なぜいい商品やサービスをつくっても売れないのか

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルティング

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで企業に大きな収益をもたらす専門家として高い支持を得ている。これまで、倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業の成長支援を手掛けた実績を持つ。氏が関わった企業からは、「価格競争から脱却できた!」、「圧倒的に選ばれるようになった」、「顧客に感謝され、社員の士気も上がった!」など、絶大な信頼を獲得している。

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新しい商品やサービスのアイデアについて意見を求められることがあります。思いついた商品やサービス自体の説明を一通り話したあとで、「これ、どうでしょうか?」と。

結論から言うと、この質問の仕方そのものが「売れない原因」です。その商品(サービス)自体の話だけを聞いても、「いい商品かどうか」は判断がついても「売れる商品かどうか」は判断できるものではないからです。

こういうと「いい商品だったら売れるんだから同じことでしょ?」と思われる方も多いかもしれません。しかし、いい商品が売れるんだったら、日本の企業がつくる商品はどれも売れまくっているはずです。

例えばテレビやデジタルカメラといった「黒物家電」。日本のメーカーが出す商品は技術も品質も世界最高レベルで、どれも本当に「いい商品」です。しかし、実際はテレビは軒並み撤退。デジカメも価格が下がり続け、利益を出しているところは1社もありません。

「いい商品」をつくっても売れないのです。つくるべきは「いい商品」ではなく「売れる商品」。商品の良さと売れ行きに因果関係はありません。

売れるかどうかは、その商品の良し悪しではなく、最終的にどういうセールストークがつくれるか。この「売れるセールストーク」が浮かばないような商品を開発しても失敗します。

商品をつくってから「さて、どうやって売ろうか」では駄目ということです。 もちろん、売れるセールストークをつくるためには、その上位概念であるセールスストーリー(売るための戦略)が必要です。

そして、戦略を立てるためには本コラムで何度もお伝えしているとおり、「マーケットの構造」を見る必要があります。

「顧客のニーズはこうで、それに対してすでにAとBという商品があって、それぞれのメリット・デメリットはこうで、顧客はこんな不満があって、それを解決するためにはこれが必要で、、、、」

つまり、自社商品・サービスの説明は最後の最後に語ればいいことなのです。市場を俯瞰して捉え、顧客がもっている常識、そして競合がもっている常識、そういった「世の中の常識」を崩す切り口を探る。その切り口を体現するものが御社の新商品・サービスというわけです。

こうやってマーケットの構造をみていかないと、売れる商品はつくれない訳ですから、商品やサービスの開発には市場を全体俯瞰した高い視点が必要となります。

しかし、多くの場合は、自社の視点にこだわってしまうものです。 自社が強い技術や製法とか、自社の既存商品から改良する発想とか。

「いや、ちゃんと競合を意識してますよ」と言っても、あくまで売れている競合の商品を「改良」する発想で、買い手からすると「同類項」にまとめられるものになってしまう。日本の家電がいい例です。

売れる商品・サービスを開発するには、商品・サービスそのものと自己同一化せず、自社の商品はもちろん、競合の商品をも突き放し、業界の常識をくつがえす「唯一無二のもの」をつくる発想が絶対に必要です。

そのためのポイントは、商品の「有効性」ではなく「必要性」を語ること。

多くの場合自社商品の有効性を語ってしまいます。「うちの商品はこの点がいいですよ」と。しかし、他社も同じように自社商品の有効性を語ってきますから、有効性vs有効性では差別化できません。

一方、「必要性」を語るとは、「あなたの現状はこうなっていて、それをこう変えるためには、この商品が必要です」と言えることです。買い手の状況を俯瞰して見せて、他社の選択肢では変わることが難しいということを伝えることができれば、おのずと相手は御社の商品が「必要」ということになります。

他社の選択肢ではなく御社の商品・サービスが「必要」と思われるためには、商品やサービスの企画の段階からそのコンセプトをしっかり練り上げる必要があります。これは、社員の立場でやり切れるものではありません。社長の関与が絶対に必要です。

日本の大手家電メーカーの商品開発がチマチマしていて、どれも似たようなものになってしまうのは、サラリーマン社員の発想だからです。商品企画が目的化し、去年のモデルに何かを付け足す発想から抜け出せない。

一方、ダイソンの掃除機やルンバなどは完全にトップダウンの開発です。美味しいトーストが焼けるトースターが人気のバルミューダという日本のベンチャーも社長が商品開発を指揮しています。彼らに「競合の製品を改良する」という発想は微塵もありません。

売れる商品やサービスを企画することは事業戦略のまさに肝の部分です。社員まかせにせず、社長自らが「マーケットの構造」と向き合い、独自のコンセプトを生み出していく必要があります。

そしてそのコンセプトで間違えると、その後の設計、製造、販売など、すべての仕事が無駄になってしまうことになります。これでは社員は浮かばれません。

社長のリーダーシップで、自己都合ではなく業界の常識をくつがえす「売れる」商品・サービスをつくっていきましょう。

 


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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルティング

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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