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企業にとっての「死」をどう回避するか

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「このまま惰性で業務をこなしていくだけではまずいと感じました。」— 30代前半の若さで起業してから今年で30周年を迎えられた、あるサービス業の経営者のお言葉です。

先日、とある経営者のための朝会で5分間スピーチを突然振られ、朝からこんな話題もどうかと思いながらも「企業の死」についてお話しした際、冒頭のようなお声かけをいただきました。そして、「うちでも他にはないサービスを作って、これからも選ばれる会社にしたいので手伝ってください。」とも。

惰性でやってこられて30年も経営が続くはずもありませんから、もちろんご謙遜されておっしゃったことだと思います。しかし、「死」という言葉に反応され、なんとなくこれまで抱いておられた危機感を再認識され、まさに「ここだ!」とお思いになったのではと想像します。

人がどうやっても乗り越えられないことがあります。それは「人は必ず死ぬ」ということです。いわば我々は生まれた瞬間から「死に至る病」を患っている病人ともいえます。一方で、多くの人は普段「死」というものを意識せずに生きています。さも自分には関係のないことのように。

始皇帝しかり、秀吉しかり、歴史上の権力者の多くは不老不死の妙薬を探し求めました。しかし、仮に自分の命があと100年も200年も続くとしたら、今日という一日を意味のあるものにしようという気力など出てこないのではないでしょうか。なんせあと何万日もあるのですから。

逆に言えば、いつ何時訪れるかもしれない「死」をしっかりと見据えることで、いま自分が生きているという純度が高まり、この人生で何をするかという決断を先送りすべきではないと考えられるはずです。
(この考えを哲学者ハイデガーは「死への先駆的覚悟性」と説きました。)

ざっくりいうと、いまを死ぬ気で生きろ!さもなくば人生が無駄になる。ということになるでしょうか。

この「死」というものを企業に置き換えて考えてみるとどうなるでしょうか。人の場合は寿命や病気、はたまた事故などによって死を迎えますが、肉体の制約をもたない「企業」は本来であれば生き続けることができるはずです。しかし、現実は9割の企業が創業から10年以内に廃業になると言います。平均をとると企業の方が人よりもずっと寿命が短いわけです。

では、企業が死を迎える真因はなんでしょうか。

それは「利益が出なくなること」です。

もちろん、黒字でも資金繰りに失敗すれば黒字倒産ということはありますが、本質的には企業は利益が出せなくなれば市場からの退出を余儀なくされます。

では利益が出なくなるということはどういうことでしょうか。

それは、他社と差別化できていないということです。

一見当たり前で誰もがわかっていそうなことですが、実際は世の中の多くの企業がここを結果的に軽視しています。お客様に喜んでいただくために、いい商品やサービスを提供する。これはもちろん大事ですし、それができていないところは論外です。

しかしながら、いい商品・サービスを提供するだけでは競争に勝つことはできません。それが他社とどう違うかという視点を持ち、そこを際立たせていかなければ、「死」の回避という観点からは非常に危ういのです。

ここが「人の死」と大いに違うところで、企業の場合は他社の動きによって自社の生命が簡単に脅かされてしまうのです。特に近年はネットビジネスでの新規参入や全くの異業種からの参入脅威が加速しています。

顕著な例ではアマゾンですが、同社はもはや書店業界だけの脅威ではなく、玩具、家電、衣料品、食料と様々な小売り業界を侵食しているのはご存知のとおりです。おそらく数年後には車も金融商品も、もしかしたら不動産までもをアマゾンで買う時代がやってくるのではないでしょうか。

異業種の参入としては、他にもブックオフから飲食業界に参入した坂本孝氏率いる「俺の」や、ダイエット業界からゴルフ、英会話、料理教室と市場を広げるライザップなど、もはや同業のプレーヤーとの闘いだけでは済まなくなっています。

これまでの業界の常識の中で必死に戦ってきた企業も、異業種からの新規参入組にあっさりとその常識をくつがえされてしまう。周囲に埋没しないよう、自社なりの「とんがり」をつくり独自ポジションを確立していかないと、生き残ることは難しい時代を迎えています。

現に前述の「俺の」の坂本氏は、「ありえないところまでいっているか?」を社内標語にし、「俺の」では「原材料費を気にせずじゃぶじゃぶ使え」という意味で「じゃぶじゃぶ」という標語を額に入れて店で飾っているほどです。業界のコード(=常識)からはかなりデコードされた発想といえます。

ではどうすればいいのでしょう。坂本氏のようなアイデアマンだけがヒットを出せるのか。そうではありません。アイデアや発想そのものに注目するのではなく、そのような常識外の発想を生む思考法を身につけていくことが重要です。

セミナーや勉強会などで他社の成功事例を聞くだけでは意味がありません。その具体事例を一段も二段も抽象化し、アイデアを生み出すための思考法や自分なりのフレームワークに昇華してはじめて、自社の強みづくりに活かすことができます。

もちろんアイデアを出すだけでは競争には勝てませんし、それでは経営とはいえません。差別化コンセプトをしっかり商品やサービスとして企画し、それを実現するオペレーションをしっかり仕組みでまわせるようにすること。そして、そのサイクルを早回しで継続し、強みを磨き続けることこそが、長期的に生き残っていくために絶対に必要です。

座して死を待つか、出でて活路を見出すか、その選択を今迫られています。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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