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失敗しない出店の原則

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社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

店舗ビジネスを始めるにあたり、顧客像の設定が重要なことはもう何回も述べています。さらに「なぜその顧客なのか」と深掘りしていくことも重要です。そしてもう一つ重要ポイントがあります。それは「自社が利益を確保できる顧客数は十分に見込めるのか」ということです。 

そもそも自社が設定した顧客の数自体が少なければ、当然利益も出せず事業として継続することが不可能となります。そこで、どんな店舗でも出店する際には、やはり市場規模(その中で自社の顧客になりえる人の規模感)を調べる必要があります。といっても大企業がやるように、費用や時間をかけて大々的にやることはありません。そもそも中小零細企業にはその資源に限りがありますので、ある程度は絞り込んで調べることになります。 

ここでは、いわゆる3C分析と呼ばれる、情報をcustomer(顧客)、competitor(競合他社)、company(自社)の3つのカテゴリーごとに分けて整理し、全体をもれなく俯瞰し、状況分析をおこなう手法をベースに考えます。顧客数、市場規模を予測するには、3Cに沿って以下の内容を把握すると参考になるでしょう。

顧客数だけ調べればいいのになぜわざわざ3C分析か。それは顧客だけを見ても、その市場は一面的にしか知りえないからです。市場には競合他社がおり、自社も提供するモノやサービスを状況に合わせて変えていく必要があります。そうした複合的な環境をわかりやすく整理するためにも、3つの視点をもとに調べることが、現実的な情報を得ることができる方法となります。 

まず3Cの「顧客」についてはその商圏における人口、世帯数、性別・年齢構成、人口の増減、自社が提供するモノ・サービスの支出額… これらは政府が提供する統計情報で簡単に調べることが可能です。政府統計の総合窓口e-Statを使えば、無料でかなり精度の高い情報を得ることができます。ネット上で商圏の設定、人口構成や増減もごく簡単に確認できるのでお勧めです。 

ちなみに設定する商圏は業種業態や立地によって変わるため、自社が取り扱うモノやサービスがどれくらいの商圏を持っているのかを知っておく必要があります。一般的には、コンビニだと500メートル程度、ドラッグストアだと2~5㎞、百貨店だと80㎞くらいだと言われています。また飲食店では郊外や繁華街などの立地により変わってきますが、大まかに言って3~10㎞程度までではないでしょうか。 

次に3Cの「競合他社」については商圏における店舗数、売上高(客数×客単価)、売上シェア、メイン商品、営業年数、営業日数、営業時間、スタッフ数… これらのデータは上場企業であればある程度の情報はネット上で確認できます。上場していなくても、企業情報を持つ東京商工リサーチや帝国データバンクなどから情報を購入することも可能です。 

ただ店舗ビジネスは小規模なものが非常に多いため、競合他社については自分の足を使って調べることが一番正確で鮮度の高い情報を得る方法です。実際に歩き回ることで立地調査を兼ねることもできます。 

最後に3Cの「自社」については、すでにデータが存在すれば、競合他社と比較できるものをそろえ、分析します。細かく言えば、SWOT分析なども絡めながらおこなうとさらに状況が浮き彫りになり、打ち手が明確に見えてきます。 

こうして出てきた数値はあくまで概算となりますが、このように数で把握することは大きなズレや勘違いを防ぐことにつながり、むやみやたらと出店することに比べればその後の展開に天地の差がでてくるでしょう。 

しかし一方で調べすぎても意味がありません。身もふたもない言い方をすれば、店舗ビジネスは「やってみないとわからない」ことが大半です。分析バカにならないように気を付けましょう。完璧に調べることはまずできません。どんなに苦労して集めたデータでも、それは過去のものです。状況は必ず変化します。まったく調べないのは言語道断ですが、完璧を求めるのもまたしかり。過ぎたるは猶及ばざるが如し、とは何にでもいえることなのです。 

経営はつまるところ実践あるのみです。実践の積み重ねでしかありません。あらゆる分析は事業を成功させるためではなく、大きな失敗をしないための手段だと思ったほうがよいでしょう。経営判断に必要な情報がすべてそろうことは絶対にありません。限られた情報の中で、いかに早く決断するかが経営者の仕事の一つです。逆説的ですが、自身が決断したことを正解にすることが経営者に求められる成果なのです。

 

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