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前例がないからやる・・は勲章!―硬直化した現状を打破するのは社長の役目―  

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

硬直化した官僚制度や大企業病に陥った組織に対する批判として、よく

「彼らは『前例がないから・・・』という言い訳によって、新しいことを受け入れようとしないし、チャレンジしようともしない。」

といったことが言われます。

ただ、この言い訳による挑戦への回避は、なにも官僚や大企業に限ったことではありません。

私が、社員に向かって「今度新しくこういったことを始めようと思うのだが・・・」といった提案なり考えを伝えると、「そんなことは今まで聞いたことがありません。」とか「うちの業界ではそんなやり方はしないのではないですか。」といった反発が返ってきます。

これに対する私の答えは極めてシンプルなものです。

「今まで誰もやったことがないからやるんだよ。人がやって来たことと同じことをやってもしょうがないだろう。」

そうなのです。様々な業界でこれまでのやり方、考え方が通じなくなっているにもかかわらず、どの業界も基本的には以前からのやり方や考え方を変えようとはしていません。ちょっとした変化にも「そんなの聞いたことないなあ。」とか「今まで、このやり方で来ているからなあ・・・」とかいった姿勢がほとんどなのです。変化を受け入れる、と言っても、それまでの業界の常識の範囲、業界の慣習を破るものでなければOK、といった程度の変わり方しか想定していないのです。

「前例のないことにチャレンジする。」というのは、そのほぼ同義語として「独自性を打ち出す。」ということになります。

これは当然の話で、それまで誰もやっていないことを実践する訳ですから、その行為そのものが「独自性」溢れるものであるのは間違いありません。そうなると、そんな切り口を考え、吟味し、リスクを顧みず行動にまで移すというのは、現実的には極めて少数派ということになります。ほとんどの場合「そんなのは聞いたことがない(だからやめよう・・)」という話になる訳です。

ですから、職場のトップである私が、そういった独自性を持ち出しても、社員はにわかには賛同できかねます、といった反応になるのです。組織に所属し、給料をもらっている「社員」という存在は、基本的には保守的であると思っていて間違いありません。それは、立場上ある程度仕方のないことなのです。問題は、経営者がそのマインドでは困る、ということです。前述のように様々な業界でこれまでの常識や慣習が成り立たなくなっている現在、新しい機軸を打ち出すのは経営者に課せられた大きな責任だからです。

ところで、冒頭、前例がないことに挑戦しない、新しいことを受け入れようとしない代表として官僚制度や大企業病を取り上げました。しかし、現在は大企業よりもむしろ小回りが効くはずの中小企業の方が、様々な場面でその考え方や行動が硬直化しているようにも見えます。それは、個々の企業の挑戦力のようなものが弱くなっているということもありますが、その企業が所属している業界そのものが古い体質から抜け出せないでいることが根源にあるのです。

業界別の事情をいえば、それぞれの業界が持つ独自の問題点、改善点があるでしょう。これは、その業界内で検討し、新たな切り口に挑戦することで解決を図っていくべきものだと思います。そんな中私は、業界の壁を超えた新たな挑戦の形というものがあるのではないかと考えています。

その一つが、私がお勧めしている「経営者自らが行なう継続的な情報発信」です。これは、どんな業界に所属していようが関係なく、共通して経営者にチャレンジしていただきたい新しい販売促進の方法論なのです。

ここで発信すべき情報というのは、個々の企業の商品案内でもなければその会社の歴史を紹介する「社史」といったものでもありません。商品案内ではもろに広告宣伝になってしまいますし、社史は主に内部関係者に向けたものであり、第3者がそれほど興味を持って注目するとは思えません。

経営者の情報発信のもとになるのは、あくまでもその会社の持つストーリーです。その会社が育んできた専門性やこだわり、それにまつわる様々なエピソードといったものです。これは一見、社史と似ているように見えますが、事実を時系列に正確に列挙するといったものではないので、社史とは明らかに異なります。

こういったそれぞれの企業にあるストーリーを抽出して、経営トップがSNSやメディアを使って継続的に発信していく・・・などという手法は、およそひと昔前であれば誰も考えもしなかったことでしょう。今でも「そんなのは松下幸之助とか稲森和夫とかの傑出した経営者の世界の話であって、自分には全く関係ない。」といった声が聞こえてきそうです。しかし、あのレベルの経営者ともなれば、単にストーリーを語る、ということは行ないません。彼らからは、経営全般に通じるような高邁で幅広い考え方や行動指針といったものが語られます。

私がお勧めするストーリーというのは、そういった世界とは全く別の次元の話です。ある程度、企業経営の歳月を重ねてきた経営者であれば、誰もが持っているような自身の物語です。そんなものを抽出し発信していくなどというのは、冒頭のまさに「前例のないこと」になるでしょう。

前例のないことへのチャレンジということでいえば、それほど大袈裟には見えないであろうこの試みは、見た目の印象よりははるかにその効果は大きいのです。経営者が、前例主義を超えて、組織活性化の先鞭を切る上でも、是非実践していただきたい一つの挑戦なのです。

 

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