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果てしなき収納力との闘い(その1)

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

東京に住んでいた次女が、海外に行くために部屋を引きはらうことになりました。ひとり暮らしの荷物は「処分できるものはして残りは実家(私の自宅)に」との意向で、我々夫婦はにわかにざわつくのでした。

 

「家財帰還」に襲われる

 

ただでさえ物の多い私達(ご存知の方も多いかと思います)には巣立っていった子供の荷物を受け入れるなどということは全くの想定外でした。膨大な量の布地や雑誌、その他ガラクタなどを減らす算段はしてみたものの、大してスペースを空けることができそうにありません。

次女は物の少ない暮らしをしていましたが、木材などの残材もかなりの量になりそうでした。残材???と思われたかもしれません。実は、アパートの部屋に手を加えてちょっとした改装をしていましたので、それを解体した後の残材です。もちろん「現状復帰」の際に大家さんと揉めないように、元の内装にはほとんど傷などつけないやり方でです。

というような流れで、苦肉の策として倉庫を増設することにしました。(この機会に断捨離すればいいのに、それが出来ない夫婦なのです)自宅の敷地には倉庫が置けるほど空いたスペースはなく、敷地を見わたしてみて消去法でカーポートの屋根の上に決定しました。

カーポートの屋根の上には、日頃から「家庭菜園」をつくっていて毎日のように妻がのっかっています。窓際の花の手入れの際もそこに出ていきます。「家庭菜園」の様子は 『家庭菜園』考 、窓際の花の手入れについては 続・不屈の園芸魂 をご覧ください。

 

↑次女の「家財帰還」がトリガーになり急きょココに倉庫を置くことに

 

↑自宅に届いたオーストラリア製の倉庫キット一式

 

↑こんな感じのものです(自転車収納用らしいです)

 

↑専用アプリで品番別の組立て手順が動画で見れるのです

 

 

選んだ倉庫はオーストラリア製の組立て式のものでした。IKEA製品のような自作タイプです。しかし、ぜんぜん安くはありません。なのに、どうしてそれか?と言いますと「見た目」です。日本製の倉庫のほうが断然品質は高そうですが、いかんせん見た目がひどい。なんともテンションが下がるデザインです。何というか、とにかくおじんくさいのです。

このオーストラリア製の組立て式倉庫は、シンケン時代に担当させてもらったお客様宅でもご採用いただいたものです。現場担当者が「めっちゃ組立て大変でしたー」と涙目だったのを記憶しています。それを今度は自分で組立てる覚悟を決めた訳です。カーポート上だとは言え、どうしてもダサい倉庫は置きたくなかったのです。

 

 

禁断のカーポート2階建活用

 

場所はあると言ってもさすがに重い倉庫を載せるにあたっては、いささか心配な点もあります。最近大きなのは来ていませんが、鹿児島は台風が「元気」な状態で上陸する地域です。また、カーポート上だと地震での揺れも大きくなるものと思われます。最低限、ご近所に迷惑をかけないよう補強をしておかなければなりません。

ただ人がのっかるのとは、発想の転換が必要かもしれません。いよいよ大事になってきました。改めて現状を見てみました。鉄骨のフレームはしっかりしていますが、屋根面を支える梁は四周と真ん中に一本しかありません。ほぼ雪の降らない鹿児島では積雪荷重の想定もなく、上に何かのっかる設計にはなっていないのです。

 

 

↑カーポートの屋根のアルミパネルの形状

 

↑120mm角の杉材で補強

 

↑反対側から見たところ

 

 

 

改めてカーポートの屋根のつくりを見てみると、アルミ板を曲げて2枚合わせてボルトで固定されています。人が載った際には、その2枚合わせの部分が梁のようになってアルミ板が変形するのを防いでいるのです。そのアルミ板の屋根面と鉄骨梁の間にちょうど120mm角の材料が入るスペースがありましたので、杉材で補強することにしたのです。

 

 

 

オーストラリア製品との格闘

 

カーポート屋根下部の補強を終えて、倉庫キットのパーツの確認を始めました。この倉庫キットには+5,700円かかりますが、「検品サービス」というのがあって頼んでいたのです。検品といってもでかい部材もたくさんあるので、箱を開けて広げるにも場所を取ります。検品済みなので、さすがにパーツの不足はないだろうと余裕をかましていたのです。

倉庫のパーツを組立てる際、ほとんどの部分がビス止めでした。薄い鋼板どうしを接合するのに短いビスを止めるだけなのです。「さすが海外製品。最低限やな」と感心していたら、ビスで止める箇所の穴はあらかじめ開けてくれていました。ざっとパーツをチェックしてたら、ひとりでも組める部分から組立て始めました。

しかし、すぐに問題が発生しました。接合するべき2点のパーツのビスの穴どうしがズレていて、ぜんぜん合わないのです。しかも、ひとつやふたつではありません。おびただしい数の穴が適当に開けてありました。「何を検品しとるんや!」と代理店さんに電話をするも「検品はパーツがそろっているかどうかに関して行ってます」「穴が合わない時は、ドリルで開け直して組立ててくださいね!」と明るく返されてしまいました。

「えー。それはあんまりでは」と言いますと、「ネットで注文いただく際の確認文書にそのあたりも全部、書いてありますー!」と、また明るく言われてしまいました。日本人が国内で検品するのだから、品質確認もしてくれているものと思い込んでいましたが、その認識は間違っていたのです。(しかも商品代金とは別に5,700円も払ってです)

「はい。はい。わかりました。がんばりますよ」(こころの声)

確かにネット注文の際にすごい沢山の確認文書があって「確認しました」のボタンを押さないと次に進めなくなっていました。あとで読んでみたら、確かに書いてありました。「穴が合わない時はドリルで開け直してください」って。さながら「生命保険契約」みたいです。このあたりも「欧米方式」なのですね。。。

 

 

↑穴あけまでしてくれてはいるのですが。。。

 

↑ところどころ相手の穴がズレてたりして。。。

 

 

 

 

「初めてつくるプラモデル」の如く組んではバラシの繰り返し。自ら考えてつくっていないパーツを組み立てるのは、思いのほか骨が折れるのでした。

 

 

 

果てしなき収納力との闘い(その2)につづく

 

 

 

 

 

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