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スタバにて証明された『事業機会』

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

ターミナル近くのスタバにて

 

建設業を営む企業経営者(E社長)と個別相談をさせていただいていた時のことです。

E社長は早めに移動されてるとのことで「スタバで仕事をしながら待ってますから、前の予定が終わり次第来ていただければOKです!」という連絡をもらっていました。出張先など事務所以外でお仕事をされることが多い方なので、カフェなどで集中することには慣れていらっしゃるようでした。

だいたいの目安でお伝えしていた到着時刻に間に合いました。E社長は、先に来られて2人用のテーブル席をとってくださっていました。しかし、レジカウンターには長蛇の列でE社長にご挨拶をしてから、飲み物を買って席に戻ってくるのに10分ぐらいはかかってしまいました。スタバは、待ち合わせて話をするのにはいい場所なのですがテイクアウト比率も多い業態です。相手の方と話し始めるまで時間がかかってしまうのって「スタバあるある」です。

E社長からは、エクステリアと一体となった住宅事業立ち上げについて以前からご相談をいただいていました。 お客様との打合せ・提案・クロージングなど第一線で先頭に立っていたE社長でしたが、「ようやく任せられるスタッフが育ってくれました。そろそろ新しい展開を具体化したいと思って」とのことで、早速話し始めました。

E社長は矢継ぎ早に、

「いま展開している商圏では土地価格が高く建物だけが建ててあって引渡しされている住宅がばかりです」「何年かして後でエクステリア工事をされるお宅も多いようですが、仕上がりはいまひとつですね」「吉岡先生がおっしゃっていたようなその場所の環境を取り入れてエクステリアと一体的に提案する住宅なら勝機があるように思えるのです」

「社長、勝機は十分にあると思いますが、どういう手段でお客様に一般的な家との違いを腹落ちしていただきますか?イメージされている具体的な計画はありますか?」コーヒーを飲むとき意外はマスクをしてはいるのですが、満席の話し声があふれる店内でお互い聴き取りづらい面もあって、ついつい大きな声で熱く語り合っていました。

⬇︎E社長の言われる「建物だけで引渡された家」我が国の『スタンダード』とも言える風景。「エクステリア予算」は、住宅メーカー担当者によって極限まで削られるのが業界の常なのです。

 

↑こういう掃き出し窓ってよく見かけませんか?とくに新しい家で

 

普段見えていない「ヘビーユーザー」

 

するとその時、となりのとなりの席から女性が立ち上がってこちらへ歩み寄ってこられました。「あ。うるさ過ぎた?おこられるのか」「いや、以前に会ったことある人?」と思いきや。

その女性から、

「お話が聴こえてきてて、すごく興味があって。。。それで声をかけさせていただいたのですが。いっしょにお話聴かせていただいてもよろしいですか?」と。

しばしE社長と顔を見合わせた後に、ひとつ席をずれてその女性の席と隣同士になりました。女性の席との間の席がちょうど空いたところだったのです。その女性のテーブルには白いノートブックパソコンとマグカップの飲み物が置かれていました。まさに今、土地が決まり家づくりを考えている最中とのことでした。そして、お父様は建築設計のお仕事をされている方のようでした。

E社長が思わず、

「僕たちのこんな話、面白いですか???」と尋ねたところ、

その女性は、

「すっごく面白いです!すみません。お打合せ中に邪魔してしまって。。。」

女性は続けます。

「子供と遊ぶ気持ちいい外の場所をつくって欲しいのに、メーカーの方から「ここは壁になります。窓はとれません。コンピューターで計算しますのでダメです」とも言われて」
「ひとりのお客にそんなにかかわってられないって感じで。。」

「規格住宅って言うんですよね。いろいろルールがきまっているのを」
「いろいろ考えてあってコストダウンしてあったりして、私たちにもメリットがあるのは理解しているのですが」
「庭のこととか、大切にしていることを優先してもらえないのは、ちょっと。。。」

「主人はなんでもいいという感じなので、どんどん進んでしまったのですが」
「メーカーさんを替える覚悟で、父に相談してなんとかならないかと話してもらったら、やっと考えてくれることになって。。。」
「せっかくつくるのに、いろいろ思い通りにならないものなんだなーって」

