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伝えることの重要性に早く気付こうよ―産業構造の脆弱さを露呈した「情報発信」の弱さ―

  地方メディアの高度有効活用 海江田 博士 SPECIAL
海江田 博士 SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション 代表取締役 海江田 博士

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

先日の読売新聞、2018年12月1日()の朝刊に次のような記事がありました。

九州運輸局初のイメージアンケート「九州の食・温泉 情報発信不足?」―欧米壕訪日経験者 最下位の回答―

というものです。

どのような内容かというと

―九州運輸局は30日、旅行の滞在期間や消費額が多いとされる欧米壕5か国の計750人を対象に、九州観光のイメージを尋ねた初めてのアンケート結果を発表した。「食」や「温泉」に魅力を感じている人が少ないことが分かり、同局は「九州の良さをアピールする戦略が急務だ」としている。―

これは、九州出身の私としてはかなり意外な感じがしました。「食」にしても「温泉」にしても、観光地としてみた場合、九州はそこそこ上位に来ると思っていたからです。

特に、「温泉」の場合は料理と違って、その人の好みや主観ではなく、もともと湯が豊かに湧き出ているかどうか、という条件だけによるものですから、よもや九州が下位にくるとは思いもしませんでした。温泉に関しては、九州はその数において地域的に恵まれているので、支持者も多いだろうと思っていたのです。

この点に関するアンケート結果は次のようなものでした。

なお、このアンケートは、英国、フランス、ドイツ、米国、豪州に住む訪日経験者に尋ねたものです。

―日本国内9地区ごとにイメージを尋ねた結果、九州の「食べ物がおいしい」と答えたのは23,3%でワースト。「温泉が豊富で魅力的」も、トップの近畿より10ポイント以上低い12,5%にとどまり、最下位だった。―

これは、九州の観光業者にとっては、かなりショッキングな数字なのではないか、と思います。というのは、先述のように、おそらく日本人の持つイメージとしては、例えば「温泉」において九州が国内のその他の地域より下位にくるとは思えないからです。「食」に関しても、日本人であれば、九州の美味しいものに対する期待は大きいのではないでしょうか。

ところが、外国人からは、かなり辛い点しかいただけていません。これはおそらく、この記事にあるように「情報発信」不足からくることは間違いのないところでしょう。

この記事を読んでいて思い出したことがあります。それは、ちょうど25年くらい昔、私がまだマーケティングリサーチの仕事をしていた頃のことです。日本はバブルを迎えて全国的にリゾートブームでした。外国からの入り込み客数も増えてきて、その実態調査を依頼されたことがあったのです。そのリサーチでは、いろいろな項目を調べたのですが、その中で、台湾の旅行代理店担当者にインタビューしたことがありました。すると、その担当者は

「九州は、広告宣伝や売り込みの努力が全く足りない。例えば、北海道の人たちは本当に熱心です。それに比べて九州はもともと観光資源に恵まれ過ぎているせいか、ちっとも営業に積極的ではありません。私から見れば、九州の方がはるかにポテンシャルは高いのに残念なことです。」

と、言われたことを思い出しました。当時聞いた「売り込み」とか「営業」という言葉を「情報発信」と言い換えれば、そのまま今の状況に当てはまります。なるほど、九州という地域の現状を見ていれば、その言葉はその通りかも知れないな、と思います。

観光に限らず、他の産業にしても「情報発信」がまるで弱いのです。

それは、台湾の彼が言っていたように、もともと恵まれ過ぎていて危機感が足りないせいかも知れません。

この事実による教訓は明らかです。

つまり、どんなにいいものを持っていても、それをアピール、即ち「情報発信」しなければ何にもならない、ということです。

九州は、観光地として自他ともに認める高いポテンシャルを持っているにもかかわらず、それが外にほとんど伝わっていません。「食」や「温泉」の魅力に関する外国人の判定が、どちらも日本国内で最下位になろうとは、九州人だけでなく他の地域の人も含めて、夢にも思わなかったでしょう。「情報発信」の大切さが如実にわかるアンケート結果だったのではないでしょうか。

九州の観光産業は、直ちに的確な「情報発信」を始めなければなりません。その点について記事では、次のように締めくくっていました。

―同局観光企画課の担当者は「九州の豊かな食や温泉のイメージが欧米壕に伝われば多くの人が訪れてくれるはず。官民を挙げて情報発信を強化したい。」としている。―

この言葉に期待したいところですが、なにせ20年間以上も同じ課題をほったらかしにして解決できていないのです。よほど心してかからないと、ますますほかの地域に後れをとることでしょう。頑張ってもらいたいものです。

さて私は、今九州が持とうとしているのと同じ意識を、「情報発信」を怠っておられる社長さんにも持ってもらいたいと思います。

つまり、現代では「情報発信」に後れを取るということは、ビジネスにとって致命的になりかねないということなのです。

もともと持っている資産は、それがどんなに優れたものであっても、外に向かってそのことを伝えなければ、ビジネスにつながることはありません。

逆に「持っている資産」がプアなものであっても、伝え方がよければちゃんとビジネスとして成立するのです。

その事実に、九州の観光は思いが及んでいませんでした。「情報発信」をやっていない社長さんにも同じことが言えます。九州で起きたことを一つの参考にして、是非すぐにでも「情報発信」に取り掛かってみて下さい。

 

企業の盛衰を決める社長のためのメディア戦略
海江田 博士

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション代表取締役

海江田 博士

執筆者のWebサイトはこちら http://mc-kaieda.com/

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