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利益を目的にするとなぜ経営が苦しくなるのか?

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「中川さんの本に書いてある「売上か利益か?」のところが刺さりました! うちも売上ばかり追いかけていたから儲かりませんでした」― 先日個別相談にお越しになった社長がこうおっしゃいました。

なぜ売上を追いかけては儲からないか…この理由を簡単に言えば、「売上と利益では発生するメカニズムが違う」ということですが、ここを曖昧に理解していると、まさに「忙しいけど儲からない…」ということになりがちです。

単純化して申し上げれば、売上が発生する源泉は「顧客ニーズの有無」といえます。顧客ニーズのある商品を適切な価格で提示すれば、なにか変なことがない限り売上は誰でもつくれます。現にビジネスをやったことがない主婦の方でもメルカリで簡単にものを売っていますよね。

しかし、利益を上げられるかといえばこれは別の話です。利益の源泉は他のものとの「差」です。なにか他にはない特徴がない限り、相場かそれ以下の価格でないと売れません。そしてその相場というものは時間の経過とともに下がっていきます。

いい商品やサービスを提供すれば儲かる…と単純にはいかないところが商売の難しいところであり、面白いところでもあります。サラリーマン的に真面目に仕事をこなしたところで成り立つものではないということです。

当社にお越しになる経営者の方々も、まさにこのあたりのことが気になってといいますか、当社とプロジェクトをやると何かいままでにない面白いものがつくれるのではないかとお考えになった方が多いわけですが、この「ほかと違うことをやりたい!」「当社ならではの事業をつくりたい!」という願望がまさに利益を生む源泉といえます。

かっこよく言えば「ロマン」、もっとくだけていえば「子どものような無邪気さ」、そのように表現されるような「なにかやりたい!」という想いをもつ経営者が、世の中をにぎわしお客様を笑顔にするような商品・サービスを生み出します。そしてそんな、いつまでも起業家精神を失わない社長に社員も感化され、会社の文化がつくられていくのです。

こういった、ロマン派(?)の社長であっても、やはりビジネスでやっている以上は利益を出さないといけませんから、仕組み化・標準化による業務フローの最適化は必ず必要になってくるのですが、目指していることはあくまで「(世の中に対して)ことを起こすこと」にあるという点が非常に重要なポイントです。

いわば利益は事業活動の目的ではなく結果ということですが、これを伊那食品の塚越会長は『利益は残ったうんこに過ぎない』という名言で表現しています。つまり、無理をして出すものではなく、健康な体であれば必ず出るものだと。

私としてもこの考えに非常に賛同するわけですが、世の中にはこの「利益を出す」ということを至上命題、つまり最終目的として経営をしている社長もいらっしゃいます。もしかしたら割合でいえばそのタイプの社長の方が多いかもしれません。

「利益3倍化を実現する!」というサブタイトルの本を出しているぐらいですから、利益を出すことを否定しているわけではまったくないのですが、利益を出すことを目的とした経営には大きな落とし穴があります。「うんこを出す」ことを目的としているのですから当然っちゃ当然なのですが、そのような経営者がやっている事業は、往々にして「ぜんぜん面白くない」のです。

なぜそうなってしまうのかというと、「利益を出さないと…」「赤字じゃだめだ…」と思っている経営者の意識の中心が「コストカット」だからです。

コストカットというのは基本的に「縮こまる」発想です。「削れるものは削る」― 常にこの発想でやっている経営者から伸びやかなアイデアが出てくるはずもありません。

アイデアがでないどころか、出そうという発想もあるかどうか…。なにかをやろうとするとコストがかかります。それよりもムダをそぎ落として決算書を良くすることが先決であり正しいといったところでしょう。

そうやって「なんとか毎年利益を絞りだして黒字決算を続ける」― これができたとして果たして面白いのでしょうか…? 「いや面白くない!」「ブレークスルーしたい~!」という経営者が当社にお越しになっています。当社としても「望むところです!」とタッグを組ませていただいています。

事業の新しい取り組みとして何かに挑戦する― そのための支出をコストと見るか投資と見るか。決算書上では投資とならずに経費となってP/Lは短期的には悪化するかもしれません。赤字になるケースもあるでしょう。でもそれは「楽しみな赤字」として、将来芽を出し花を咲かせるものかもしれません。その楽しみがなければ経営者なんてやってられないのではないでしょうか。

コストカットで経営ができるのなら、コスト削減の専門家が経営をやればいいのです。それで世の中が豊かになるはずもありません。豊かさとは余白から生まれるものです。どんな余白を生み出すか― これが経営者の個性であり、会社の文化となっていくものです。

経営管理と経営は違います。経営は人がやっていることであり、そこには心があります。御社の社員は楽しんで何かに挑戦しているでしょうか? その前に、社長自身が自社の事業に対して心震えていますか?

このコロナ禍の中でも、自らの心の閉そく感を打ち破り、事業を新たなステージに進めようと挑戦されている社長は数多くいらっしゃいます。

次は御社の番です! 経営者として「おもしろき世」をつくっていきましょう。

 

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