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品質問題の発生、そのとき経営者が絶対にしてはならないこととは?

SPECIAL

商品開発コンサルタント

株式会社シンプルテックプラン

代表取締役 

商品開発コンサルタント。特に開発部門を持たずに売れる商品開発を実現する、独自の「デベロップレス」体制づくりに定評。いま全国の中小メーカー企業の業績躍進の新手法として、多くの企業から指導依頼が集まる注目のコンサルタント。

先週、某社が民事再生法申請に向けて最終調整に入ったとことが大きく報じられました。申請されれば、製造業の戦後最大の倒産になるとのこと。

人命に関わった件であり、軽々に発言することはできませんが、商品開発にチャレンジする立場から、品質問題が起こった時に経営者の方に絶対に取ってほしくない言動があります。今日は、そのことについて書いてみたいと思います。

良く言われることですが、品質問題への対応ポイントは、大きく二つです。
一つは、商品の企画、開発、製造段階できっちり作りこみ、十分に評価して、その発生を未然に防ぐこと。
もう一つは、それでも発生した場合は、迅速に原因を明らかにして対策すること。

口で言うのは、簡単ですが、これが極めて難しい。
開発段階でどんなに評価しても、想定外のことは起こりますし、問題への対応をどんなに急いでも、お客様からすれば遅いと感じる。また、原因を完全に特定するには時間がかかりますし、中途半端に途中経過を公表すると大きな誤解を生む恐れがあります。
ものづくりの難しさ、厳しさを思い知らされる局面です。
それでも、愚直なまでに想定外を減らす努力をし、対応のスピードアップを図るしかありません。

一方で、品質問題が発生したとき、あるいは何とか解決した後に、経営者が絶対にしてはならない言動があります。

それは、「品質問題を 挑戦のせい にしてしまうこと」です。

報道しか承知していませんが、今回の件は、製品を構成する部品の一つであるガス発生剤に原因があり、独自開発したガス発生剤が、ある条件下で不具合を起こした、とされています。

他社とは異なる独自開発品が不具合を起こした。

このようなケースでは、独自開発するから悪い、他社と同じものにしておけば良かった、という意見が必ず出てきます。
それまでは、独自開発品の性能が高く評価され、広く採用されていたにも関わらずです。

経営者は、絶対に この手の意見に同意してはいけません。

冒頭にも書いたように、問題は、開発段階での評価と発生後の対応スピードにあったのであって、決して挑戦そのものに原因があるのではありません。
品質問題と挑戦マインドは、切り離して考える必要があります。

なぜ、こんな主張をするのかというと、今の日本の会社に一番欠けおり、一番必要とされているのは、挑戦マインド だからです。

もし、挑戦マインドが失われ、他社と同じものにしておく、という考えに支配されてしまうと、大手追随、自分で考えない経営と現場、現状維持が蔓延してしまいます。
そして、この状態が恒久化してしまうと、変化に対応できない、気づかない、ゆでガエル状態となり、会社は衰退し死に至る道をたどることになります。

挑戦したがらない人も、心の奥底では挑戦したがっています。なぜなら、それが人間の本性だからです。でも、勇気が持てず挑戦できずにいる。だから、挑戦する人を羨ましく感じたり、ねたましく思っている。
そこに、挑戦者が失敗すると、それ見たことか、だから無理だと言ったんだ、と挑戦しない自分を正当化するための発言をする。

商品開発や技術開発に限らず、ありとあらゆる挑戦において同じことが起こります。
挑戦する勇気の無い人の批判に、挑戦者が屈してしまっては、だれも挑戦する人がいなくなります。挑戦する人がいなくなった会社を待っているのは、衰退と死です。

間違っても、経営者は、非挑戦者に加担して、一緒になって批判してはいけません。
挑戦そのものに原因はなく、あくまで挑戦は推奨されなければならないものです。
社員に挑戦そものもを批判する空気が出たら、断固として否定しなければなりません。

挑戦マインドを守り抜けるか、衰退起業と成長企業を分ける分岐点です。

そして、そのために、何か品質問題が行ったら一刻も早く原因を特定して対応すること。直面しているときは相当に苦しいですが、挑戦を保ち企業を長く成長させるためには、避けて通れない、乗り越えなければならない課題です。
冒頭の会社がそうできなかったことは残念でなりませんが、それを見た皆さんが、挑戦なんてするものではない、などと思ってはいけません。

様々な挑戦者の華々しい成功の裏には、必ず大きな失敗があります。皆、それを乗り越えてきています。そして、一度、失敗を乗り越えた挑戦者は、とてつもなく強くなります。
その後、何度も挑戦し、何度も成功できるようになります。
経営者は、自分自身を含め、そういう挑戦者を社内に育てていくことが大切です。
 
あなたは、社内で挑戦を奨励していますか?
無意識に、挑戦を否定する言動をしてしまってはいませんか?

我が社には挑戦する社員がいないと嘆く前に、この機会に、自身の言動を今一度チェックしてみるのも良いかもしれません。

 

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