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暑い寒いの『モノサシ』1

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

『共通言語』としてのデータ(数字)

 

最近の新しい建築は、徐々にですが耐震・断熱・気密などの性能レベルが向上してきています。
その結果エネルギー使用量を減らすことに寄与できることから、そういった高性能住宅を『エコハウス』と呼んだりしています。その筋の人に言わせれば「高性能住宅」ではなく「当たり前の水準だ💢」との意見もあります。そういった面々は様々な啓蒙活動をされていますし、どうやら「お上」の再生可能エネルギー等に関する規制の取組みへのスローさに「おかんむり」のようです。

そういう定義では、19年前に完成した自宅は決して『エコハウス』とは呼べないレベルのものです。

『エコハウス』について関心のある方は、わが家は『エコハウス』なのか? をご覧ください。

住まいでの様々な環境への負荷は、電気やガスなどの使用エネルギー量で計れるかもしれません。一方で、私がより興味を持っているのはそれぞれの家での「結果」としての環境データです。住まいの中での実際の温熱環境(気温・湿度・気流など)の見える化です。人の感覚や感じ方には幅や個性がありますが、共有尺度として数字で把握しないと、まずは始まりません。

建築家の皆さんはたいてい巻尺をポケットに入れていて、旅先などで「いいな」と思った場所のスケッチに実測寸法を描き込んで帰ります。それぞれが、自らの「感覚」を再現するために「測定」し「数値化」するのです。そういった取組みとして、住まいの環境を評価する際にも実際の状況を「計測」することがまずは必要だと考える訳です。

 

↑建築家は自らの感覚を再現するため「測定」を習慣化しています

 

『計測機器』はケチるな!

 

鹿児島に来たころ(2000年頃)は「国際チャート(株)」の「温湿記録くん」というアナログ温湿度計が御用達でした。これは、円形の記録用紙がゆっくり回転して8日間の気温・湿度を連続的に内蔵のボールペンで記録できる仕組みで、20cm角の壁掛け式の時計みたいなものでした。長期間記録したい時は、専用の記録用紙をセットし記録開始したら8日間毎に用紙を交換しないといけませんでした。うっかり忘れていると記録用紙が2周目に入って、記録された線が二重に重なってしまうのでした。これを使って空気式ソーラーシステムの「効果」を見える化して、お客様に説明していました。これは、当時の「最強」の営業ツールでした。

 

↑「温湿記録くん」の記録用紙。赤が気温、青が湿度。8日過ぎてしまって線が一部重なってます💦

 

自宅が完成してからは「タニタ」のアナログ温湿度計を各階に置いて測定していました。「温湿記録くん」本体は数に限りがありましたし、本体・専用記録用紙ともに高価だったからです。測定する際は、最低でも外気用・1階用・2階用・屋根裏用と4つは欲しいので、結構費用がかかってしまうのでした。「タニタ」のアナログ温湿度計はお引渡しの際にお客様にも1つずつ差し上げていました。窓ガラスなどの「結露」が発生した場合にその場所の温度・湿度をモニターしてもらい、アフターサポートや生活アドバイスに活かせるケースも多くありました。

 

↑この後、御用達だった「タニタ」のアナログ温湿度計

 

しかし、外気・1階・2階・屋根裏などと1軒の家で同時に複数箇所のデータを取る場合には不向きでした。理由は単純に、測定誤差が大き過ぎることでした。しかし、これに気づくのにかなりの時間を要しました。さんざん色々計測してから、たまたま並べていたときに気がついたのです。複数箇所の計測データをしっかり取りたい場合は、言うまでもなくある程度の測定精度は必須です。しくじりました。ここはケチってはいけないですね。

 

↑各階用を並べておくと「誤差満開」でした(涙)

 

シンケン時代、マンションリノベーションをスタートした頃に放射式空調システムを導入しました。やはり複数箇所の気温・湿度のデータを取りたくて、その際にはユーザーズサポートのメンバーから「新兵器」をしばらく貸してもらいました。こちらは「(株)T&D」の「おんどとりJr」というもので、センサーもデジタル式で本体に長期間の計測データを保存、データをパソコンに回収すると専用ソフトでグラフ化できるというスグレモノでした。こちらは記録用紙などのサプライ品は必要ないものの、お値段が高くて駆け出しのマンションリノベーション部門ではとても買えませんでしたから、貸してもらって大変助かりました。

 

⇅シンケン時代の御用達。記録式デジタル温湿度計(温度と湿度を交互に表示してました)

 

 

↑専用ソフトでグラフ化したところ(たくさん重ねすぎるとよく分からなくなります)

 

 

目的あって活きるデータ(数字)

 

それなりに温度・湿度計測歴のある私ですが、最近になって「新兵器」を手に入れました。20年以上も時間が経つと、温度・湿度の計測器も進化します。今度のは「SwitchBot」というやつで、なにより値段が千円台と安いです。本体に36日分の温度・湿度の計測データが保存でき、Bluetoothでスマホ上で複数の温湿度計を管理でき、ほぼリアルタイムで表示が見れます。また、特定の温湿度計を選んでタップすると、自動でグラフ化されたものをすぐ見れるというものです。

 

また、別売りの機器を使えば、外出中もネット経由で測定データのモニターや取り込みが可能という、今どきの機能が搭載されています。自宅にある家電類のリモコンを登録すると、外出先からネット経由で自宅の家電やカーテンなどを操作することもできるそうです。いわゆるIoT(Internet of Things)というやつですね。すごい。

 

今回、つい大人買いをしてしまいました。
というのも、ちゃんとした目的があるからでした。日頃から感じている自宅の環境が季節や時間・場所でどのような数字になっているのか?把握しておきたかったからです。何しろ、これまでは測定機器が高価であった事、また、会社の備品を使わせてもらっていた事もあり、長期間にわたって多くの箇所を測定することが叶わなかったのです。

 

↑最近入手したデジタル温湿度計(SwitchBot)

 

↑ハブミニというWi-Fiと接続するSwitchBot専用機器(こいつを追加すると外出先でもスマホでモニタできるようになります)

 

↑スマホのアプリ画面(積年の思いがつのり…8個も買ってしまいました)

 

↑外気の温度・湿度のグラフ(最近の鹿児島は徐々にお天気になっててます)

 

↑1F和室のクローゼット内(家じゅうでいちばん安定している場所ですが、外気の影響を確実に受けています)

 

↑2Fの大テーブルの上(妻の仕事場環境です。エアコンかけてますが気密も悪いので、湿度は外気とリンクしています)

 

 

いちおうの仮説を持って何箇所かに設置・測定しても「的が外れていた」というのはよくある事です。その時に気付いてから「再度計測」となっても、季節は後戻りしてくれません。特に暑さ寒さのピークはもう1年待たねばならない事になります。これまで「場所の選定を間違った」とか「時期を逸してしまった」とか「記録し忘れてしまった」とか温湿度計測に関しては、散々しくじってきたのです。そもそも自宅の環境ですら、これまで客観的に数値で把握してこなかったことが最大の「しくじり」なのかもしれません。

 

 

社長の会社では出来上がった住まいの環境データの計測はされていますか? また、その際に生活上の仮説を持って計測に臨んでいますか? 

 

 

暑い寒いの『モノサシ』2 に続く

 

 

 

 

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