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第94号:巨大な数字に怯えて立ち止まるな。実行力をマヒさせる「大きすぎる成果」の罠

SPECIAL

1人粗利最大化事業づくりコンサルタント

株式会社ポリフォニアコンサルティング

代表取締役 

経営の最重要指標である「1人粗利」を極限まで高める手法の指導に特化した専門コンサルタント。徹底的に“数字”で先導する事業/組織設計による、1人粗利が「増えるべくして増える仕組み」を導入指導する専門機関。事業活動、組織活動をダイレクトに数字に接続していく「BLACKメソッド」を独自開発し、“勘やセンス”ではなく“科学と論理”による再現可能な1人粗利最大化構造を体系化。氏が関わった経営者からは「本当に1人粗利とお金が増えた」「実務感が半端ではない」「勇気ある意思決定ができるようになり経営が楽になった」「あくせくしないゆとりある経営を手に入れた」と絶大な反響が寄せられている。

「シライ先生、やらなければならないのは分かっています。分かっているのですが、本当に私に成果が出せるのかが分からなくて。」こう仰るのは加工業を営むN社長です。

N社長と目下取り組む課題は、先代から引き継いだ事業の厚利安定化です。

取引の数社依存、季節変動、そして進歩無き組織という三重苦に苦しんでいる中、大きな借入を返済していかなければなりません。

現状維持のままではジリ貧であることは明白であり、過去の負債という重荷を背負いながら、自らの代でビジネスモデルを根本から作り替えるという、極めて過酷な舵取りを迫られている局面です。

コンサルティングが進む中でも、なかなか足取りが重く、課題に取り組めないこともしばしば。

特に初期は、ほとんど何も「動いた形跡がないほど」のこともあったN社長。しかしここ最近は、少しずつ行動が変わりはじめ、「しっかり」とまでは言えないまでも、明らかに取り組みが生まれてきた矢先のご発言です。

葛藤しながらも、大いなる一歩を踏み出し始めたからこそ、心の中の壁が言葉となって現れたのです。

大きな借入を返さなければならない、利益を出さなければならない、売上を作らなければならない。その額面は、会社の規模体力に比して巨大です。

単純な話、赤字補填で借りたお金を返すには、返済額と同等以上のお金を生まなければなりません。そのお金を生むためには、かつてないほどの経常利益を出さなければなりません。

仮にリスケをしたところで、それは返済猶予を得ているだけのハナシであり、返済額も必要利益額も減るわけではありません。

こうなると社長の中には、あまりに大きな「数字の塊」を前にして、思考が止まり、行動が止まってしまう方がおられます。返済金額という巨大な怪物を前に、自分の無力さを突きつけられたような錯覚に陥るのです。

しかし、ただ数字を眺めて恐怖に震えていても、1円のキャッシュも生まれません。経営者が向き合うべきは、恐怖に歪んだ感情ではなく、その数字を解体し、現実の行動へと落とし込むための論理です。

厚利安定化に必要なことは、単発施策の乱れうちではありません。「永続的に」利幅が確保され、利益が生まれ、キャッシュが回り、顧客が入り続ける構造づくりです。

構造は、いくつもの要素が互いに繋がり合う形で形成されています。何か一つの施策でお金や利益が増えるなどと言うことはありません。互いに関連し合い、連鎖し合う施策が連動し、循環する仕組みになって、はじめて事業は良い方向へ回り始めます。

やらなければならないのは、そういった全循環の仕組み作りなのです。それは、全てを一度に組み立てることなどできません。

モノづくりや住宅づくりと全く同じで、構造全体を把握したうえで、1つ1つの仕組みを丁寧に作り、接続させていくことをしなければ、全体が完成することはありません。

土台も柱もない場所に、突如として理想の家が建たないのと同様に、経営の仕組みもまた、地道な建築作業の連続なのです。

しかし、大きな返済額を前にすると、日々のそういった細かい仕組み作りや工夫といったことが、あまりに小さいこと、成果に対して遠い事のように感じられてしまうため、決断と実行力が弱まってしまうのです。

目先の小さな改善が、巨大な負債の山を前にして「焼け石に水」に見えてしまう。この心理的な罠こそが、経営者のエネルギーを奪い、本来進めるべき足元の実行をマヒさせる最大の原因です。

「何をやっても焼け石に水ではないか?」「本当に成果を出していけるだろうか・・」そう感じている時は、あなたが頭の中で描いている成果が、「遠い先にある大きすぎる最終目標」に焦点を当てている証拠です。

ゴールの巨大さに圧倒され、今踏み出すべき一歩の価値を見失っているのです。経営者がすべきは、望遠鏡で遠くの山頂を眺めて溜息をつくことではなく、今足元にある確実な一歩を刻むことです。

厚利安定経営をしていく施策の1つ1つは、決して大掛かりで真新しい事ばかりではなく、むしろ地味で本質的なことのみです。しかし、それら施策が独自の構造で組み合わされ、回り出した時、初めて「現実の数字」が動き出します。

自動車も、エンジン、シャーシ、タイヤというパーツを作っている間は走り出しません。しかしそれらが組み立てられ、着火されたときにはじめて自動車として走り出すようになると全く同じです。

現実を形成するのは、今日、明日、今月の実行に焦点を当てた「構造作りの成果」です。将来の財務数字がどうなるかは、誰にも分かりませんし、100%コントロールすることなど不可能です。

しかし、「作るべき構造をつくる」ということに関しては、今日の取り組み、明日の取り組みに向き合いさえすれば、必ず構築することができます。

厚利安定構造が構築されていけば、歯車が回り出し、それが数字を動かしはじめ、一歩一歩着実に数字の階段を上っていけるようになります。あなたが生み出すべき成果とは、毎日の活動の中で正しい構造作りに邁進し、1つずつ形にすること――これなのです。

N社長は、腹を括ります。遠い見果てぬ成果にばかり焦点を当てることをやめ、今、取り組むべき小さな、しかし重要な成果に焦点を当て始めます。

尊重すべき、素晴らしい英断です。

それこそが、遠い大きな目標を成し遂げるための重要な一歩なのです。他力本願の奇跡を待つのではなく、自らの手で仕組みを一つずつ繋ぎ合わせる覚悟を決めた時、組織の未来は初めて動き出します。

もし、大きな課題の前に一歩を踏み出せない、実行が進まないなら、それはあなたが焦点を当てている「成果」が遠く大きすぎる財務指標なのです。

それは最終目標としてグリップしておきながら、今焦点を当てるべきは、それを実現していくための構造づくりであり、そのために今日、何を構築するか?です。

数字に怯えて立ち止まる時間は終わりです。構造を変えれば、数字は後からついてきます。

貴社は、大きすぎる成果目標で、思考・行動停止していませんか? 終わりのない不安を言い訳に、今日の仕込みを先送りにしていませんか? 今こそ、利益を生み続ける厚利安定構造を構築すべき時です。

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