E社長が尋ねます。

「建物の契約はされているのですか?」
「エクステリアの業者さんには相談されていますか?」

女性が答えます。

「契約はしています」
「エクステリア業者さんにも相談しています」

女性はどんどん続けます。

「メーカーの方からは「うちの外構担当には話が伝わらないと思うので、エクステリア工事は別でお話してもらったほうがいいと思います」って最初に言われました」
「ウッドデッキとか、プライバシーを守る目隠しとか考えて欲しかったんですけど、建物が完成してからでもできますからって。。。」
「新しい団地などで引っ越したばかりのお宅の、丸見えの掃き出し窓をよく見かけるのでだんだん不安になってきて」

E社長が眉間にシワを寄せて、大きく何度もうなずいています。結局、40分ほど3人で話すことになりましたが、私たちも教えられた事柄が多くありました。

女性は、

「偶然に、いいお話が聴けて本当によかったです。貴重なお時間を割いていただいてありがとうございました。アドバイスいただいたこと、やってみます。」

と丁寧におじぎをして帰っていかれました。

 

⬇︎以前訪問させていただいた完成したばかりの新築の現場。北斗の拳のケンシロウの胸の傷のような「点検枡群」が気になって、どの区画を見ても家や造園が全然入ってきませんでした(笑)団地やメーカーのルールに沿って工事していたらこうなってしまったのだと思いますが…明らかに優先順位が違っているように思えるのです。

 

↑このお宅も「道路から丸見えの掃き出し窓」があります

 

 

思わぬ『後押し』

 

既にE社長には、移動しないといけないタイムリミットが迫っていましたので、その後本題を話す時間が足りなくなってしまいました。しかし「施主」が「豊かな生活」を望んで、どうやって住宅メーカーに伝え、対応してもらえるようにするか?奔走している様子を白いパソコンの女性から聴かせていただくことができました。

女性の訴えは、建築条件付き宅地販売の増加による土地物件不足や、規格住宅による省力化の定着によって、一層困惑する施主サイドの生の声でした。おそらくは、性能・価格・納期でクロージングされた案件でしょう。女性は、着工までに要望を実現させる進め方を必死で模索されているところに私達に出会ったのだと思います。

E社長との事業構想の話は途中中断してしまいましたが、社長は事業の方向性に対しての確信を、私のアドバイス以上に白いパソコンの女性から得られたご様子でした。「たったひとりの人でしたが、たまたまスタバで吉岡先生と話してたら、隣の隣に聞き耳立ててたぐらいだから、絶対私のお客さんはかなりの大勢いらっしゃると確信できました!また、連絡します!」と、P社長は手を上げながら急ぎ足で改札目指していかれました。

スタバで熱く語っていたら、経営者が考える新しい事業の「ペルソナ」が現れたという、ちょっと不思議な話でした。こういう体験を経て、事業展開の準備ができるのもE社長の持っている何かによるものかもしれません。こちらもなんだかモチベーションが上がります。

一般的には、どうしても日頃身の廻りにいる「お客様像」や見聞きする「お客様像」を前提に事業を考えてしまいがちです。自分が直接見聞きする情報以外にネットも動員して、さらにその傾向は強化されます。人間の、動物としての習性からしても多数認識される対象に対応しようとすることは当然の行動です。人類が誕生して20万年の間、そういう習性の個体の方が生き延びる「確率」が高かったからです。

しかし、現代における中小企業のあたらしい事業の構想の場合には必ずしも習性どおりの「行動」が「正解」であるかは疑わしい面もあります。いわゆる既に競争状態である「レッドオーシャン」に自ら飛び込む結果ともなり得るからです。

そして「いま満たされていないものは何か?」「それを提供するにはどうしたらできるか?」「その商品に次のお客様を生み出す力があるか?」を前提として事業は考えなければなりません。そのためには「本能」や「習性」を超えた「知性」が必要となるのです。

 

 

社長の会社では、新しい事業に挑戦する計画はありますか?その事業のお客様は「こんな人」というしっかりしたイメージと「確信」は持てていますか?

 

 

 

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