資金引き寄せの法則 「黒字分野に特化」がキーワードです。

  10億ビジネスの経営数値成長戦略 野口 タカ子 SPECIAL
野口 タカ子 SPECIAL

10億ビジネスの経営数値成長戦略コンサルティング

株式会社ノグチ経理相談室 代表取締役 野口 タカ子

同族会社の業績を、10億20億事業に成長させる「経営数値」コンサルタント。客数や客単価・生産性などの業績を現す数値と、財務諸表の数値とを統合させることこそ、同族企業の成長の根源であると、「儲かる社長が押さえるべき商売7つの数値の法則」として体系化。頼りになる指導と、評価が高い。


「ほんとうにこの数字あっているんですか?先生、ウチの経理は、ちゃんと勉強した子ではないから、しっかり教えて下さいよ。社長からは、部門別でやればそれぞれの利益が分かるし、頑張っている部門にはボーナスを上乗せで出したいと聞いているけど、これじゃ、ボーナスがでませんよ…。部門の売上は、確かに一番だけど、利益は下から2番目だなんて、間違っていますよ。この表」 

工場長が、部門別損益計算表を見て、声を上げました。

この工場は、会社の主力工場です。

売上の構成比34%を担っています。

しかし、粗利益にいたると、構成比12%です。

これでは、生産性が低いと評価されてしまう。

工場長は、経理担当者に怒りの矛先を向けてしまいました。

社長から、利益率の変動の意味を問われたノグチは、製品ごとに利益率は違うので、毎月製品の販売量で粗利益は違ってくるのですが、社長の質問の真意はどこでしょうかとお尋ねしました。

「そこだよ、最初製品化するときには、粗利を想定して、投資回収できると思ってはじめる。だけど、工場が大きくなって、いろいろな製品を作ってくると、工場の経費が加わって、個別には、本当に予定した粗利が出てるかどうかわからないんだ。」

利益が出ているかどうかわからないのに、取引規模が大きくなると危険だ。

社長はそう判断していました。

取り扱い量が増えると、現場からは必ず人手不足のサインが始まります。

市場の要望でなくて、工場の仕事の流れが人を要求し始めるのです。

製品別の原価計算では、利益が出ているはずなのに、工場全体では、利益が確認できない状態になっていました。

製品の直接費では把握できない間接費を掴むため、部門ごとの試算表を作成したのです。

「工場長、この部門別損益計算書は、誰かの働きが悪いと指摘するために造ったのではないですよ。社長のお考えは、製品の種類でどれほど利幅が違うかを見たい、客層によって売上の伸びや利益率の違いがあるかを見たい、そのための表です。」

「作対比で努力している部門にボーナスを上乗せしたいと言うこともおっしゃいました。」

「今まで、会計事務所のために、会計ソフトにデータを打ち込むだけの経理から、儲かるための経理に変わる途中です、どこから情報を集めるのか試行です。経理を叱らないで下さい。」

収益性よりも規模の拡大に目がいくのは、わかりやすいからです。

経営者であっても、従業員であっても、売上の伸びは、肌感覚で理解できます。

しかも、ある程度までは、売上規模が拡大するにつれて、利益額も比例して増えていくものです。

ところが、売上規模が5億程度に拡大すると、規模の拡大費用が加わり、儲けが出て来ない、売上が上がったのに利益額は同じという停滞状態に入っていきます。

売上が伸びているのに、一人あたりの利益は逆に低下し、ボーナス資金は不足です。

社長は、悩んでいました。

いままでは、「こんな面白い製品が見つかった、これやろう!」と声を上げると、「やりましょう!」と従業員が飛びついて来る、それが社長のワクワクでした。

工場長も、営業部長も、ワイワイワクワクの仲間です。

仲間と一緒に売上を伸ばして、会社を大きくしてきたけれど、今は何かが違います。

社員が売上を張り合うのはいいことですが、部門ごとに張り合う市場が違う、張り合う相手が違って来ている、と感じているからです。

「ごめんなさいを30回言ったら、商売になる。」高名なコンサルタントから聞いた名言です。

お客様に「それウチやっていないんで…、」と断っていた仕事を自社の仕事にする方法です。

工場長は、いろいろな種類の製品サービスを追加して、収益を拡大してきたのです。

いろいろな種類の製品やサービスが、全て利益をだせるわけではない。

工場の見回りをしながら、何を止めるべきなのか、考えの基準はなにか?考えはじめていました。

働くのは、何のため?

会社も社員も、もちろん社長も、皆豊になるためです。

会社が豊になるのは、会社の製品・サービスが社会に役立っているからです。

役立っていると分かるのは、売上と利益が出ている事。

つまり資金も損益も「黒字」になっていることです。

会社全体では確かに「黒字」ですが、一人あたりの利益が増えていない、ボーナスを弾めない、それは「黒字」になっていない働きがあるからです。

汗水垂らして頑張っている社員のがんばりを、成果に出来ていないのです。

働きの出口、成果で黒字になっているかどうかが、考えの基準です。

 

製品ごとか製品のグループで収益と利益を比較する

顧客ごとか顧客グループで収益と利益を比較する。

情報が充分あるカテゴリー、たとえば販路・地域別などで比較する。

競争相手で比較する。

 

まず、製品から始めましょうと、社長に提案しました。

製品ごとのデータは、会社の情報がキチンと管理されているかどうかを知る基本だからです。

製造経費だけでなく、販売直接費を含めた限界利益を出すためには、費用がどの製品グループで発生するのか判明させます。

営業担当が、毎日足繁く通って、営業費用をかけている製品もあれば、何もせずに売れていく製品もあります。

収益性は、会社全体の経費が正しく配分されて、やっと答えが出てきます。

ここは、正確に実際の業務の流れにそって費用を集計します。

それをきちんと集計できると、次のステップ、顧客グループでの検討に使える情報が、すぐに、集められる体制が整うのです。

数字はここまで、つぎは、客観的な情報をどう判断するか。

ですから、ここからは、社長・工場長・営業部長の幹部会議です。

なぜなら、数字の背後ある市場の力・取引条件の力・現実の流れを知っているのは、経営幹部だからです。

市場の大きな流れは、3年後にハッキリ表面化します。

投資していいのは、現状の売上は少ないが、これから伸びる市場分野かどうか、自社の強みを生かせるか、社長の方針に工場長も営業部長もうなずきました。

業績を伸ばすには、当社の黒字を出している分野への投資です。

今より人員を増やさないで、もっと利益を出さないと、ボーナスは増えない。

簡単にいえば、自社の生産性が低くなっている分野は、やめる、他業者に委託する、部門を売却する、が選択肢です。

自社の製品がライバルより売れていない、とすれば、理由を突き付けても成果は出ない。社長が決めるべきは、自社の優れている分野に集中することです。

関わっている従業員は、配置変えをお願いします。

生産性の低い人材とコストを削減しないまま放置しては、いけません。

生産性を上げている部門から反発が必ず上がります。

大事なことは、今うまくいっていることを「必ず確保」する決断です。

黒字分野は絶対保持して、利益を出させ続ける事なのです。

資金を引き付けるのは、うまくいっていることがあれば、その流れに乗ること

普通ではない、面白い、利益の上がる部門に集中することです。

従業員を楽しませ、より利益を上げ、資金を引き寄せるのは「黒字分野への特化」です。

 


10億ビジネスの経営数値
野口 タカ子

10億ビジネスの経営数値成長戦略コンサルティング

株式会社ノグチ経理相談室代表取締役

野口 タカ子

執筆者のWebサイトはこちら http://www.n-keiei.co.jp/

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