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売上の上限値はいくらですか?

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

ここ最近、私の専門でもある店舗ビジネス経営者の方々とミーティングする機会が多くありました。飲食、アパレル、美容など業種もさまざまで、既存事業の戦略見直しや新規事業への挑戦など、検討する内容も多岐に渡り、私にとっても大変刺激になる時間でした。

さて、特にリアル店舗を展開する時に言えることですが、モノやサービスを提供する店舗ビジネスには「売上の上限」があります。もちろん、それ以上は絶対に売れないというわけではありませんが、目安としての上限はどの店舗にも存在します。

この点、非常に重要なポイントなのですが、店舗ビジネスを創業、あるいは新規事業としてスタートさせる際に「売上の上限」を把握していない経営者が実は意外に多いのです。

例えば、エステ店でスタッフは2人、ベッド数が2台、客単価は5千円、一人当たり1日施術数は3名上限、営業日数は月22日であれば、スタッフ数2(1人1ベッド)×客数3×客単価5千×22日=66万が月間売上の上限となります。

66万が上限ということは、それ以上の売上は(とりあえず)見込めないということです。実際の売上ではおそらく上限の8割程度が最大値になるでしょう。常に予約で埋まることはまずないからです。したがって、事例の数字では約52万が「頑張って取れる」リアルな最大売上となります。

その売上から、仕入れなどの原価(変動費)、および人件費、家賃など(固定費)が引かれ、最終的な利益が残ります。つまり、ある程度幅はあれど、開店前に収支状況は可視化できるということです。開店後、あと2倍売れればペイできるのに‥と言っても、店舗にその能力がなければ単なる夢物語なのです。

もちろん、さまざまな改善策により、上限値を上げることは可能です。ただ、それにも限りがあります。この辺りのシミュレーションをしていない、あるいは計算が甘い経営者の方は先述の通り意外と多くいらっしゃいます。

「まあ、これくらいは取れるかな」とか、「頑張ればなんとかなる」など、かなり適当かつ楽観的な姿勢で開業してしまうと、高い確率で後悔することになります。

「思っていたような売上が取れない」「想像以上に来店がない」「いくら頑張っても費用の方が多く、赤字が続いている」という声はコロナ禍以前からよく耳にしました。開業前から予測できたはずなのに、売上の上限を正しく把握せず、売上の最大値を甘く見積もってしまう…

結果、高い家賃、多すぎるスタッフ、過剰品質で高価な原材料など、自店のレベルには相応しくないコスト構造にしてしまう店舗が後を絶ちません。コロナ禍では、高い固定費を賄えず、閉店を余儀なくされた店舗は相当数あります。

新たに店舗開業を目指している皆さん。まず、自店の売上上限値を知りましょう。そのうえで、季節変動を考慮した最大売上や最小売上のシミュレーション、根拠ある固定費への配賦を考えてください。店舗ビジネスの成否は最初の設計で決まります。

 

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