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経営者は先手を打たなければ始まらない―社長の中に先行投資としての「情報発信(アウトプット)」は意識されているのか?―

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

セミナーを開催して、その日の終わりに質問の時間を設けると、実にいろいろなご意見が出てきます。

その中で今まで何回か聞いたのは

自分は「情報発信(アウトプット)」が必要だと思うのだけれど、先代(父親であることが多い)は、『できるだけ情報は出すな!』というので、どちらが正しいのか迷っています。どうなのでしょうか?」

という内容の質問でした。

ということは、出席されている方は2代目になります。

私は、その質問を受けたとき最初は不思議でした。「先代は、何故そんなことを言うのだろう?!?」と、意味がよくわからなかったのです。なので、こちらから聞きました。「逆にお聞きしたいのですが、どうして、親父さんはそんなことを言うのですか?どういう意図なのでしょうか?」

すると、2代目の彼の答えは

「おそらく、『こちらの情報はできるだけ伝えるな。情報が筒抜けで足もとを見られたらロクなことはない。』といったことを言いたいのではないでしょうか。」

というものでした。

まあ、仕入れ価格とか、見積もり経費とかならともかく、そのほかのことについては、「こちらの情報を出したら負け!」といった考え方は古い、と言わざるを得ません。

私がお勧めするのはあくまでも、企業業績を上げるための「戦略的情報発信」ですから、先代社長が考える「守秘的な情報」というものとは、随分捉え方が違う、ということになります。

私が考えることころの「情報発信(アウトプット)」は、我が社に対する理解を深め、共感を覚えてくれるファン作りをすることで、結果的に企業業績を伸ばしていく、というものです。

つまり、敵に弱みを見せたくないから、情報はできるだけ出さない、という考え方とは真逆のものになるのです。

そもそも顧客は「敵」ではないので、味方につけるべきものであることはいうまでもありません。

それでは、先述の質問をしてきた2代目の場合、今後どのように「情報発信(アウトプット)」と向き合っていけばいいのでしょうか。まあ、私の答えは決まっています。

戦略的な「情報発信(アウトプット)」をどんどん実践して、我が社や我が社が手掛ける事業に対する共感者を増やし、業績の向上につなげていくしかない、ということです。

そもそも、なぜ先代経営者は「情報発信(アウトプット)」に消極的なのでしょうか。

それはおそらく、「情報発信(アウトプット)」が業績の向上につながるとは思えないからです。

なぜ、そう思えないのでしょうか。

それは、私は「情報発信(アウトプット)」が先行投資だからではないか、と思っています。

というのは、もう一つの典型的な先行投資である「広告宣伝」に対しても、古いタイプの経営者はあまり熱心ではないからです。

日本人には昔から「いいものは、黙っていてもわかるはずだ。」という考え方が根強くあります。

そういった考え方が「それをわざわざこちらから売り込んだりするのはみっともない。」とか、「欲しければ向こうからくればいい。」といった思考につながるのです。

地方の場合特に、高度経済成長の時代、かなり長い間「売り手市場」だったことと合わさって、こちらから「広告宣伝」や「情報発信(アウトプット)」などする必要がない、といった思考が強いのです。

昭和の時代、強烈な成功体験を経験した年配の経営者の中には、こちらから情報を出すことで積極的に売り込んでいく、というやり方や考え方にどうしても馴染めない方が多いのは、こういった背景があるからなのです。

さすがに、平成を経て令和の時代になった今、上記のような考え方をする若手経営者はいないと思いますが、広告宣伝はともかく、「情報発信(アウトプット)」については、まだスタンスがはっきりしていない人は多いのです。

先行投資としての「広告宣伝」と「情報発信(アウトプット)」はどこが違うのでしょうか。

それは、「広告宣伝」が費用の先行投資であるのに対して「情報発信(アウトプット)」は努力や積み重ねの先行投資ということになります。

ご存知の通り、「広告宣伝」は、特にメディアを媒体に使った場合、かなり大きな費用がかかります。それに対して、「情報発信(アウトプット)」の方は、費用はそれほど掛かりませんが、自ら努力し発信し続ける必要があります。ここが最も大きな違いになるのです。

また、それに負けないくらい重要な違いというものがあります。

それは、「広告宣伝」の場合、はずれた場合「経費の無駄だった、という結果になる。」ということです。

つまり、「広告宣伝」が不発に終わった場合、その費用はどんな形にせよ、もはや回収することはできません。

そういう意味で、結果の読めない「先行投資」であり、そのために、売り手市場の時代を強烈に経験している古い経営者は二の足を踏むのです。

一方、「情報発信(アウトプット)」の場合、それが思ったような効果が出なかったとしても、「無駄になる」ということはありません。もちろん、「情報発信戦略」は、業績の向上を意図して始めるわけですが、期待していたほどの結果がなかなか出ないこともあり得ます。しかし、だからといって、その努力が無駄でやらない方が良かった、とはならないのです。

というのは、その間のノウハウは蓄積されるものであり、アーカイブとして残り、やがてそれは何かしらの形で必ず役立てるときが来るからです。

そういう意味で、費消して終わりになってしまう「広告宣伝費」とは大きく異なるのです。

事業には、いずれにしても「先行投資」は必要です。日本の経営者の多くは、それは施設や設備といった「装置」に対するもの、と考えがちです。何故なら、そういった「モノ」に対する投資は、だいたい先が読めるからです。

特にベテラン経営者であれば、経験的に設備投資が生み出す「財」については、どれほどのものかわかっているはずです。

これに対して、眼に見えない先行投資、「広告宣伝」やその他の販売促進策といったものには、どちらかといえば消極的といわざるを得ません。

ましてや「情報発信(アウトプット)」といった、新しいタイプの先行投資に対して理解が不足しているのはやむを得ないことなのかも知れません。

冒頭の若い経営者の質問にたち戻って回答するならば、「情報はできるだけだすな!」という先代経営者の教えは、今や時代に逆行する考え方だから全く聞く必要はない、ということになります。

おそらく、「広告宣伝」や「情報発信(アウトプット)」といったいわゆるソフトに対する「先行投資」という考え方が薄いのだろうと思います。ということは、後継者である若手経営者の世代からは、そこの考え方を変えなければなりません。

そうすれば、新しい時代にあった経営に切り替わっていき、彼の迷いも吹っ切れていくと思います。

迷うことなく「情報発信(アウトプット)」に取り組んでもらいたいものです。

 

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