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後継社長は引き継いだ会社の「風土」を変えられるのか?

SPECIAL

バトン承継コンサルタント

承継イノベーション研究所(株式会社think shift)

代表取締役社長 

これまで後継経営者を100名以上支援・指導し、自身も後継経営者として実績を出してきた、後継者支援の実績と後継経営者としての経営実務の実績とをあわせ持つ、バトン承継コンサルタント。
後継経営者が「ただ」事業を引き継ぐだけではなく、「自分らしい」経営を行うことで経営の革新を引き起こす、「承継イノベーション」を提唱している。

バトン承継コンサルタントの浅野泰生です。

緊急事態宣言が解除されて一週間が経ちましたね。

感染対策として手洗いや消毒などの習慣はかわりませんが、世の中での動きが若干出てきたり変わってきたという実感を持っています。

外出すると昼間からお店で酒を酌み交わして談笑している光景が目に入ってきます。

お店もお客さんもおおっぴらにしています(笑)

当社でも1年半にわたり、完全テレワークを実施してきましたが、今月から社員とのリアルコミュニケーションも徐々に始めていきたいと考えています。

今回は、後継社長は引き継いだ会社の「風土」を変えられるのかというテーマについてお伝えいたします。

後継社長が最初に着手しがちな改革とは?

先代から会社を引き継いだ後継社長が、最初に手をつけがちなのが組織の改革。
特に会社の習慣やクセともいえる文化・風土を変えていこうとします。

学校を出てすぐに親の会社に入った後継者は、親の会社が基準になりますので、文化や風土そのものにそこまで違和感を覚えることはないのかもしれません。

一方で、別の会社を経験した後継者は、自身が経験してきた「他の会社」とのギャップに悩むことが多いようです。

例えばベンチャー企業を経験していればスピード感のなさに絶望し、大企業の出身であれば規律やルールの甘さに頭を抱えます。

そこで後継者は、引き継ぐ前から温めていた改革案を、社長就任と同時に一気に実行していきます。

文化や風土を変えるための、様々な施策。
人事制度の刷新、評価制度の導入、社員教育、クレドの作成などなど。

後継社長の自身の存在感を社内外に示すという効果もあるかもしれません。

実際に、後継社長時代の過去の私も上にあげたようなことをしました。

改革により、社外の人たちからは「社長が変わると、会社ってこんなに変わるんだね」という評価をいただきました。

ただ、「変わった」とは言っていただいても「良くなった」とは誰も言ってくれませんでしたが…(笑)

そして私の場合、結果的にどうなったか。
会社の“文化”は少しずつ変わってきました。社外の人たちからの評価から、社員の目に見えている行動は変えることができたのだなと。
ですが、会社の“風土”を変えることはできなかったと考えています。

それはどういうことでしょうか。

文化と風土の違い~変えられるもの、変わりにくいもの

会社の文化・風土という言葉の定義は色々あり、同じような意味合いに使われることもあります。
ですが、私は“文化”と“風土”を明確に切り分けて考えています。

“文化”は、社外からも見える、組織の習慣のようなもの。意識すること、そして社員一人ひとりが行動を変えていくことで、徐々に変わっていくものと捉えています。

一方“風土”は、社内の人間しかわからない組織の行動や考え方のクセのようなもの。これは社内の人間も認識していないこともおおく、さらには行われてきた事業や会社としての歴史の影響を大きくうけるものだと考えています。
そのため、変えることが難しいといえます。
むしろ事業の推進のためには変えてはならない部分もあります。

たとえば、元国営企業のJR。

ある地域のJRの社員の方と話をする機会がありました。

鉄道事業部に属していた彼から「斬新なアイデアが出てこない」という一言。

そのとき、「風土は事業とひもづく」という考えが確信に変わりました。

鉄道事業において、斬新なアイデアが必要でしょうか?

鉄道というのは、決まった時間に決まった通りに電車を運行するから、乗客に満足を与えられるものです。

そこに、例えば「斬新なアイデア」であるサプライズフライデーと題して「金曜日は乗っている電車が普通か快速か分からないスリリングな一日」と言われても、通勤や通学で利用している人には迷惑なだけです。

今のJRは鉄道事業にとどまらず、各社多角化を進めていますが、おそらく、いや確実に、鉄道事業とその他民営化後の新規事業のそれぞれに携わる社員の特性は異なるはずです。

元プロ野球選手の大久保博元さんがやっているyoutubeチャンネルでも、当時の西武ラインズの寮長は、非常に時間に厳しかった、という話がありました。

その寮長は、西武鉄道の出身ということ。
電車を運行している人が、時間にルーズでは困ります。

風土は事業の影響をうけるので変えにくい

先代から続く事業では、そこに根ざした“土壌”があります。
それがまさに「風土」の「土」といえるのではないかと考えています。
事業推進の中で生まれた「土」が、少しずつ少しずつ地層のように歴史を経て積み重なっていくのです。

先代から引き継いだ事業をそのまま継続しながら風土を変えていくことは、困難どころか不可能です。

風土を変えていかないと、会社は長期的には環境に適応できないかもしれません。
ですが、引き継いだ事業を継続しながら風土を変えていくのは一朝一夕にはできることではないのです。
ですが、変えられないのではなく、変えにくいものであり、あきらめる必要もありません。

ではどうすればいいか。
継いだ会社の風土を変えていくには、順番とコツがあります。
順番とコツについてお伝えしているセミナーを定期的に開催しているのですが、そこでの
気付きについては別途お伝えできればと思います。

 

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