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契約や受注をせずに作業を開始していないか

SPECIAL

プロジェクトマネージメントの仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

 依頼元からシステム、サービスその他の新規開発物を頼まれた場合、手続きとしては依頼先が見積りを提出し、依頼元が見積り内容を確認したうえで必要があれば見積りの見直しの交渉を挟み、発注または契約を経て作業開始となります。ここで、悩ましい問題としてしばしば起こり得るのが、要求納期を考えるとすぐにでも着手したいのに契約や発注の手続きが遅れることです。

 まず、原則として、契約や受注が済んでいないのに作業を開始してしまうこと、開始させてしまうことは避けるべきです。依頼側の発注手続きが遅れているが受注はほぼ間違いないと判断し、見積りした内容を前提に作業に着手したところ、後で依頼者側の社内都合により発注ができなくなった、発注時期が先延ばしとなった、または見積り内容からの削減が要求された、等の事態が発生した場合、当然ですが既に実施してしまった作業は受託企業側の損失となります。

 発注される前から納期が要求され、それまでの期間に余裕がないと、メンバを早々に確保しスタートを切れる状態に持っていきたいのは、プロジェクトを実行する側として当然に動きです。そして、本プロジェクト用に一旦確保したメンバは、何もしないでいれば無駄な時間を過ごし、コストを発生させるだけになってしまいます。

 本来は、見積り時点で納入は発注後○ヶ月後という様に、受注起点で合意を得ておかなければなりませんが、依頼先との力関係や注文欲しさが、そうはさせてくれない状況を生んでしまうものです。

 依頼側企業の担当者から「御社に発注します」と口頭で伝えられても、企業内で上司の承認を得る、調達または資材部門から発注書が出るまでの間に、何らかの軌道修正が加えられることはあり得ます。そういった事態を回避するために、少なくとも効力のある内示書を入手する必要があるでしょう。

 内示も得られないまま、リスクを勘案したうえで着手するという判断をしたのであれば、その判断した人間が、リスクを”受容”できる責任と権限を有することが前提です。

 もしその仕事を請け負うプロジェクトマネージャ(PM)が、当該プロジェクトだけでなくプロジェクトのメンバも含めた組織の責任者であるなら、メンバを遊ばせておくぐらいなら受注できないかもしれない仕事でも進めておく、という判断もあり得るでしょう。その案件だけに特化したことでなく、受注できなくとも他の案件に適用できる様な準備作業、事前学習であれば、妥当であるかもしれません。

 しかし、なぜすぐに契約に進めないのか、発注手続きに進めないのか、依頼者側の構造を確認する必要があります。発注手続きは自社都合で遅れるが、納期は当初要求を守ってくれというのが常態的な依頼元であるなら、それはその企業内に何らかの問題を抱えているということです。

 もしその様な企業と継続的にビジネスを続けているなら、どこかでその悪弊は断ち切るべきでしょう。私は、取り敢えず内示書だけは出してくるが、発注書は納入直前になってしまう、モノが出来ているので納品できるのに、発注書待ちで納品できないという冗談の様な状況が習慣化している事例も知っています。当事者たちは、長い間それでやってきているので、異常であるとは思わないのかもしれません。

 あなたの組織では、契約や受注前の作業の着手を安易に容認してしまっていませんか。高所的判断で作業着手するという判断をした場合、その責任に裏付けはあるでしょうか。

 

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