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なぜ特注対応が顧客のためにならないのか

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「特注を標準化するという基本方針は理解しました。ただ、これまでずっと特注でやってきたので、すぐに標準だけにしてしまうと既存のお客様に迷惑かけますよね…」

― 先日当社が開催したセミナーにご参加いただいた社長からのご質問です。

おそらくこの方もそうだと思いますが、「お客様のニーズにしっかり応えるために特注やカスタマイズされた商品・サービスを提供する」という考えをお持ちの経営者は多いと思います。

確かに「時代はカスタマイズ」です。世の中を見渡すと、実にきめ細かく顧客の様々なニーズに対応しているサービスにあふれています。

しかしながら、馬鹿正直に顧客の言うことに100%対応して特注やカスタマイズ対応をしてしまうと、ビジネス的には儲からなくなるばかりか、かえって顧客のためにもならないということになります。

まず「儲からない」という点については想像がつくことでしょう。顧客の要望に応えて普段使っていない材料を仕入れたり、やったことのない加工をしたり、慣れてないサービスの提供を試みたり…といった「はじめての試み」をやったのでは当然コストもかかりますし、ミスやロスも出やすくなります。

このような「非効率」を織り込んでいるがゆえに、世の中の特注対応の大半は価格がとても高くなってしまい数が出ない(ゆえにコストも下がらない)か、あるいは得意先との力関係との兼ね合いで希望する価格を提示できずに利幅が非常に少ないか、そのどちらかのパターンに陥ってしまうことがとても多いのです。

この「コスト高になってしまう」という点も顧客のためにならないことではありますが、より顧客にとって不利益なことは、「100%の特注対応は商品・サービスの質を低下させる」という点です。

「顧客の要望に100%対応しているのだから、コストはともかく質はいいだろう…」と思いがちですが、実はそうではありません。現実は、顧客に合わせることによってどんどん「型」が崩れていくのです。

この「顧客に合わせすぎると型が崩れる」という法則を肝に銘じる必要があります。自社のオペレーションを楽にするというだけでなく、顧客のためにも型は死守する必要があるのです。

たとえば顧客の体型に合わせたオーダーメイドのスーツであっても、ぴったり顧客の体型に合わせることはしません。それをしてしまうと服としてのカッコよさが失われるからです。太ってお腹周りが3cm増えたとしてもズボンを3cm広げるわけではないということです。

料理だって同じことでしょう。顧客の「甘いのがいい」「塩辛い方が好き」といった要望を聞きすぎると、本来の料理人が意図した絶妙な味付けがこわれてしまいます。

武術の達人は実戦で相手がどうでるかわからない状態であっても、必ず普段繰り返し訓練して体得した「型」をベースに戦います。この「型」の修得なしに実戦で戦うことなど絶対にできないと経験者は言います。

あるいはジャズの即興演奏もそうです。一見思いつくままに弾いてそうに見えても、実はこれまでに何度も演奏して指が覚えている既存のフレーズをいくつも組み合わせてアドリブっぽく弾いているのです。

あるいは私のコンサルティングも同じことです。全10回のセッションにおいて、各回にクライアントの経営者にお伝えする内容はあらかじめ決められています。その基本テーマをベースに顧客の状況に応じて最適な内容にカスタマイズしてお伝えしています。

その内容と順番を守ることで顧客の社内に仕組みが出来上がります。このあらかじめ練り込まれた核の部分なくして、毎回顧客の相談ごとに応じていても何も仕組みは出来上がりません。これではコンサルタントはただの相談相手となってしまいます。

ビジネスにおいては、この自社ならではの「型」を磨き込むことが出発点として非常に重要になります。型があっての守破離です。型をしっかり作った上でそれを破るような特別対応を提供する ―― これが型破りなキラーサービスとなります。単にイレギュラーな対応をしたのでは形無し(=さんざんなこと)で終わります。

あらかじめ「型」としての標準サービスを仕組み化し、それをベースとして顧客対応を繰り返していくことで、その「型」はどんどん磨かれていきます。また「型」が決まっていればより多くの顧客にそのサービスを提供できることになりますから、数も積みあがります。この「繰り返し効果」は絶大です。顧客の要望に応えながらもコアの部分を標準化することで、他社が真似したくても真似できない強烈な強みを持つことができるのです。

大事なことですので繰り返しますが、決して顧客の言うとおりにすることが顧客のためになるのではありません。むしろ磨き込まれた「型」に顧客をはめ込んでいくことで、文字通り「特別」なサービスを提供できることになります。

御社では「標準化された特別対応」を顧客に提供することができていますか?
常に顧客の要望に振り回されて、「忙しいのに儲からない」状態になってしまっていませんか?

顧客を御社の「得意な型」に引き込んでいきましょう。

 

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