕組みを作ることが重要だということです。

 

 

そんな仕組みを確立できたある会社の出来事ですが、接客コンテストで優勝したスタッフに「なぜ貴方は、お客様想いの接客ができるのか」と表彰時にインタビューしたところ、てっきり誰にとっても模範となるような、いかにも接客のプロといった回答があるかと思いきや、そのスタッフはこうおっしゃったのです。

 

 「接客が苦手なんで」

 「どうしたら接客しなくて済むのかばかり考えて逃げ続けていたら、いつの間にかこうなってました」

 

 

良い仕組みはマンパワーに依存しません。

 

また、仕事ができる人はもちろん、そうでない人であっても、誰もがスムーズに結果を出せて、しかもお客様にも歓迎されるようになります。

 

会社経営者がやるべきことは、

マンパワーに依存する形を積み上げていくことではなく、良い仕組みをどんどんつくり出し、構築し続けていくこと

 

と言えるのではないでしょうか。

 

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